英雄王の末裔 ~青のラファール~

カザハナ

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~フィルゼン領域~

再会と制裁と謝罪

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 ウル兄と僕を追い掛け回していた騎士達を訓練場に呼んであるという事で、アル兄に連れられて僕はその場に早速向かう。

「よぅラル!何か悪かったなっ、犯罪者にされてたって?おっかしいなぁ、何でそうなっちまったんだ?犯罪者だなんて、一言も言ってないんだけどなぁ」

 うん。やっぱ大して反省してないな。

「犯罪者だなんて言わなくても、そうと取られる発言をしたから、僕が追い掛け回される羽目になったんだよね?それに僕、スオウから連絡入れたよね?デ・マームに着いたら本部へと顔を出すからって。なのに、何で指名手配掛けられなきゃなんないの?」
「いやいや、あれは指名手配って訳じゃなくてだな……」
「じゃあ何なのさ。そっちの騎士達、僕の姿知ってたよね?それって写真か何か見てるって事でしょ?でなきゃ、僕を見てあいつだなんて言わないよね?」

 僕が笑顔でウル兄と他の騎士達を見回す。と、他の騎士達は無言を貫くが、僕の一瞥で身体を硬直させた。

「あっ、あのなラル――」
「取り敢えずウル兄、歯ぁ食いしばれ♪」
「へ?!ちょっと待て!何する気だ?!」

 ウル兄の制止を無視して、僕が剣を鞘付きで構える。

「何って、勿論一撃食らわす気だよ?後々ラファス兄にも制裁加えられるだろうけど、何より僕の気が済まないからね!」
「ぐわっ!!」

 僕が言い終わると同時にウル兄へと力一杯剣を打ち込む。その際骨が何本か折れた音が聞こえたけど、それも承知で一撃入れたからね。
 因みに、ウル兄は動く事すら出来ないように、アル兄がちゃんと、ウル兄を風の魔法で捕まえててくれてたんだ♪
 何せウル兄は、こんなだけど僕より強い。というか、特部の人達は皆、僕では敵わないのだ。まぁ、裏技として、ヘグルス(※重力)変換器機を外せば、この大陸では確実に勝てるけど、そんなので勝てても嬉しくないからね。
 僕の行動を見ていた他の騎士達は、顔面蒼白状態だ。けど、ウル兄の場合は自業自得だからね。

「アル兄有難う、ウル兄取っ捕まえてくれて。僕だけじゃ、逃げられるとさすがに一撃入んないからね」
「一発と言わず、いくらでも入れて構いませんよ?ウボールは自業自得ですし、ラルにはそれだけの権利がありますから」

 僕同様アル兄も、良い笑顔で怒ってる。僕じゃなければ牢屋行きか大怪我してた事だろう。

「うん、でもそれはラファス兄に任せる。僕は旅を楽しんでる最中だからね。さて、僕を追い回してた騎士の兄さん達、何か言う事は?」

 一応、僕を追い回してた騎士の兄さん達からの謝罪って事でもあったからね。今回の事はウル兄が元凶とはいえ、犯罪者かどうかの確認ぐらいはウル兄に出来た筈だ。さすがにウル兄も犯罪者かと問われれば訂正するからね。

「「「「すいませんでした!!」」」」

 声を揃えて一斉に謝る騎士の兄さん達。

「次やったら、ウル兄と同じ目に遭わすから覚悟してね?」

 僕が笑顔で切り返し、その言葉に硬直する兄さん達。けど、次やらなければいいだけの話だからね?

「それと、僕の連れが心配しているだろうから、僕の連れにも冤罪だった事をちゃんと説明してね?ただし、僕の連れの中に、僕と特部の関係性を知らない人がいるから、ウル兄とか僕の兄さんとか、特部の名前は出さずにいてくれると嬉しいな」
「ウボールの所為で、特部の名を貶めたくありませんからね。本来ラルは、貴方達が束になっても勝てる相手ではないし、ラルが貴方達を傷付けないよう逃げ回っていたに過ぎません。私達特部は、ラルに入隊しないかと何度も話を持ち掛けている程ですから」

 アル兄の言葉に、ウル兄を除いた他の兄さん達が驚きまくる。
 (あー……そういや何度か言われたなぁ。だけど、僕としてはまだまだ納得いかないから断ってるんだよね。どうせなら、もっと強くなってから誘ってほしいと言って)

「そう言われても、僕はまだまだ上を目指してる最中だし、実力だって特部の兄さん達にはまだまだ及ばないと思ってるんだよね。だから、僕自身が納得出来ない内は、いくら誘われても承諾出来ないからね」

 特部にはラファス兄がいるし、入隊に抵抗感は殆どない。まぁ、ラファス兄がいなかったら、抵抗感はあったかも知れないけどね。

「特部の誘いを断るなんて……」
「そうは言うけど、僕、まだ子供だし。権力とか名誉とか、全く興味ないんだよね~。しかも、ウル兄みたいなトラブルメーカーがいるんだよ?巻き込まれるの確定だよ?今の僕じゃ仕返ししたくても、他の特部の兄さん達に手を貸して貰わなきゃ、仕返しすら出来ないんだよ?周りに手を煩わせるなら、もっと強くなってからの方が良いよね?」

 僕は笑顔で言い切ってやる。反論出来るならしてみやがれ。ってか、子供云々を抜きにしても、ウル兄を相手にするのがどれ程大変か、今回の事で理解出来なかったなら、ウル兄と1ウィテル(※1ヶ月)程一緒にいれば嫌でも理解出来るから、やってみたらいいさ。

「かっ、考えなしですみませんでした……」

 どうやら僕の笑顔での威圧に、先程の声の主が、前言撤回したようだ。
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