奇跡の確率

カザハナ

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「僕が次の武術大会にカーネルを逆指名したんだけど、本来指名するのは金以外の各等級の優れた成績優秀者で、金と闘う権利を得た者達なんだよ。金からの逆指名ってなると、よっぽどのバカをやらかしたか良い意味での気になる存在かで、もちろんカーネルは前者。あと、逆指名に限り金が相手にハンデをあげる決まりなんだよ。よっぽどのバカやらかした相手ならハンデもらっても歯が立たないってことを見せ付けるため、気になる存在なら素質を見極めるため。普通の指名ももちろん手加減するけど、バカやらかしたってのは見せしめもあるから金からの印象はめっちゃ悪くなる。ハンデは逆指名した金が決めることができるけど、負けるようなものだと見せしめもしくは見極めができないから絶対負けないと自信のあるハンデを選ぶのが暗黙の了解なんだよね」


 僕は走りながらクリスに分かりやすく説明する。


「目隠し辺りと言ったが、勝てる自信はあるのか?」

「コーディーなら大丈夫だよ。目隠し程度で負ける程、弱くはないから」


 ルー兄が自信満々で答えてくれる。

 遊び相手が遊び相手だったから、僕気配に敏感なんだよねぇ。地霊って人間から隠れる能力高いし。父様の地霊は僕の遊び相手として生まれたけど、本来は地霊族同士を結ぶ言葉のメッセンジャー。配達人と似た役目を担ってる。しかも、人間に目撃されたという話は極稀だ。

 そんな彼等と駆けっこや隠れんぼといった遊びをしてたんだもん。気配に敏感にもなるよね。

 それに、金には金同士だけの特殊な訓練や意見交換等さまざまな交流が独自にある。


「ルー兄相手に本気で勝つのは目隠しなしでも無理だけど、暗い場所や不測の事態を想定した訓練を金同士で定期的に実施してるんだよ。金はどこだろうと手続きなしで行ける分、魔物や賊、野生の肉食獣と遭遇する確率が高いからね。だから、目隠しや片腕……これは賊に目眩ましされた時や怪我を負った時の想定ね、それとか大きな音とかで耳が使えない状態とかとか、そういった訓練内容からハンデを選ぶから、金相手にやってる訓練に銀以下で負けるなんてこと、さすがにないよ。銀以下の普通の配達人は僕達がそんな訓練してることすら知らないし。それを知ることができるのって金とペアを組んだことがある人ぐらいだし、内容が濃い過ぎて言い触らしたところで法螺〈ほら〉かデマだと思われちゃうから」


 金はそれ相応の努力と向上を常に心掛けてる。金を取れたからといってそれに胡座〈あぐら〉をかくとちょっとした油断から死を招くことすらあるのだから、そういった訓練は欠かせない。金はお飾りやまぐれで勤まるような生易しいものじゃないのだ。
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