氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 月日は過ぎ、ステラとアシュリーは半月違いの男の子を無事に出産する。

 本来お産は男性が立ち合う事は無いとされるが、エヴァンス家のお産は代々旦那が立ち合い、奥方の手を握ったり汗を拭ったり、声を掛けたり腰を擦ったりと、傍で励まし続ける役目が有る。

 これは妻の苦しみや痛みを少しでも感じ理解する為と、子育てを妻だけに押し付けさせないと言う意思表示の為でも有るのだ。

 エドワルドもエヴァンス家の方針を聞き、リラのお産に立ち合っていた、とそんな話を聞いたアシュリーは、お産にジーンを立ち合わせるなんて、と戸惑っていたが、ジーンにどんな時でも一緒に居ると誓った約束を、違えさせないでほしいと言われ、更に、子供は二人の子だから、アーシュが頑張っている時も傍に居たいと懇願されて、頷く事しか出来なかったのだ。

 とは言え、ジーンがお産に立ち合い励まし続けてくれた為、アシュリーにとって心強く不安も少なかった。


「アーシュ、よく頑張ってくれたね。有難う」

「こちらこそ、ジーン様との子供を産ませて頂いて、有難う御座います。それに、こうして付き添って頂けて、とても心強く、とても頼もしかったです」


 アシュリーは汗だくになりながらも、とても嬉しそうに、幸せそうに笑う。

 因みにアシュリーとジーンの子供は、青みの強い銀髪と、アイスブルーの瞳で、色合いはジルギリスとリラと同じ色合いだった。

 
「この子がジーン様の次の、エヴァンス家侯爵になるのですね。男の子が産まれて良かったです。女の子だと、立場的にもこの家が狙われる事も有り得ますから」


 無いとは思うが娘しか産まれず、娘に辛い思いをさせたらどうしようと自身の経験から頭を過っていたので、産まれた子が男の子で本当に良かったと心底思っていたのだ。


「エヴァンス家の第一子に依る性別の出生確率は、九割以上が男児だよ。と言うか、ディーラン貴族の性別に依る出生確率自体、男児が多いからね。そもそも二代続けて第一子に女児が産まれているアーシュの所が珍しいぐらいだよ。元々ゴート家は、子供同士の争いを避ける為、一子しか作らないと決めていた家だろう?それをあの、婿養子で入った父親が破り、家の乗っ取りを企んだのだから、愚かにも程がある。だけどここはエヴァンス家だから、アーシュにはまだまだ子供を産んで貰うよ。エヴァンス家の場合、子供なら何人居ても良いし、子育てのスペシャリストも多いから、安心して子育てが出来るよ。女の子も欲しいから、長男がある程度成長したら、またここで、私の子供を育てようね」


 ジーンは妖艶な微笑みを見せ、出産を終えたアシュリーの腹部を労るように撫でたのだった。
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