奇跡の確率

カザハナ

文字の大きさ
100 / 135

95

しおりを挟む
 取り敢えず、クリスの前で余興と言う名の組み手を披露することになり、ルー兄とジェイにも声を掛ける。

 二人からも快く了承してもらったので、早速順番だけ決めて始めることに。

 僕を中心に、各々が得意な武術や武器を使っての組み手だ。

 一応武器は、訓練用の刃先や先端を丸めた物だけど、当然当たると痛いし怪我をする。

 まあ、僕とルー兄は素手だけど。

 元々ルー兄は地霊族だから武器は持たないし、僕は僕で地霊族が宿ってない普通の岩なら、一応割ることができるからね。

 僕相手に一人五分、全員で三十五分する訳だけど、ルー兄は最後に入ってもらう。一番最初だと、次の相手との落差がね……。なので、開始の合図もルー兄がしてくれるんだ。





「凄く見物〈みもの〉な手合わせだった。……コーディーとルーフェンスが別格だと言うのがよく分かる」


 組み手を終えた僕達に、クリスが言う。

 まあ、僕とルー兄はまだまだ余裕ありそうに見えるだろうけど、他の六人は結構バテバテだからなぁ。しかも一番動きが激しかったのはルー兄との最後の組み手だしね。

 因みに、六人は座り込んでるけど、僕とルー兄は普通に立ってるよ。


「これでも僕達、コーディーを倒すつもりで組み合ってるんだけどね。コーディーは相手の力を利用する技が多いんだよ」

「持ち時間が五分だけだから、その五分に全力で組み合うんだけど、コーディーは流し技も多いし変則的だし、そのくせ攻撃も重いから二、三人を相手にしてる感覚だよ」


 アンバーに続き、ラズが答える。


「だからこそ、訓練の相手として申し分ない。ノゼ、相手になってくれるか?」


 ジェイが立ち上がり、ノゼに声を掛けると、ノゼも立ち上がり、頷く。

 ジェイには、幼い頃お兄さんがいて、兄弟で配達人に憧れ、配達人が地元に来る度に、捕まえて話をせがんだりしてたんだって。仕事の邪魔をしてるのに、皆好意的で、将来は配達人になると言えば、じゃあ未来の後輩だなとか、身体を鍛えろとか、頑張れよとかって応援してくれて、憧れが目標になり、兄弟二人で配達人になって、世界中を廻〈まわ〉ろうって約束してたけど、お兄さんは奇病に掛かり亡くなったそうだ。なので、ジェイはお兄さんの想いと共に夢を目指し、世界中を廻〈めぐ〉り、お兄さんの分まで生き続ける為に、できる努力は怠〈おこた〉らないんだって。

 実は、その幼い頃に出会った配達人の中に、当時の金、その人は足を痛めて辞職しちゃったそうだけど、僕からすれば先代の金がいたらしく、ジェイはその先代に気に入られ、銅になってから暫くして金のペアになったらしい。

 ジェイは、今でもその先代と親交があり、休みの日には会いに行ってるんだって。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます

由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。 だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。 そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。 二度目の人生。 沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。 ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。 「今世は静かに生きられればそれでいい」 そう思っていたのに―― 奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。 さらにある日。 皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。 「沈薬は俺の妃だった」 だが沈薬は微笑んで言う。 「殿下、私は静王妃です」 今の関係は―― 皇叔母様。 前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。 それを静かに守る静王。 宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます

ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。 前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。 社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。 けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。 家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士―― 五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。 遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。 異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。 女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...