出会いと別れと復讐と

カザハナ

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67 (ティファサイド 3)

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 食事をする為、宿屋で評判の食事処を聞き出し街を出歩く。

 エンヤと手を繋ぎ歩くと、人の視線が分散されて、カルラに会う前との違いに気付く。

 カルラと出会う前は、街中であろうといつもエンヤに抱き上げられていた。そうすると、他の守護者達とも顔が近く、他の人達の顔もよく見えていた。

 いつもいつも、女性からの視線が強く、その視線は住んでいた街の女性達や、ティファにつかえていた侍女達と同じ物で、ティファはあの頃を思い出す。

 女性の誰もがティファを羨み、邪見し、嫌悪と悪意を抱くようになる。

 ティファがどれ程好かれたいと願っても、ティファの側に仕えた女性達は皆、ティファを妬み、蔑んでいた。表では敬いながら、裏では悪意ある言葉を振り撒き意思を奪う。

 ティファは彼女達の本心と捉えていた為気付いていないが、神の愛し子としての地位を、美形の男達に護られる立場を、羨み妬み、八つ当たりしていたのだ。

 彼女達はティファがいると知りながら、姿を隠し毒を吐く。何故あの子が愛し子なのか、愛し子で無ければ価値なんて無い、守護者達だって子供のお守りを嫌々でもしなきゃならないのだから可哀想、といった具合に。

 だから、人拐いに拐われて、女性達のいる同じ牢に入れられた時、誰もティファを相手にしないだろうとティファは思っていたのだ。神の愛し子では無いティファは無価値だと言われ続けていたから。

 ティファにとって、カルラは不思議な女性存在だった。

 子供の外見をしてるけど、守護者達とそれ程変わらないであろう女性。その外見は偽りで、本当の姿は解らない女性。そして、ティファを神の愛し子だと認識したようなのに、騒ぐ事も敬遠する事も無く、居心地の良い場所を与えてくれる女性。真眼持ちじゃない筈なのに、真眼を見分ける女性。ティファを嫌わない女性。好意を与えてくれる女性。そのどれもがカルラに当て嵌まり、他の女性達には何一つ当て嵌まらないから。

 なにより他の女性達と違うのは、守護者達よりティファに好意を向けて見てくれる事。

 他の女性達は、口ではティファに敬意を払うように見せているが、その実、愛し子だからとティファ自身を見ない。ティファが守護者と同じ男の子であればまた違った対応になったのだろうが、ティファはどう見ても女の子だし、性別を変える事はティファに出来ない事なのだから。

 手を繋ぐ事でよく解る。抱き上げられていた時よりも視線が強くない事を。カルラがいなければ当たり前で終わっていた事があると。

 カルラがいる事でティファの閉鎖的な世界が壊されていく。

 それは、全く別の世界と言える色付く景色。生きている事を実感出来る世界。

 だからこそ、特別なカルラと別れずにいたいのだ。
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