氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

後日談

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　アシュリーの妊娠が発覚する少し前、実はアシュリー専属の侍女で有るステラも妊娠していた。

　ステラの相手は元々ジーンの護衛だった人物で、その腕前が十指に入る凄腕の男性なのだが、アシュリーは彼を御者だと勘違いしていた。

　まぁ、それも仕方の無い事だ。

　何せ彼は、アシュリーが実家を出る際に、アシュリーを領地から王都へと運んだ馬車を操縦していたし、その後もアシュリーが出掛ける際には、ずっとアシュリーの乗る馬車を操縦していたからだ。

　なので、彼が本来ジーンの護衛だった事も、アシュリーの護衛の為に御者役をしていた事も、アシュリーはジーンと結婚した後に知ったのだ。

　因みに彼等が結婚したのはジーンとアシュリーが結婚した後で、元々ジーンが結婚してからだと決めていたようだ。


「まさか妹弟子のレベッカに先を越されるとは思っても居ませんでしたが、あの子が幸せそうで嬉しいです。あの子がここに来た時は本当に痩せ細っていて、今にも倒れそうな程真っ青でしたから」


　当時のレベッカの顔が真っ青な要因の一つは、外用のリラに人拐いの如く連れ拐われたからだが、リラに害意は無かったので、大目に見て貰いたい。

　その当時のステラは、見習いとしてエヴァンス家で働き始めていた為、レベッカの面倒を見ていた内の一人だ。

　基本リラがレベッカの世話を甲斐甲斐しく焼いていたが、そのフォローをするのは勿論侍女達だ。

　それがまた、良い訓練にもなった。

　リラはコミュ障なので、レベッカにリラの言いたい事を訳したり、リラが欲しい物や、必要とする物を先読みして用意したりと、忙しくなりはしたが、元々リラはあまり我儘を言う子供では無かったので、張り合いが出たし、リラも妹が出来たみたいで嬉しそうだったから何よりだったのだ。


「私達も、リラ様やレベッカに続いて、大好きな旦那様の子供を産み育てましょうね！」

「はい。同じ妊婦のステラが居るから、とても心強いです♪」


　そしてその頃に、リラ達が子供のお披露目と、クルルフォーン家の使用人へと転職した二組の結婚式を挙げる為、エヴァンス領へと旅に出る。

　丁度アシュリーもステラも安定期に入っていたので、旅には支障無く、エヴァンス領に行く事になったのだが、ジーンが王太子で有るレオンの教育を継続していたので、アシュリーはリラ達とは別で、ジーンと行動を共にしていた。

　リラ達の旅は子供達が居る為、通常の倍は掛けてのゆっくりとした旅だが、ジーン達の旅は通常の馬車の旅程と同じだ。

　最初はアシュリーもリラ達と同行する方が楽しいのではないかと、ジーンはアシュリーに好きな方を選んでも良いよと言ったのに対し、アシュリーはジーンとの旅を選んだ。

　リラ様達との旅は楽しそうですが、夜を一人で過ごすのは寂しいです、とアシュリーに言われれ、ジーンが悶えたのは言うまでもない。