奇跡の確率

カザハナ

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「ルー兄?」


 驚いた顔……というか、少しだけどこか遠くを見ていた顔をしていたルー兄が、いつもより優しげな笑みを見せたかと思うと、突如僕を抱き締めてきた。

 まあ、僕自身抱き付きぐせがあるから人のこと言えないけど。


「本っ当コーディーってお父さんに似てるよね。外見だけじゃなく言動まで一緒だし。親子揃って同じようなことするから吃驚したよ」


 お父さん?ああ、そっか。久しぶりに言われたなぁ。


「僕、そんなに似てる?」

「うん。得体の知れないものを平気で匿う辺りが」

「悪かったな、得体が知れなくて!」


 クリスがイライラした様子でルー兄に突っ込んだかと思うと、僕とルー兄を引き剥がす。


「酷いなぁクリス君。大丈夫だよ。僕はコーディーを愛すべき妹と思っているし、コーディーも僕を男としては見ていないから」


 きっぱりすっぱり自分で言い切るルー兄に対し、クリスは僕の前に入り込みルー兄を警戒する。

 本当に心配はないんだけどなぁ……。クリスは火花を飛ばしてる感じだけど、いかにも天然な笑顔を振り撒くルー兄のお陰で無効化状態だし。ってか、ルー兄本当のこと言わない気かな?クリスは普通の人とは違うから、言っても大丈夫だと思うけど……。あ、でもそれだと必然的に僕の父様のことも話さなきゃだし、一日やそこらで終わらなくなるよね……。


「コーディー?」


 僕が一人で考え込んでると、クリスが振り返る。


「あ、ごめん、ちょっと考え事。クリスはあまり気にしなくても大丈夫だよ。ルー兄に限らず、他の兄様や姉様ともこんな感じだから」

「兄姉が多いのか?」

「僕は一人っ子だけど、ルー兄みたいな父様の親族がよく会いに来てくれるんだ。すっごく優しくて、僕、皆大好き♥」


 ヴェネック〈ここ〉に来てからは会う機会が減ったけど、それでも年に一回は必ず誰かが訪ねて来てくれる兄様や姉様。ジジ様なんて長をしているからとても忙しいだろうに、それでも僕を忘れることなく会いに来てくれるんだもん。


「白銀の長なんて、僕以上にコーディーを溺愛しているからね。あの方はコーディーに会うためなら何でもするよ?この前なんて一族の会議でコーディーに会う時間を削られそうになって、会議時間を大幅に削っちゃってたらしいから。あの方の凄いところは、だからといって仕事に一切手を抜いていないことだけどね。適材適所を即決で選んじゃうから誰も文句を言えなくなるし。でも、普段からそれをすると後任が育たないからって発言は最終決定の前に意見を述べるようにして、途中の口出しは滅多にしないようにしているらしいよ?」


 白銀の長とはジジ様のことだ。ジジ様ことリックジィー=ジード様。僕以外の親しい人はリー様とかリック様って呼んでるけど僕だけが特別にジジ様って呼ばせてもらってる。ジジ様は白銀色のくせのある髪を長く伸ばしてるのだ。僕はいつでもジジ様って呼んでるけど、本人を前にする時は名前呼びや愛称呼びで、本人のいない場所ではもっぱら白銀のって呼び方が定着してるみたい。


「えっと……僕、あんまり迷惑掛けないよう努力します……」
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