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~デ・フォン領域~
リウリク=ウィルクは錬金術師でありました。
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「リウリクっておめでたい名前だね」
「あぁ?」
「だって、楽しく包む嬉しい祝福って、凄く喜んで付けた名前っぽいし、古代の祝福の唄に、そんな題名の歌があるよ」
僕の言葉に足を止める男。
「お前、古代語が解るのか?」
「まぁね。だから、ここで迷子になる事はないよ。それを狙ってるなら御愁傷様?」
ポカンとした顔を晒すリウリクに、更なる衝撃を与えてみよう。
「因みに僕、公認の魔物キラーだから。この剣飾りじゃないからね。リウリクは……錬金術師?」
「はぁあ?!公認って……いや、待て。何で俺が錬金術師だって分かった?!」
「白衣で。職業柄白衣を着るのは医学関連か錬金術師でしょ?」
「……何でそこで錬金術師一択だ?医学関連もなら、何故二択にならない?」
「だって、医学関連だと大概薬草の匂いがするもん。リウリクからは、それっぽい匂いは一切しないよ?」
「ああ、成る程な……」
リウリクが再び歩き出す。
さすが錬金術師だな、立て直しが早い。
後、歩調は多分、普段のリウリクの早さだと思う。僕に合わせる気は無さそうだから。でも僕、ラファス兄にも付いて行けるから、全く問題無いね。あっ、でも、誤解しないでね?ラファス兄、普段は僕に合わせようとするから。
平然と歩く僕を横目に見て、リウリクが僕に話し掛けてくる。
「……末恐ろしい小僧だな。だが、面白い。ラファール、ここが何か知ってるか?」
「古代施設があったんだよね?治療施設と研究施設。内部の地図があればもっと詳しく現在地や場所、位置や方角なんかも分かるんだろうけど、こればっかりは仕方ないね」
「本当、よく知ってるな。俺が向かうのは研究施設のほうだが、この辺は3ティファル(※3年)程昔、人間を核にした合成体を造り出した男が居てな、そいつのお陰で騎士団連中がたまにいるんだ。俺は研究をしたいからここに通ってるんだが、見付かると煩い。その、幽霊?ってのは、合成体を造り出した男が処刑されたから、そんな噂になったんじゃねぇか?」
「知ってる。まぁ本当にその幽霊なら、僕がこの手で始末する気だったし」
「おっかねぇな。公認の魔物キラーは皆そうなのか?」
「さぁ?僕以外の公認は一人しか知らないし」
実力的に、特部の兄さん達は公認になれるんだろうけど、資格は取ってないらしいから、実質ラファス兄しか見た事ないんだよね。魔物キラー同士で集まる事も無いし。
ラファールって名前は本来、娘に付ける名だけど、人間は古代語を精通してても大概、息子と訳すから、不思議だよね~。因みに長寿種族はちゃんと訳す。でもスーヴェンさんには男の子なのに女の子の名前付けられてるって思われてたっぽいけど。たまにやらかす人間がいるから仕方ないけどね。まぁ、精霊人だとは言わず、誤解も解かずにいたから、僕がこの前暴露した時に気付いただろうけど。
「リウリクはどんな研究してるの?」
「言っとくが、俺は合成体を造る気はないぞ。人形に意思を持せたり、人間の媒介にする事は出来るがな」
「おおっ、それって人形使い?古代の錬金術の一つだよね。後、人間や他の種族の媒介を造る時は、核とは別に、その素になる魔力を魔石に変える術も使えないと出来なかったよね?」
「そんな事まで知ってんのか……。俺の場合は血液を魔石化させる。だから血液採集してるがな」
「一応聞くけど、任意で?」
「当たり前だろ。俺は犯罪者じゃねぇよ。採集っつったって、注射器で貰う程度だ。医療関係者が血液検査する時あるだろ。あの時に使う量で充分なんだよ」
ああ、なら問題無いね。たまにいるんだよ、狂った奴が。研究の為に人を殺して血液を抜き取るとか、あの男みたく命を弄んだり軽んじるとか、任意無く取っ捕まえて監禁した挙げ句、飼い殺し状態とか。錬金術師だけじゃないけど、研究だの国の為だの大義名分を振り翳す奴等は、何をしても良いと勘違いする馬鹿もいるからね。
まぁ勿論、リウリクの言葉を鵜呑みにする程、僕はリウリクの事を知りはしないから、確認はするつもりだよ?大丈夫だとは思うけど、中には悪意無くやらかす人もいるからね。ウル兄みたいに。
まぁウル兄の場合、やらかしはするけど、殺す事の何が悪いの?とか、邪魔だから排除しただけ。とかは言わないから、殺害や死亡案件に発展する事は無いと思うので、そこが救いかな?一応あんなんでも領主ではあるからね。
「今も人形使いの研究してるの?」
「ああ、基本は出来ているし、見た目は人間と大差無い。だが、どうしても脆くなるし、動かせない。昔は質の良い魔石も苦労せず手に入ったのかも知れんが、今は入手不可と言えるだろう。人工魔石じゃどうしても限度がある」
