氷結の毒華は王弟公爵に囲われる

カザハナ

文字の大きさ
805 / 805
後日談

25

しおりを挟む
 ダンスが終わった後、給仕係に飲み物を貰い、一息付いてクルルフォーン公爵夫妻、次いで高位貴族や高位の役職者から順に、エリオールとレオンの二人で挨拶回りを開始する。

 因みに、エリオールとリラとの会話は、外用の正論武装……リラの結婚前であれば、壮絶な嫌味の舌戦と勘違いされるような会話が繰り広げられていたが、リラの本質を思い知った大人組は、リラ達の瞳の輝きで、似た者同士なのかと検討を付け、そうとも知らない子供組は、女ってこえぇと怯えていたりする。

 エリオールはこの夜会前に、ディーランの貴族名鑑の最新版を何度も確認し、一通り頭に叩き込んでるが、女性の顔は載ってない為、顔と名前を一致させようとしていた。

 当然今まで学んだ成果、領地の特産や土地柄の特徴、家族構成や個々の趣味等、エヴァンス家からの情報提供を元に、相手との会話に混ぜれば、侮られる確率は低くなる。

 しかも、最初に話していたリラとの会話は、他領域の共通語にも及んでいた。

 どこぞの自称レオンの婚約者候補達とは天と地程の差が有るのだ。

 最近は、どの国でも国交が盛んになりつつある状況だ。

 今はまだ、自国とは違う共通語領域の交流は少なく、ディーランはカルハゼ領域の中心部に近い場所に位置する大国な為、他領域の共通言語を使う使者が来る事は殆ど無い。故に、他領域の共通言語を学びはするが、勉学の時間以外で使う事は無いに等しい。

 だが、時折領域を越えてまで、交流を持とうとする者が少数ながらも居るのだ。

 例えば、儲けたい商人だったり傭兵だったり、時には亡命したい貴族や王族だったり、異なる文化や技術を学ぶ為だったり。

 当然、善人も居れば悪人も居る。

 ショーン国は中小国で、内陸部に位置するものの、海に面した隣国はカルハゼ領域の端で、ショーン国内に流れる川は大河となり海に通じている為、ディーラン国と比べると、他領域との交流は多少なりとも有る。

 だからこそエリオールは、自国の者達にあまり知られぬよう、他領域の共通言語や大まかな地理等をほぼ独学で学んでいたのだ。

 ジルギリス達と出会う前のショーン国に居る時とは違い、常に気を張らずに生活出来る環境は、エリオールにとって最良の環境と言える。

 しかも、些細なミスで命取りになる事も無い為お気楽だ。

 とは言え、仕事は仕事。手を抜けば、後々困るのは自分自身だし、せっかくあの国から抜け出す機会をくれたジルギリス達にがっかりされたくはない。

 そんな思いを胸に、エリオールは次々と夜会での仕事を熟し、御披露目の夜会は大成功で終わったのだった。
しおりを挟む
感想 2,440

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2440件)

いぬぞ~
2024.12.11 いぬぞ~

ジル父様もっとやっちゃってください。
なんならおじい様もご一緒に。

コミュ症になる前だけど領地から出てきてるって事だったら、お菓子の恨みは地獄の底よりも深いのですよ…。
リラちゃんも可哀想に、皆んなで楽しくお茶会が自由人によって大部分が消えてしまったなんて…。
未来でエドさんのいるところでマーウさんを同席させてこのお話聞かせてあげたいですね。

2024.12.11 カザハナ

「今思い出しても腹が立つ案件の上位ですから💢」(byジルギリス)
「ああ、本当になぁ(-_-#)」(byジオラルド)
 愛娘&可愛い孫娘の初めての手作りを一番最初に食べる手柄を横取り(?)されて、今も尚、かなりなご立腹です( ̄▽ ̄;)

 リラがコミュ障になる前なので、恨みも根深いでしょうねぇ(笑)
 皆でお茶会なのに、皆が来る前に作ったクッキーが全部無くなっちゃうかも💦と焦るリラに気付かずバリボリ頬張るマーウィン。
 この頃はまだジオラルドも王都勤めしていたので、ジルギリスに話を聞いて、最愛の孫娘の初菓子の恨み云々なお仕置きに加わっている事でしょうΣd(・∀・´)
 エドワルドが知ったら、猛毒とか盛りそうですね(笑)←ただし、マーウィンは毒耐性が強いので、腹痛程度で済ませてそうです(;¬_¬)

解除
もらわれっこ

ちっちゃな子のお手伝い……
気を付けていても髪の毛やほっぺに粉が付くんですね(可愛いだろうなぁ)

2024.12.11 カザハナ

 目をキラッキラ✨させながら、あちこち粉を付けて、それを温かいおしぼりで擽ったそうに拭かれるチビッ子リラは悶絶物かと(*´艸`)✨

解除
いぬぞ~
2024.07.25 いぬぞ~

ここまでやって成長できなかったらねぇ…、エドさんは王位にはつきたくないだろうから、アレクさんとシア姉さまに励んでもらった後、アレクさんに健康で長生きしてもらわないと(笑)。

レオンくんよりエリオールちゃんの仕上がりが先行しまくってる気がする。


『アレクさんの名前あってるよね?』で確認して名前見て思い出した。
ファーニーさんはお元気ですかねぇ。変装したシア姉様が政務官補佐やってたなぁ…と。
懐かしい。

2024.07.26 カザハナ

 ここまでやって成長出来なかった場合、王位を後に産まれる歳の離れた妹にと言われ兼ねないですもんね~( ̄▽ ̄;)←エドワルドは継承権放棄してるので、エドワルドの息子達に話が行く可能性もありますが、余程の事が無い限りエドワルドが阻止する筈。

 レオンの仕上がりは、王太子と言う事でエリオールより詰め込まれているけど、それを処理する能力は有るので、エリオールと同等かそれ以上に進められてるけど、舞台が自国なので、それ程目立たないと言うか、エリオールの方が目立ってるだけだったりします(笑)

 因みにファーニーは一応海外派遣の精鋭で、面白い事や諜報活動が大好きな人なので、元気にあちこち飛び回ってますΣd(・∀・´)
 能力的に重宝されるので、国内外問わずあちこちからお呼び出しが掛かって、嬉々として出向いてますね(笑)

解除

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。