氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 下位の令嬢の中には、リラを崇拝する者達が居る。

 そんな事情を全く知らなかったエドワルドは、『害意は無さそうだが、リラを遠巻きで見ている下位の令嬢達が居る』と、リラの居ない時にこっそり話題に出したら、心当たりの有るサイナスは、あっさりとそれを教えてくれた。

 しかも、裏で暴走されないように、潜入組の使用人達が令嬢達に、騒がれるのは嫌う方だそうですよとか、お近付きになろうとすると、下心が有ると思われてしまうのでは?といった忠告や、遠目で憧れるぐらいは大丈夫ですよといった助言もさせているといった裏事情も教えてくれた。

 ただ、下位の令嬢にリラを崇拝する者達が居るのなら、下位の令息にもリラを崇拝する者達が居るのではないか?女なら無害だろうが、男なら無害を装い近付こうとするようになるのではないか?と、少し心配するエドワルドに、安心させるように、いつもの笑顔でサイナスが告げる。


「下位貴族の男性の方でも、奥様の本当の目的にたまに気付く方がいらっしゃいますが、奥様では無く、狙われたご令嬢の方に想いを寄せていらっしゃる方なので、奥様を話題に好感度を高めて、意中のお方を口説くように助言させるよう、指示を出しています。大概助言を素直に聞き入れて下さる方が多く、高確率で相手の令嬢と結ばれる為、極一部の方に、奥様は良縁を結ぶ女神とも呼ばれているそうですよ」


 そういった情報も全て把握しているサイナスに、エドワルドは流石エヴァンス家の執事だなと感心する。

(下位だろうと、他の男がリラに好意を抱くのは面白くないが、リラに手を出す事が無いなら問題は無い。そういった男はエヴァンス領内にも沢山居ただろうからな)

 勿論、邪な想いを抱いて近付こうとする者には、これまで通り、徹底的に排除するだけだ。

 幸い(?)結婚式の大司祭と国王陛下のアレクシスに依る大説教が効いているのだろう。リラやアナスタシアに手を出そうとする命知らずは今の所居ない。

 一家親類の全てが断絶されるのは、流石に嫌なようだ。

 まぁ、エドワルドやアレクシス、エヴァンス家の者達が、近付く隙を全く与えなかった所為せいでも有る。

 だが、何をとち狂ったのか、王族の花嫁で無ければバレてもそこまで大事にならないと思ったのだろう。選りにも選って、歴代国王陛下がもっとも恐れる家系の花嫁達を、一夜の恋の相手にと選ぼうとした馬鹿が、少数だが涌いて出た。

 そう、エヴァンス家当主の妻で有るリリーと、嫡男の花嫁で有るアシュリーを、一夜の相手にと狙ったのだ。

 当然そちらにも、近付く隙は全く与えはしなかったが、そういった馬鹿が出る可能性を予想していたエヴァンス家の者達は、一夜のだけでもと選んだ相手が悪過ぎる事を、そのお馬鹿な脳裏に焼き付ける為、罠を張り巡らせて、マッチョなお姉様達が居る罠部屋へと誘導し、散々弄ばせた末に嗜虐嗜好の侯爵へと送り届け、世間では行方不明扱いにした。

 本来、貴族の行方不明は大事になるが、素行が悪く、ギャンブルにものめり込んでいたと裏で噂を流せば、元々本当に素行が悪かったので、裏社会の人間から逃げたか捕まったかしたのだろうと噂が流れ、気にも止められなかったようだ。

 そうして裏での暗躍を知らない貴族達は、今日も平和な一日を過ごす事になるだろう。
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