出会いと別れと復讐と

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「お嬢、今の話は本当？」


　ヒューリーの声が、いつもよりも若干低くなる。

　丁度ヒューリーが言葉を口にした時、カルラにはヒューリーの口から魔力が溢れ、ヒューリーの目の色が魔力で覆われる様子が見える。

　一般的な目視能力者の特徴だ。

(目視能力……キーワードは真実かどうかの問い掛け。この場合、『嘘』か『本当』かと言った問い掛け。その能力は、事実かどうかが色で目視確認出来るって事ね。一応、能力者でも効果は有るけど、強い能力者や相性の悪い能力者だと、色別は出来ない、か。対価は味覚。ただ、本来の能力は過去の出来事を視る事が出来る能力だけど、本人の放出する魔力量が少ない所為でそこまで視れないのか。魔力増強薬や、補助能力者が居れば本来の能力が発動出来るのね)

　カルラの思う強い能力者や相性の悪い能力者とは、放出型に限っての事なので、カルラの言葉は一般人同様、目視判別する事は可能だろう。

　因みにヒューリー本人は、自身の能力が過去の出来事、過去を視る能力だとは気付いていない。嘘か本当かは、相手の声が色付き、それを目視出来る為、事実確認を色分けで、目視出来る能力だと思っているようだ。


「本当よ。嘘だと思うなら、ティファに確認でもすれば？」


　カルラは通常通りの冷ややかな声音で、キッパリと言い切る。

　実際本当の事だから、魔力を使用しているヒューリーの目にも、真実だと示す色がカルラの口から出ているのが見えるだろう。

(ただ、こういった目視能力は、相手に『はい』か『いいえ』で答えさせるのが基本で、曖昧な言葉やどっちとも取れる言葉等は色で判別出来なくなる。それに、この能力は本来過去を視る能力。つまり、相手の心情は考慮されないし、目に見える真実しか判別出来ないから、こっちが言葉にしない限りは言質を取られる事も無い。まぁ、普通の人が相手なら、ザアイさんの能力と併用すれば無双状態だけど、元々ザアイさんの能力は私には効かないから、大した脅威にはならないのよね)

　元々魔力巡回型は放出型と違い、常に魔力が体内に有る状態で、他者の魔力に依る影響を受け難い。

　カルラが魔力の書き換えをしなくても、他人の体内に魔力を染み込ませる魔力、魅了や精神攻撃系は巡回型魔力持ちには、あまり通用しないのだ。

　とは言え、攻撃系の魔力はカルラにも効く。書き換える時間さえ有れば問題は無いが。

　彼等がカルラを攻撃する事は無いだろうが、他にどんな能力を持っているのか判らないのだからと、彼等に対しても油断する気は無いカルラだった。