氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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「ルーク兄様、わたくしの解らない言葉で内緒話をするのはズルいです!」


 仲間外れに感じたミリアムが唇を尖らせて拗ねる。


「ごめんごめん。ミリーは私の母に憧れて、幼い頃から武芸を始めたから、そこそこ腕が立つよと話してたんだ。二人は私の母とも会っているからね。ミリーの家は、私の母の実家に当たるんだよ」


 ルークスの説明に、ミリアムは少し自嘲気味な笑みを見せる。


「貴族女性で腕が立つのは、貴族男性に取って、野蛮ではしたないそうですけどね」


 そのミリアムの言葉に、双子は首を傾げながら反論する。


「「護身術、リラ様強い。リラ様の母様の、リリー様も強い。リラ様はダン、リリー様はセイル家のじいじ達が師匠。弱い、有り得ない。護る人多い、使う機会無いだけ」」


 護身術とは言っているが、当然普通の剣技も出来、ひょろい貴族男性なら、簡単に伸す事が出来るだろう。

 エドワルドはその事実を、事前にダンやジーンから聞いていた為驚かないが、武芸に縁遠そうなリラやリリーが強いと聞いて、純粋に驚く二人に、双子は尚も言う。


「それにアイザーク、強い女、好かれる。ドレファン拐う、難しくなるから」

「男も一緒。強い男、好かれる。略奪者から、妻子守れる。弱い、狩り下手、山で生きる、難しい」


 そして、双子が声を合わシンクロさせて言う。


「「ミリー、可愛い。腕が立つ、良い事。それを悪く言う男、器ちっちゃい、馬鹿。無い、見る目」」


 貴族云々の事はよく解らないが、可愛いなら尚更、自身で身を守る術を持つのは良い事だと、双子は思っていた。

 そんな双子が真顔で真剣にミリアムに言うものだから、双子の正面に居たミリアムの顔が、徐々に赤くなっていく。

 双子の言葉にお世辞やおべっかといった物は感じられず、本心をそのまま口にしているのだと理解しわかってしまう為、取り繕う事が出来なくなってしまうミリアム。


「あっ……有難う、御座います……」

「本当無い、見る目。……ルネ、貴族じゃないけど、ルネだったらミリー、絶対、大切にするのに」


 ルネが思わずと言った具合に吐き出した言葉を聞き、ルナは驚き、ルークスがニッコリと微笑む。


「良いね、それ。ミリーは家を継がないから、ミリーの相手は貴族じゃなくても大丈夫だし、寧ろ、相手がルネなら、大歓迎じゃないかな?ルネは私の父で有るローズウッド公爵のお気に入りだし、国王夫妻の恩人として覚え目出度いし、更には、王弟クルルフォーン公爵の使用人だからね」


 ルークスの言葉に、ルネは吃驚するも、その瞳はキラキラと輝きミリアムを見る。


「ちょっ、ルーク兄様?!」


 その一方、笑顔で宣うルークスに、ミリアムは慌ててルークスの言動を止めようとするが、そんなミリアムにルークスは笑顔で続ける。


「ミリーにとっても、悪い話では無いと思うよ?ルネは強い女の子ミリーを大切にしてくれると言ってくれてるし、元婚約者を含む、ミリーを嘲る連中は後々後悔すると思うし、何よりミリーはそんな連中と付き合う事はしなくて良くなる。それに、ミリーの好きな鍛練も、好きなだけ出来ると思うよ?それともミリーは、相手は貴族が良いのかな?」


「そっ、そんな事は無いです!!けっ、けれど、でもっ……」


 ミリアムはルネに思わず視線を向けると、そのまま顔から火が出るのではないかと思える程、顔を真っ赤に染め、そのまま固まってしまった。
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