氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

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後日談

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 元々エリオールは表情が豊かとは言えなかったが、姉のように慕っていた侍女の件で、殆ど笑わなくなっていた。

 そんな彼女を見て、侍女の件を知らない貴族達は、『エリオールは子供なのに可愛気が無い』と陰口を叩く。

 腹違いの妹は、あんなにも愛想も愛嬌も良いのにと。

 ただ、エリオールも言われっぱなしでは無く、『最近、駄犬が煩くて困るわ。忠犬なら良いけど、ただ吠えるだけで、忠誠を捨てた駄犬が多くて嫌だわ。無能な駄犬なんて要らないのに』と、相手に聴こえるように大きな独り言を言う。

 それで相手が憤慨しようと、エリオールの知った事では無い。

 寧ろ、駄犬と言われて反応している時点で、自身に当て嵌まると認めているようなものだろう。

 そんなエリオールを見ていて、毒舌モードのリラを彷彿とさせたエヴァンス家の潜入組は、元々エリオールの感性と優秀さに目を付けていたので、ディーランか、ディーランの同盟国の、年の近い王子の妃候補にしてはどうかと報告していたのだ。

 姿や色合いは全然似ていないのに、リラお嬢様を思い起こさせます、と付け加え、それを読んだジルギリスが、使用人達の願いを聞き入れ、確認の為に出向く事を見越した上で。

    リラの場合は、家族や使用人達が、多大なる愛情を持って接していたが、エリオールの場合、家族だろうと使用人だろうと、裏切りの対象なので、誰一人、信頼出来ない立場に置かれている。

 このまま放置すれば、真面な感性を持っているエリオールが、不幸になるのは目に見えているし、優秀な人材を潰す事になり兼ねない。

 エヴァンス家の潜入組の見立てでは、次の王はエリオールの実兄が最有力候補で、次にエリオール、腹違いの兄、腹違いの妹と続く予想だ。

 因みにこの予想は、正妃側妃の血筋を考慮せずに見立てた物で、実力主義のエヴァンス家の使用人で有る、彼等の見立てだからこそ、私情は挟まれていない。

 ただ、この国の貴族連中は、エリオールがバレない程度に手を抜いてる事や、腹違いの王子や妹に加担する者達の改竄で、エリオールの実兄と腹違いの兄が僅差で実兄が勝ち、エリオールと腹違いの妹は僅差で妹の方が勝っていると誤解しているようだが、それをエヴァンス家の潜入組が教えてやる義理は無い。

 エリオールの実兄が王位に就くだろうとは思うが、不測の事態は起こり得る。

 実兄がエリオールを脅威に思う可能性も有るし、実兄が王位を継げない可能性も有る。

 ディーラン的には、誰が王位を継ごうが構わないし、継ぎたい者が継げば良いとは思っているが、前王のような身の程知らずでは困るのだ。

 幸い、現国王は前王の心底怯える姿を目にしてる為、ディーランには従順だ。

 だが、側妃達の子はディーランに対して過小評価をしている節が有る。

 今回の件で、エリオールは表向き人質扱いだ。しかし、裏を返せば人質は、国に取って重要な者でしか、人質にはなり得ない。

 国王からこの件について語られた時、実兄はその場では口を閉ざしていたが、側妃の子供達は、エリオールで務まるのか?人選を変えるべきでは?と発言し、大国を敵に回す気かと叱責され、素直に謝り反省してる振りをして、ディーランに接触しようとエリオールの部屋の前を彷徨いているらしい。

 そしてその事に対して、ジルギリスは国王に、不愉快だと一言書いたショーン国王直筆そっくりの手紙を、王の執務室の机の上に置かせて、子供達の教育の見直しを促したのだった。
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