出会いと別れと復讐と

カザハナ

文字の大きさ
90 / 116

87

しおりを挟む
 カルラはクッキー生地を先ず作り、均一の厚さに伸ばす。


「ティファ、見ててね♪これをギュッと上から押し付けて、そのまま真上に抜くと、ほらね、綺麗に取れた。で、これを優しく指で押し出しこのトレーの上に乗せる。はい、やってみて」


 型抜きをティファに手渡す。

 恐る恐るカルラに言われた通りを繰返し、ソッとトレーの上に乗す。


「上手に出来たね、さすがティファ。それを繰返してこのトレーを一杯にしてくれる?」


 カルラの言葉にティファが頷きせっせと作り出すので、カルラは違う事をする。

 簡単な作業をティファに任せ、力仕事はヒューリーに。そんな感じで作業を進め、焼き上がった物や出来上がった料理を少しずつだけ取り分ける。


「これは味見と試食。手伝ってくれたお礼だから他の二人には内緒でね。物にも寄るけど、その殆どは出来上がりが一番美味しいのよ。ただし、熱いから充分注意して食べてね。ティファが口の中を火傷したなんて事になったら、エンヤさんが『キッチン手伝い禁止!』とか言い出し兼ねないからね。ティファだってそれは嫌でしょ?」


 それは嫌だとコクコク頷き、気を付けながら食べるティファを、カルラは満足そうに見守る。


「……本当、お嬢って、ティファの扱い上手いよね」


 関心したようにヒューリーが呟く。カルラは少しだけ首を傾げ、ああ、そうかと思った事を口にする。


「そう言えば、言ってなかったわね。あたし、ティファに似た感じの弟がいたのよ。大好きな死んだ弟と同じような行動を取るティファが可愛くて、懐かしい気持ちになるのよ。あたしがよく面倒を好んで見てたから尚更ね。女姉妹も欲しかった事もあるし。だから、可愛がるのは良いけど成長の芽まで摘んでるエンヤさんがムカついて。つい、喧嘩を売り買いしてしまうのよね」


 さらっとカルラは言うが、その事実であるらしい言葉にヒューリーが固まる。

 今この場でカルラが嘘を言ってるようには見えないし、嘘を吐く理由も無い。カルラはティファを好きでいるが、ヒューリー達に対しては鬼門と言い切り本気で関わりたくないと、口と態度で示すからだ。

 (僕、もしかしてお嬢の地雷、ぶち抜いたぁーーー??!)

 
 以前、シーラと呼ばれた女がカルラの逆鱗に触れたであろう事を思い出す。


「おっ、お嬢ごめん!そんな気は無かったんだ!本当、ごめん!!」

「分かってるわよそんな事。それより早く食べて。片付かないから」

「はい……」


 ヒューリーはカルラからは冷たい視線を、ティファからは非難の眼差しを受ける事になった。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

処理中です...