732 / 805
後日談
3
しおりを挟む
下位の令嬢の中には、リラを崇拝する者達が居る。
そんな事情を全く知らなかったエドワルドは、『害意は無さそうだが、リラを遠巻きで見ている下位の令嬢達が居る』と、リラの居ない時にこっそり話題に出したら、心当たりの有るサイナスは、あっさりとそれを教えてくれた。
しかも、裏で暴走されないように、潜入組の使用人達が令嬢達に、騒がれるのは嫌う方だそうですよとか、お近付きになろうとすると、下心が有ると思われてしまうのでは?といった忠告や、遠目で憧れるぐらいは大丈夫ですよといった助言もさせているといった裏事情も教えてくれた。
ただ、下位の令嬢にリラを崇拝する者達が居るのなら、下位の令息にもリラを崇拝する者達が居るのではないか?女なら無害だろうが、男なら無害を装い近付こうとするようになるのではないか?と、少し心配するエドワルドに、安心させるように、いつもの笑顔でサイナスが告げる。
「下位貴族の男性の方でも、奥様の本当の目的にたまに気付く方がいらっしゃいますが、奥様では無く、狙われたご令嬢の方に想いを寄せていらっしゃる方なので、奥様を話題に好感度を高めて、意中のお方を口説くように助言させるよう、指示を出しています。大概助言を素直に聞き入れて下さる方が多く、高確率で相手の令嬢と結ばれる為、極一部の方に、奥様は良縁を結ぶ女神とも呼ばれているそうですよ」
そういった情報も全て把握しているサイナスに、エドワルドは流石エヴァンス家の執事だなと感心する。
(下位だろうと、他の男がリラに好意を抱くのは面白くないが、リラに手を出す事が無いなら問題は無い。そういった男はエヴァンス領内にも沢山居ただろうからな)
勿論、邪な想いを抱いて近付こうとする者には、これまで通り、徹底的に排除するだけだ。
幸い(?)結婚式の大司祭と国王陛下のアレクシスに依る大説教が効いているのだろう。リラやアナスタシアに手を出そうとする命知らずは今の所居ない。
一家親類の全てが断絶されるのは、流石に嫌なようだ。
まぁ、エドワルドやアレクシス、エヴァンス家の者達が、近付く隙を全く与えなかった所為でも有る。
だが、何をとち狂ったのか、王族の花嫁で無ければバレてもそこまで大事にならないと思ったのだろう。選りにも選って、歴代国王陛下がもっとも恐れる家系の花嫁達を、一夜の恋の相手にと選ぼうとした馬鹿が、少数だが涌いて出た。
そう、エヴァンス家当主の妻で有るリリーと、嫡男の花嫁で有るアシュリーを、一夜の相手にと狙ったのだ。
当然そちらにも、近付く隙は全く与えはしなかったが、そういった馬鹿が出る可能性を予想していたエヴァンス家の者達は、一夜のだけでもと選んだ相手が悪過ぎる事を、そのお馬鹿な脳裏に焼き付ける為、罠を張り巡らせて、マッチョなお姉様達が居る罠部屋へと誘導し、散々弄ばせた末に嗜虐嗜好の侯爵へと送り届け、世間では行方不明扱いにした。
本来、貴族の行方不明は大事になるが、素行が悪く、ギャンブルにものめり込んでいたと裏で噂を流せば、元々本当に素行が悪かったので、裏社会の人間から逃げたか捕まったかしたのだろうと噂が流れ、気にも止められなかったようだ。
そうして裏での暗躍を知らない貴族達は、今日も平和な一日を過ごす事になるだろう。
そんな事情を全く知らなかったエドワルドは、『害意は無さそうだが、リラを遠巻きで見ている下位の令嬢達が居る』と、リラの居ない時にこっそり話題に出したら、心当たりの有るサイナスは、あっさりとそれを教えてくれた。
しかも、裏で暴走されないように、潜入組の使用人達が令嬢達に、騒がれるのは嫌う方だそうですよとか、お近付きになろうとすると、下心が有ると思われてしまうのでは?といった忠告や、遠目で憧れるぐらいは大丈夫ですよといった助言もさせているといった裏事情も教えてくれた。
ただ、下位の令嬢にリラを崇拝する者達が居るのなら、下位の令息にもリラを崇拝する者達が居るのではないか?女なら無害だろうが、男なら無害を装い近付こうとするようになるのではないか?と、少し心配するエドワルドに、安心させるように、いつもの笑顔でサイナスが告げる。
「下位貴族の男性の方でも、奥様の本当の目的にたまに気付く方がいらっしゃいますが、奥様では無く、狙われたご令嬢の方に想いを寄せていらっしゃる方なので、奥様を話題に好感度を高めて、意中のお方を口説くように助言させるよう、指示を出しています。大概助言を素直に聞き入れて下さる方が多く、高確率で相手の令嬢と結ばれる為、極一部の方に、奥様は良縁を結ぶ女神とも呼ばれているそうですよ」
そういった情報も全て把握しているサイナスに、エドワルドは流石エヴァンス家の執事だなと感心する。
(下位だろうと、他の男がリラに好意を抱くのは面白くないが、リラに手を出す事が無いなら問題は無い。そういった男はエヴァンス領内にも沢山居ただろうからな)
勿論、邪な想いを抱いて近付こうとする者には、これまで通り、徹底的に排除するだけだ。
幸い(?)結婚式の大司祭と国王陛下のアレクシスに依る大説教が効いているのだろう。リラやアナスタシアに手を出そうとする命知らずは今の所居ない。
一家親類の全てが断絶されるのは、流石に嫌なようだ。
まぁ、エドワルドやアレクシス、エヴァンス家の者達が、近付く隙を全く与えなかった所為でも有る。
だが、何をとち狂ったのか、王族の花嫁で無ければバレてもそこまで大事にならないと思ったのだろう。選りにも選って、歴代国王陛下がもっとも恐れる家系の花嫁達を、一夜の恋の相手にと選ぼうとした馬鹿が、少数だが涌いて出た。
そう、エヴァンス家当主の妻で有るリリーと、嫡男の花嫁で有るアシュリーを、一夜の相手にと狙ったのだ。
当然そちらにも、近付く隙は全く与えはしなかったが、そういった馬鹿が出る可能性を予想していたエヴァンス家の者達は、一夜のだけでもと選んだ相手が悪過ぎる事を、そのお馬鹿な脳裏に焼き付ける為、罠を張り巡らせて、マッチョなお姉様達が居る罠部屋へと誘導し、散々弄ばせた末に嗜虐嗜好の侯爵へと送り届け、世間では行方不明扱いにした。
本来、貴族の行方不明は大事になるが、素行が悪く、ギャンブルにものめり込んでいたと裏で噂を流せば、元々本当に素行が悪かったので、裏社会の人間から逃げたか捕まったかしたのだろうと噂が流れ、気にも止められなかったようだ。
そうして裏での暗躍を知らない貴族達は、今日も平和な一日を過ごす事になるだろう。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる