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ラファスの用事
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~アーヴェルとの出会いの後のオマケ話~
「そういやお前、急ぎの用があったんじゃねぇのか?時間がどうとか、この地を出たがってたよな?」
「……ああ、まぁな」
「大丈夫なのか?」
「手続きなんぞしなければな」
ラファスが嫌そうに答えると、それを聞いていたアーヴェルが口を挟む。
「それなら、私も同行しますが。本部に来ていただくのはそれからで構いませんし」
「勝手にしろ」
「――ってどこ行く気だ?」
ホバノールの問い掛けにラファスが答える。
「大地の裂け目」
この世界には、大地の裂け目と呼ばれる場所が複数ある。大陸によって呼び名は違うが、そこは通称“底無しの谷”とも“死の谷”とも“死の淵”とも呼ばれる場所。一度落ちたら誰も生還出来ないとされる場所だ。そんな場所に行きたがる者は少なく、観光気分で行った者も二度は行きたがらない。
「ちょっと待て!何しに行くんだあんな場所!!?」
名称を聞いただけでビビるホバノールにラファスは答える。
「知り合いに会う為」
「街とかで会えよ!!(泣)」
「無理だ」
「何で!?」
「人じゃない」
「人じゃないって……はあ?!」
「人の形は取るが人じゃない」
話を聞いていたアーヴェルも驚いているが、呆然とするホバノールに更に追い打ちを掛けるラファス。
「闇夜でなければ会えないからな。5ディフェルス(※5日後)を逃せば1ティファルス(※1年後)になる」
「聞いた事ねぇよ!そんな種族!!」
「だろうな」
「……本当に会えんのか?」
「ああ」
「害はねぇんだろうな」
恐る恐る聞くホバノール。
「危害を加えなければな」
「……好奇心に勝てねぇ自分が嫌だ」
何だかんだ言いながらも同行する事にしたホバノール。アーヴェルは勿論最初から同行する気でいたとさ。
5ディフェルスの夜、大地の裂け目にてラファスが真っ暗闇の中、荷物の中に入れていた竪琴で曲を流すと、周囲にあった花々の蕾がポンッという音と共に開きだし、まるでラファスの出す音に反応するかの如く、蛍のように光を放つ。
その幻想的な光景と雰囲気に呑まれていると、いつの間にか現れた者が声を発する。
「珍しい事もある物ですね。私はてっきり自慢の彼女を連れて来て下さったのかと思いましたよ」
((彼女?))
アーヴェルとホバノールが首を傾げる。
「先約があった」
「それは残念ですね。それで、そちらの方々は?」
「成り行きだ」
「もしや、彼女の身代わり、とか?」
「何かになるか。伝言ならあるが?」
曲を流しながら、会話を続けるラファス。
「……えっ?!本当ですか?!聞きます勿論!」
ラファスが溜め息一つ吐いてから、伝言を伝える。
「次回は必ず行くから楽しみに待っててくれだと」
「……本当にそんな事を言って下さったんですか?!」
「口調は違うがな……。不満か?」
「滅相もない!!お会い出来るのを楽しみにお待ちしますと伝えて下さい!」
ラファスの目が幾分和らいだ様子に驚く二人。
(無愛想なこいつでも、こんな表情するんだなぁ……)
「妹に伝えておく」
その言葉に吃驚したホバノールが思わず呟く。
「……兄バカ……?」
「悪いか?」
即座に切り返し、一睨みするラファス。
「悪くない悪くない悪くない~~~!!」
思わず必死で首を振るホバノール。そんなホバノールを横目にアーヴェルがラファスに話し掛ける。
「妹さんがいらしたんですね。似てますか?」
「全然」
きっぱり言い放つラファスに、思わず突っ込むホバノール。
「いや、どんなタイプだよ……」
「可愛いぞ」
ラファスはさらりと言い切り更に言葉を重ねる。
「俺を見付けたら満面の笑顔で走り寄って来るし、表情が豊かで見てて飽きない。思った事を正直に聞くし、又言いもする。相手が何であってもな」
この時、アーヴェルとホバノールは自身の中でラファスの妹を想像したが、妹であるラファールとは、全く異なる者を想像してしまった為、ラファール本人に初めて会った時、妹とは思わず弟もいたんだと勘違いをする羽目になる。