「因みに、魔石の純度はどのくらい?」
「最低でも、ヘグルス(※重力)が6以上じゃないと、人工魔石への負荷が掛かり過ぎて動かせない。ただ、6でも本当にギリギリで、動くかどうかって所だな」
「あぁ?」
「だって、楽しく包む嬉しい祝福って、凄く喜んで付けた名前っぽいし、古代の祝福の唄に、そんな題名の歌があるよ」
僕の言葉に足を止める男。
「お前、古代語が解るのか?」
「まぁね。だから、ここで迷子になる事はないよ。それを狙ってるなら御愁傷様?」
ポカンとした顔を晒すリウリクに、更なる衝撃を与えてみよう。
「因みに僕、公認の魔物キラーだから。この剣飾りじゃないからね。リウリクは……錬金術師?」
「はぁあ?!公認って……いや、待て。何で俺が錬金術師だって分かった?!」
「白衣で。職業柄白衣を着るのは医学関連か錬金術師でしょ?」
「……何でそこで錬金術師一択だ?医学関連もなら、何故二択にならない?」
「だって、医学関連だと大概薬草の匂いがするもん。リウリクからは、それっぽい匂いは一切しないよ?」
「ああ、成る程な……」
リウリクが再び歩き出す。
さすが錬金術師だな、立て直しが早い。
後、歩調は多分、普段のリウリクの早さだと思う。僕に合わせる気は無さそうだから。でも僕、ラファス兄にも付いて行けるから、全く問題無いね。あっ、でも、誤解しないでね?ラファス兄、普段は僕に合わせようとするから。
平然と歩く僕を横目に見て、リウリクが僕に話し掛けてくる。
「……末恐ろしい小僧だな。だが、面白い。ラファール、ここが何か知ってるか?」
「古代施設があったんだよね?治療施設と研究施設。内部の地図があればもっと詳しく現在地や場所、位置や方角なんかも分かるんだろうけど、こればっかりは仕方ないね」
「本当、よく知ってるな。俺が向かうのは研究施設のほうだが、この辺は3ティファル(※3年)程昔、人間を核にした合成体を造り出した男が居てな、そいつのお陰で騎士団連中がたまにいるんだ。俺は研究をしたいからここに通ってるんだが、見付かると煩い。その、幽霊?ってのは、合成体を造り出した男が処刑されたから、そんな噂になったんじゃねぇか?」
「知ってる。まぁ本当にその幽霊なら、僕がこの手で始末する気だったし」
「おっかねぇな。公認の魔物キラーは皆そうなのか?」
「さぁ?僕以外の公認は一人しか知らないし」
実力的に、特部の兄さん達は公認になれるんだろうけど、資格は取ってないらしいから、実質ラファス兄しか見た事ないんだよね。魔物キラー同士で集まる事も無いし。
ラファールって名前は本来、娘に付ける名だけど、人間は古代語を精通してても大概、息子と訳すから、不思議だよね~。因みに長寿種族はちゃんと訳す。でもスーヴェンさんには男の子なのに女の子の名前付けられてるって思われてたっぽいけど。たまにやらかす人間がいるから仕方ないけどね。まぁ、精霊人だとは言わず、誤解も解かずにいたから、僕がこの前暴露した時に気付いただろうけど。
「リウリクはどんな研究してるの?」
「言っとくが、俺は合成体を造る気はないぞ。人形に意思を持せたり、人間の媒介にする事は出来るがな」
「おおっ、それって人形使い?古代の錬金術の一つだよね。後、人間や他の種族の媒介を造る時は、核とは別に、その素になる魔力を魔石に変える術も使えないと出来なかったよね?」
「そんな事まで知ってんのか……。俺の場合は血液を魔石化させる。だから血液採集してるがな」
「一応聞くけど、任意で?」
「当たり前だろ。俺は犯罪者じゃねぇよ。採集っつったって、注射器で貰う程度だ。医療関係者が血液検査する時あるだろ。あの時に使う量で充分なんだよ」
ああ、なら問題無いね。たまにいるんだよ、狂った奴が。研究の為に人を殺して血液を抜き取るとか、あの男みたく命を弄んだり軽んじるとか、任意無く取っ捕まえて監禁した挙げ句、飼い殺し状態とか。錬金術師だけじゃないけど、研究だの国の為だの大義名分を振り翳す奴等は、何をしても良いと勘違いする馬鹿もいるからね。
まぁ勿論、リウリクの言葉を鵜呑みにする程、僕はリウリクの事を知りはしないから、確認はするつもりだよ?大丈夫だとは思うけど、中には悪意無くやらかす人もいるからね。ウル兄みたいに。
まぁウル兄の場合、やらかしはするけど、殺す事の何が悪いの?とか、邪魔だから排除しただけ。とかは言わないから、殺害や死亡案件に発展する事は無いと思うので、そこが救いかな?一応あんなんでも領主ではあるからね。
「今も人形使いの研究してるの?」
「ああ、基本は出来ているし、見た目は人間と大差無い。だが、どうしても脆くなるし、動かせない。昔は質の良い魔石も苦労せず手に入ったのかも知れんが、今は入手不可と言えるだろう。人工魔石じゃどうしても限度がある」
「因みに、魔石の純度はどのくらい?」
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