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後日談
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ダンスが終わった後、給仕係に飲み物を貰い、一息付いてクルルフォーン公爵夫妻、次いで高位貴族や高位の役職者から順に、エリオールとレオンの二人で挨拶回りを開始する。
因みに、エリオールとリラとの会話は、外用の正論武装……リラの結婚前であれば、壮絶な嫌味の舌戦と勘違いされるような会話が繰り広げられていたが、リラの本質を思い知った大人組は、リラ達の瞳の輝きで、似た者同士なのかと検討を付け、そうとも知らない子供組は、女って怖ぇと怯えていたりする。
エリオールはこの夜会前に、ディーランの貴族名鑑の最新版を何度も確認し、一通り頭に叩き込んでるが、女性の顔は載ってない為、顔と名前を一致させようとしていた。
当然今まで学んだ成果、領地の特産や土地柄の特徴、家族構成や個々の趣味等、エヴァンス家からの情報提供を元に、相手との会話に混ぜれば、侮られる確率は低くなる。
しかも、最初に話していたリラとの会話は、他領域の共通語にも及んでいた。
どこぞの自称レオンの婚約者候補達とは天と地程の差が有るのだ。
最近は、どの国でも国交が盛んになりつつある状況だ。
今はまだ、自国とは違う共通語領域の交流は少なく、ディーランはカルハゼ領域の中心部に近い場所に位置する大国な為、他領域の共通言語を使う使者が来る事は殆ど無い。故に、他領域の共通言語を学びはするが、勉学の時間以外で使う事は無いに等しい。
だが、時折領域を越えてまで、交流を持とうとする者が少数ながらも居るのだ。
例えば、儲けたい商人だったり傭兵だったり、時には亡命したい貴族や王族だったり、異なる文化や技術を学ぶ為だったり。
当然、善人も居れば悪人も居る。
ショーン国は中小国で、内陸部に位置するものの、海に面した隣国はカルハゼ領域の端で、ショーン国内に流れる川は大河となり海に通じている為、ディーラン国と比べると、他領域との交流は多少なりとも有る。
だからこそエリオールは、自国の者達にあまり知られぬよう、他領域の共通言語や大まかな地理等をほぼ独学で学んでいたのだ。
ジルギリス達と出会う前のショーン国に居る時とは違い、常に気を張らずに生活出来る環境は、エリオールにとって最良の環境と言える。
しかも、些細なミスで命取りになる事も無い為お気楽だ。
とは言え、仕事は仕事。手を抜けば、後々困るのは自分自身だし、せっかくあの国から抜け出す機会をくれたジルギリス達にがっかりされたくはない。
そんな思いを胸に、エリオールは次々と夜会での仕事を熟し、御披露目の夜会は大成功で終わったのだった。
因みに、エリオールとリラとの会話は、外用の正論武装……リラの結婚前であれば、壮絶な嫌味の舌戦と勘違いされるような会話が繰り広げられていたが、リラの本質を思い知った大人組は、リラ達の瞳の輝きで、似た者同士なのかと検討を付け、そうとも知らない子供組は、女って怖ぇと怯えていたりする。
エリオールはこの夜会前に、ディーランの貴族名鑑の最新版を何度も確認し、一通り頭に叩き込んでるが、女性の顔は載ってない為、顔と名前を一致させようとしていた。
当然今まで学んだ成果、領地の特産や土地柄の特徴、家族構成や個々の趣味等、エヴァンス家からの情報提供を元に、相手との会話に混ぜれば、侮られる確率は低くなる。
しかも、最初に話していたリラとの会話は、他領域の共通語にも及んでいた。
どこぞの自称レオンの婚約者候補達とは天と地程の差が有るのだ。
最近は、どの国でも国交が盛んになりつつある状況だ。
今はまだ、自国とは違う共通語領域の交流は少なく、ディーランはカルハゼ領域の中心部に近い場所に位置する大国な為、他領域の共通言語を使う使者が来る事は殆ど無い。故に、他領域の共通言語を学びはするが、勉学の時間以外で使う事は無いに等しい。
だが、時折領域を越えてまで、交流を持とうとする者が少数ながらも居るのだ。
例えば、儲けたい商人だったり傭兵だったり、時には亡命したい貴族や王族だったり、異なる文化や技術を学ぶ為だったり。
当然、善人も居れば悪人も居る。
ショーン国は中小国で、内陸部に位置するものの、海に面した隣国はカルハゼ領域の端で、ショーン国内に流れる川は大河となり海に通じている為、ディーラン国と比べると、他領域との交流は多少なりとも有る。
だからこそエリオールは、自国の者達にあまり知られぬよう、他領域の共通言語や大まかな地理等をほぼ独学で学んでいたのだ。
ジルギリス達と出会う前のショーン国に居る時とは違い、常に気を張らずに生活出来る環境は、エリオールにとって最良の環境と言える。
しかも、些細なミスで命取りになる事も無い為お気楽だ。
とは言え、仕事は仕事。手を抜けば、後々困るのは自分自身だし、せっかくあの国から抜け出す機会をくれたジルギリス達にがっかりされたくはない。
そんな思いを胸に、エリオールは次々と夜会での仕事を熟し、御披露目の夜会は大成功で終わったのだった。
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ジル父様もっとやっちゃってください。
なんならおじい様もご一緒に。
コミュ症になる前だけど領地から出てきてるって事だったら、お菓子の恨みは地獄の底よりも深いのですよ…。
リラちゃんも可哀想に、皆んなで楽しくお茶会が自由人によって大部分が消えてしまったなんて…。
未来でエドさんのいるところでマーウさんを同席させてこのお話聞かせてあげたいですね。
「今思い出しても腹が立つ案件の上位ですから💢」(byジルギリス)
「ああ、本当になぁ(-_-#)」(byジオラルド)
愛娘&可愛い孫娘の初めての手作りを一番最初に食べる手柄を横取り(?)されて、今も尚、かなりなご立腹です( ̄▽ ̄;)
リラがコミュ障になる前なので、恨みも根深いでしょうねぇ(笑)
皆でお茶会なのに、皆が来る前に作ったクッキーが全部無くなっちゃうかも💦と焦るリラに気付かずバリボリ頬張るマーウィン。
この頃はまだジオラルドも王都勤めしていたので、ジルギリスに話を聞いて、最愛の孫娘の初菓子の恨み云々なお仕置きに加わっている事でしょうΣd(・∀・´)
エドワルドが知ったら、猛毒とか盛りそうですね(笑)←ただし、マーウィンは毒耐性が強いので、腹痛程度で済ませてそうです(;¬_¬)
ちっちゃな子のお手伝い……
気を付けていても髪の毛やほっぺに粉が付くんですね(可愛いだろうなぁ)
目をキラッキラ✨させながら、あちこち粉を付けて、それを温かいおしぼりで擽ったそうに拭かれるチビッ子リラは悶絶物かと(*´艸`)✨
ここまでやって成長できなかったらねぇ…、エドさんは王位にはつきたくないだろうから、アレクさんとシア姉さまに励んでもらった後、アレクさんに健康で長生きしてもらわないと(笑)。
レオンくんよりエリオールちゃんの仕上がりが先行しまくってる気がする。
『アレクさんの名前あってるよね?』で確認して名前見て思い出した。
ファーニーさんはお元気ですかねぇ。変装したシア姉様が政務官補佐やってたなぁ…と。
懐かしい。
ここまでやって成長出来なかった場合、王位を後に産まれる歳の離れた妹にと言われ兼ねないですもんね~( ̄▽ ̄;)←エドワルドは継承権放棄してるので、エドワルドの息子達に話が行く可能性もありますが、余程の事が無い限りエドワルドが阻止する筈。
レオンの仕上がりは、王太子と言う事でエリオールより詰め込まれているけど、それを処理する能力は有るので、エリオールと同等かそれ以上に進められてるけど、舞台が自国なので、それ程目立たないと言うか、エリオールの方が目立ってるだけだったりします(笑)
因みにファーニーは一応海外派遣の精鋭で、面白い事や諜報活動が大好きな人なので、元気にあちこち飛び回ってますΣd(・∀・´)
能力的に重宝されるので、国内外問わずあちこちからお呼び出しが掛かって、嬉々として出向いてますね(笑)