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後日談

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 レオンが学院で授業を受けてる時は、ジェフはレオンの居住区で指示や指導をしていたのだが、一月程経てば他の使用人達も要領を掴んで来た為、指示を出して置けば、任せても問題無く一日を終える事が出来ていた。

 丁度その頃、エドワルドがリラ達と共に、エヴァンス領へと赴く事になっていたので、国王陛下に会って来るとだけ言い残し、アレクシスの執務室を訪れる。

 王都に戻って来た時に仕事が山積みでは、ジーンとエドワルドの休暇の意味が無いだろうと、空き時間を見計らって、二人の、強いてはリラの幸せに、少しも付け入る隙の無いようにする為、手伝いに来たのだ。

 平穏と言う名の生温い時代に生まれ、退屈凌ぎや目出度い頭を持っている貴族達は、他人の噂に敏感だ。

 エドワルドがエヴァンス領から戻った後に、ほぼ毎日通っていたエヴァンス邸に、仕事が忙しいからと間隔を空ければ、リラに飽きただの、後悔してるだの言い出し兼ねない。

 リラの本質を知ればそんな事は言い出せなくなるだろうが、余計な虫が増えるだけなので、嫁ぐ日までは知られずに、隙の無い対応を心掛けるのみだ。

 それに、今の内に王宮の政務官達の腕を上げて置けば、新婚後だろうとリラの為に時間が取り易くなるだろう。

 それを解っていて、動かないジェフでは無い。

 アレクシスの執務室に入り、通常報告をアレクシスにした後、提案する。


「今の時間帯、学院でレオン殿下が授業を受けてるので、それが終わるまでの間、私は手が空いてるので手伝いますよ。どうせ暇ですし、こちらが私の本職ですから」


 冷ややかな眼差しで周囲を見回し、周囲に聞こえる声で話すジェフ。

 冷ややかな眼差しのままで、悪どい笑みを浮かべるジェフ対し、アレクシスは少々ビビりながら、ジェフの意図を読み取る。


「それは助かる。そうして欲しい」

「お聞きの通りです。私はエヴァンス家の遠縁の者で、王立学院卒業後、エヴァンス領にて政務官に就いていましたが、現在、当時同学年だったアレクシス国王陛下からの要請により、一時的ですが、王太子の侍従に就かせて頂いております。国の政務官が、高が一地方の政務官に負ける筈も無いとは思いますが、精々頑張って下さいね?」


 ジェフの挑発とも取れる言葉に、政務官達は内心激怒し、地方の政務官の分際で!!と、闘争心に火が付いた。

 彼等はエヴァンス家が代々国の中枢を担う家柄の為、当主は優秀だと知っては居たが、その領地が王都と同等以上に発展し、独立しようと思えば出来る事や、人材育成に力を入れてる為に、平民でも優秀な人材がゴロゴロ居る事等、知りもしなかったのだった。

 それもそうだろう。

 エヴァンス家の者達は、優秀な者にしか声を掛けたりしないのだから。

 偉い肩書きや役職に着任した所で、実力の無い者や怠ける者は論外なのだから。

 それを知らない彼等は、無謀にも、王宮勤務の政務官の実力を見せ付けて、目に物を見せてやる!と息巻いていたのだった。
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