756 / 803
後日談
25
しおりを挟む
アレクシスが件の侯爵家に下した処罰は、エヴァンス侯爵家、グリマード伯爵家、王家に対して多額の賠償金を支払う事と、ウォール伯爵家への借金は取り立てず、自らの負債とする事。そして今後一切、ウォール伯爵家とは二度と接触しない事。
アレクシスがそう告げると、前半は納得した顔をしていたものの、ウォール家に関する事では納得出来ないと言った顔をする侯爵達。
「あんな貴族の端くれとすら呼べない女を嫁がせたのだから、当然だろう?言いたい事が有るなら聞いてやる。言ってみろ」
「わっ……私達はウォール家に対し、これまで多額の援助をして来ました!御三家に賠償金を支払う事は納得出来ますが、何故ウォール家との交流まで絶ち消されなければならないのでしょうか?」
そんな反論に、ジーンがそんな事も解らないのかと呆れた……と言うよりかは蔑んだ視線で侯爵達を見て、机の一角に積まれた資料に手を置くジーン。
「こちらは、陛下の手の者が調べた資料で、貴方方が嫁がせた後の、あの女に関する資料です。その中に、貴方方侯爵家からの用途不明な多額の援助金が有る事や、そのお金に関する使い道が記載されているので、一部抜粋しましょうか。『当時、王都で流行ったとされる高級生地のドレスを五着と、それに合わせた宝石から靴までの装飾品を数点、王都からの取り寄せで購入。その年のウォール家の税収を遥かに越える金額が支払われている』との事ですが、このような記載は侯爵家からの援助が有った年と重なります。この場合、ウォール家への援助とは言えず、嫁いだ身内への援助でしか無い。しかも元々そちらの使用人だった者達は、ウォール伯爵の言葉や命令よりも、伯爵夫人の言葉や命令を優先する。これはウォール家に対する乗っ取りとも呼べるのでは?」
抜粋とジーンは言うが、その視線は侯爵達を見据えたまま、資料を捲る事すらしないので、資料内容を暗記している事が窺える。
「わっ、我々にそんな思惑は、これっぽっちもーー」
「無いと言うなら、何故あの女や元使用人達は、ウォール家当主の言葉を無視したり聞き入れなかったりしたのでしょうね?当主を軽んじているからですよね?ですが、あの女は嫁入りした身。相手が親の身分よりも低かろうが、嫁ぐのなら当主の方が身分は上です。息子が当主になろうと、当主が上だと言うのに、あの女は我々の前で、ヘンリー殿に命令していたのですよ。自身が当主で有るかのように。更に言うなら、嫁いだ後でも実家の名を頻繁に出していたとも書かれています。それなのに、そんな思惑は無かったと言われても、説得力に欠けるのでは?」
本人達は娘や妹をただただ溺愛していただけの認識なので、可愛い我が儘、家族の延長線上程度としか思っておらず、他者からどう見えるかを考慮していなかったようだ。
アレクシスがそう告げると、前半は納得した顔をしていたものの、ウォール家に関する事では納得出来ないと言った顔をする侯爵達。
「あんな貴族の端くれとすら呼べない女を嫁がせたのだから、当然だろう?言いたい事が有るなら聞いてやる。言ってみろ」
「わっ……私達はウォール家に対し、これまで多額の援助をして来ました!御三家に賠償金を支払う事は納得出来ますが、何故ウォール家との交流まで絶ち消されなければならないのでしょうか?」
そんな反論に、ジーンがそんな事も解らないのかと呆れた……と言うよりかは蔑んだ視線で侯爵達を見て、机の一角に積まれた資料に手を置くジーン。
「こちらは、陛下の手の者が調べた資料で、貴方方が嫁がせた後の、あの女に関する資料です。その中に、貴方方侯爵家からの用途不明な多額の援助金が有る事や、そのお金に関する使い道が記載されているので、一部抜粋しましょうか。『当時、王都で流行ったとされる高級生地のドレスを五着と、それに合わせた宝石から靴までの装飾品を数点、王都からの取り寄せで購入。その年のウォール家の税収を遥かに越える金額が支払われている』との事ですが、このような記載は侯爵家からの援助が有った年と重なります。この場合、ウォール家への援助とは言えず、嫁いだ身内への援助でしか無い。しかも元々そちらの使用人だった者達は、ウォール伯爵の言葉や命令よりも、伯爵夫人の言葉や命令を優先する。これはウォール家に対する乗っ取りとも呼べるのでは?」
抜粋とジーンは言うが、その視線は侯爵達を見据えたまま、資料を捲る事すらしないので、資料内容を暗記している事が窺える。
「わっ、我々にそんな思惑は、これっぽっちもーー」
「無いと言うなら、何故あの女や元使用人達は、ウォール家当主の言葉を無視したり聞き入れなかったりしたのでしょうね?当主を軽んじているからですよね?ですが、あの女は嫁入りした身。相手が親の身分よりも低かろうが、嫁ぐのなら当主の方が身分は上です。息子が当主になろうと、当主が上だと言うのに、あの女は我々の前で、ヘンリー殿に命令していたのですよ。自身が当主で有るかのように。更に言うなら、嫁いだ後でも実家の名を頻繁に出していたとも書かれています。それなのに、そんな思惑は無かったと言われても、説得力に欠けるのでは?」
本人達は娘や妹をただただ溺愛していただけの認識なので、可愛い我が儘、家族の延長線上程度としか思っておらず、他者からどう見えるかを考慮していなかったようだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9,191
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる