氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 王宮に行儀見習いとして入っていた貴族令嬢達は、アレクシスと旧知の仲だと聞き付けたのか、偶然を装いジェフの周囲を彷徨うろつき始める。

 そして、○○へ行く途中なのですが、道に迷ってしまったみたいです。行き方をご存知無いですか?と、話し掛けて来るのだ。

 勿論、王宮内の地図を確り頭に叩き込んでるジェフは、場所をあっさり教え、通り過ぎようとするのだが、そのままお礼を言って去れば良い物を、この機会を逃すかとばかりに話し掛けて来るのだ。


「お礼がしたいので、お時間を頂けますか?」

「個人にく時間は有りません」

「こうして知り合えたのも何かの縁ですし、そうおっしゃらずに、お茶だけでも!」

「そんな暇は有りません」

「それならば、もう少しだけお話しを……」

「私に話し掛ける暇が有るのなら、仕事に戻ったらどうですか?」


 歩き出してるにも拘わらず、付いて来る貴族令嬢に、ジェフは冷ややかな眼差しを向けるが、それでも相手は諦めない。


「わたくし、仕事の相談に乗って頂きたくて!」

「自身の上司にしなさい。私は貴女と何の関わり合いも無いのですから。それより、いつまで付いて来る気ですか。迷惑です」

「わたくしもこちらに用が有るのです!」


 その言葉にジェフは足を止め、絶対零度の眼差しで聞き返す。


「貴女に教えた道は、真逆の筈ですが?態々嘘を吐いてまで、他人の時間を割こうとするなんて、余程の理由がお有りなんでしょうね?」

「ひっ……わわっ……わたくし、貴方様に一目惚れを致しましたのっ!」


 既に失言を繰り返し、嫌悪感を丸出しにされていると言うのに、食い下がる。


「嘘を吐いてまで近寄ろうとする相手の、どこに惚れろと?それに私には妻子がいます」

「そっ……それでも良いのっ!愛人で構わないわ!」

「貴女が良くても、私は要りません。貴女は王宮に何をしに来ている気ですか。貴族令嬢が聞いて呆れる。男漁りをしたければ、夜会ででもしなさい。尤も、与えられた仕事も碌に出来ず、王宮の品位だけを下げる行儀見習いなんて、真面に相手にする物好きは少ないでしょうがね。これ以上付き纏うなら、私の後ろ楯で有るエヴァンス家に報告し、貴女の親に正式に抗議させて頂きます。それと、王家にも。王宮内の品位を下げているのだから当然ですね。調べれば判る事ですよ。貴女がどこの誰かだなんて」


 ジェフの言葉に、事の重大さを感じ取り、貴族令嬢は足を止めるももう遅い。

 ジェフはその足でアレクシスに会い、行儀見習いで有る貴族令嬢の実態を報告する。


「私が国王陛下の要請で入ったと聞いたのでしょう。道に迷っていると言うから道を教えたのに、礼をしたいから時間をくれだの、話をしようだの、仕事に戻らず口だけ動かし、挙げ句一目惚れしたと言い口説いて来る始末。妻子が居ると言っても、愛人になるとまで言ってきましたよ。こちらの迷惑を顧みず……。あれのどこが行儀見習いなんですかね?自国の恥です。あんなのをのさばらせて置くから王妃になり替わろう等と思う不届き者が現れて、王妃が危険な目に合わされたりするんですよ。王宮の品位を下げる侍女は、一旦全て親元に返した方が、王妃の心情的にも良い筈です」


 王宮侍女の肩書き欲しさに、最低限の作法を学ばせずに送り込んだ親も親だと言い切るジェフに、同意しか出来ないアレクシス。

 そんな侍女達が蔓延はびこっていたのは、前王妃が自分に都合の良い侍女達を蔓延らせていたからだが、その前王妃も今は遠い僻地で療養と言う名の監禁中だ。


「今有る膿は、全て出し切った方が良いのでは?貴方の息子は優しく甘い。この先、変な女に引っ掛からないとは言い切れませんからね」


 ジェフの不穏な言葉に、アレクシスは信用を失墜させたレオンを思い浮かべ、否定をせずに、不真面目な行儀見習いの貴族令嬢達を調査し、親元に帰す為の行動へと移ったのだった。
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