「そういやお前、急ぎの用があったんじゃねぇのか?時間がどうとか、この地を出たがってたよな?」
「……ああ、まぁな」
「大丈夫なのか?」
「手続きなんぞしなければな」
ラファスが嫌そうに答えると、それを聞いていたアーヴェルが口を挟む。
「それなら、私も同行しますが。本部に来ていただくのはそれからで構いませんし」
「勝手にしろ」
「――ってどこ行く気だ?」
ホバノールの問い掛けにラファスが答える。
「大地の裂け目」
この世界には、大地の裂け目と呼ばれる場所が複数ある。大陸によって呼び名は違うが、そこは通称“底無しの谷”とも“死の谷”とも“死の淵”とも呼ばれる場所。一度落ちたら誰も生還出来ないとされる場所だ。そんな場所に行きたがる者は少なく、観光気分で行った者も二度は行きたがらない。
「ちょっと待て!何しに行くんだあんな場所!!?」
名称を聞いただけでビビるホバノールにラファスは答える。
「知り合いに会う為」
「街とかで会えよ!!(泣)」
「無理だ」
「何で!?」
「人じゃない」
「人じゃないって……はあ?!」
「人の形は取るが人じゃない」
話を聞いていたアーヴェルも驚いているが、呆然とするホバノールに更に追い打ちを掛けるラファス。
「闇夜でなければ会えないからな。5ディフェルス(※5日後)を逃せば1ティファルス(※1年後)になる」
「聞いた事ねぇよ!そんな種族!!」
「だろうな」
「……本当に会えんのか?」
「ああ」
「害はねぇんだろうな」
恐る恐る聞くホバノール。
「危害を加えなければな」
「……好奇心に勝てねぇ自分が嫌だ」
何だかんだ言いながらも同行する事にしたホバノール。アーヴェルは勿論最初から同行する気でいたとさ。
5ディフェルスの夜、大地の裂け目にてラファスが真っ暗闇の中、荷物の中に入れていた竪琴で曲を流すと、周囲にあった花々の蕾がポンッという音と共に開きだし、まるでラファスの出す音に反応するかの如く、蛍のように光を放つ。
その幻想的な光景と雰囲気に呑まれていると、いつの間にか現れた者が声を発する。
「珍しい事もある物ですね。私はてっきり自慢の彼女を連れて来て下さったのかと思いましたよ」
((彼女?))
アーヴェルとホバノールが首を傾げる。
「先約があった」
「それは残念ですね。それで、そちらの方々は?」
「成り行きだ」
「もしや、彼女の身代わり、とか?」
「何かになるか。伝言ならあるが?」
曲を流しながら、会話を続けるラファス。
「……えっ?!本当ですか?!聞きます勿論!」
ラファスが溜め息一つ吐いてから、伝言を伝える。
「次回は必ず行くから楽しみに待っててくれだと」
「……本当にそんな事を言って下さったんですか?!」
「口調は違うがな……。不満か?」
「滅相もない!!お会い出来るのを楽しみにお待ちしますと伝えて下さい!」
ラファスの目が幾分和らいだ様子に驚く二人。
(無愛想なこいつでも、こんな表情するんだなぁ……)
「妹に伝えておく」
その言葉に吃驚したホバノールが思わず呟く。
「……兄バカ……?」
「悪いか?」
即座に切り返し、一睨みするラファス。
「悪くない悪くない悪くない~~~!!」
思わず必死で首を振るホバノール。そんなホバノールを横目にアーヴェルがラファスに話し掛ける。
「妹さんがいらしたんですね。似てますか?」
「全然」
きっぱり言い放つラファスに、思わず突っ込むホバノール。
「いや、どんなタイプだよ……」
「可愛いぞ」
ラファスはさらりと言い切り更に言葉を重ねる。
「俺を見付けたら満面の笑顔で走り寄って来るし、表情が豊かで見てて飽きない。思った事を正直に聞くし、又言いもする。相手が何であってもな」
この時、アーヴェルとホバノールは自身の中でラファスの妹を想像したが、妹であるラファールとは、全く異なる者を想像してしまった為、ラファール本人に初めて会った時、妹とは思わず弟もいたんだと勘違いをする羽目になる。
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