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後日談

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 エヴァンス領での滞在は、二組の結婚式の参列が目的だったので、それが終わればジーンと共に王都のエヴァンス邸へと戻る。

 勿論、エヴァンス領の本宅に到着した時は、ステラと共に、エヴァンス本宅の使用人達が妊娠の祝福をしてくれた。

 王都のエヴァンス邸でも、エヴァンス領の本宅でも、使用人達から盛大なお祝いをして貰い、アシュリーとしては恐縮物だったのだが、ジーンやステラが言うには、エヴァンス家の皆はお祝い好きだから、本人達の好きにさせてやれば良いとの事だった。

 そうは言われても、元々実家ではそんな風にお祝いをして貰う事自体が無かったので、嬉しくて仕方が無いアシュリーは、その嬉しさを何かで返したいとステラに相談する。


「わたくしが出来る事で、何かお返しが出来ないかしら……?」

「お返しですか?リラ様ならお菓子をお作りになっておられましたけど、本来そのような事をしなくても大丈夫ですよ?彼等は好き好んでしている事ですし、お祝いと言う名目で宴会を開いて楽しんでるだけですから」

「ですがわたくし、エヴァンス家に来る前は、お祝い自体あまりして頂いた事が無かったので嬉しくて……」


 アシュリーの母親が存命中の頃は、誕生日の祝いや婚約祝い等して貰っていたが、母親が亡くなってからは、誕生日の祝いすらしなくなっていたのだ。

 エヴァンス邸に来たアシュリーの初めての誕生日に、エヴァンス家の面々がアシュリーの誕生日を祝おうとしたら、アシュリーが困惑していたのでその理由をジーンが聞いた。

 あの父親曰く、アシュリーはもう子供では無いし、今まで皆に祝われても無かったサラが居るのだからだそうだが、その根本的な原因は、外で婚外子を作ったお前だろうがと、エヴァンス家の関係者は内心激怒し、ステラは笑顔を貼り付けのたまった。


「エヴァンス家では、主人の家族は勿論、使用人達の誕生日もお祝いしますし、祝い事は皆でするのが基本です。個人的な事だろうと、些細な事だろうと、幸せは分かち合うのがエヴァンス流です。ですのでアーシュ様は、目一杯楽しんで、慣れていって下さいね?」


 エヴァンス家ウチに来たからには、後悔なんてさせて堪るかとばかりにステラは言い切り、比較対象が最悪最低だと、エヴァンス家の株は上がる一方だけど、あの屑親父に追加制裁を加えたくなりますと、アシュリーが席を外してる時にジーンに愚痴れば、ジーンは真っ黒い笑顔で任せなさいと言い切っていた。

 因みにお返しは、クレアに刺繍を教わり嵌まっていたので、ハンカチやタオルに刺繍をして渡せばどうかと言う事になったようだ。
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