奇跡の確率

カザハナ

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「取り敢えず、時間も迫っているからクリス君を招待客席の入り口まで案内するよ。あの二人とは入り口付近で合流出来るから、なるべくあの二人の側にいてくれると有難いかな?」

 ルー兄が先を促し、歩きながら話続ける。

 確かに、あの二人は物凄く目立つ。いつも客席がざわついて、試合よりあの二人を見てるんじゃないかと思える時がある程だ。

 まあ、さすがに金が出る試合は試合に視線が集中するけどね。


「今日は初日だから、僕達の出番は殆どないけど、出場する金は、開会式と閉会式の時にケイド様の傍〈かたわ〉らにいる事で、ケイド様に認められた金だと示すんだよ。コーディーが逆指名しているけれど、あれは最終日の最初に組まれている。試合の最中僕達は、舞台の真正面、招待客と向き合う位置にいるから。ケイド様は基本、僕達の後ろから試合を見ているけれど、これも金の後ろ盾はケイド様だと言っているような物だよ。金に手を出せば、地霊族のケイド様が敵に回るよってね」

「僕とルー兄は毎年参加してるけど、他の金はまちまちだよ。闘うのが嫌いというより、見せ物になるのが嫌って金もいるから。僕の場合は金唯一の紅一点だから、女性配達人代表みたいな感じかな?ただ、女性配達人には僕が女だって知ってる人が多いけど、男性配達人には殆ど知られてないっていうか……隠してる訳じゃないけど、言い回るのもちょっとねぇ……」

「まぁ大会期間中、クリス君がコーディーの近くに居れば、少し鈍い連中も多少は気付くと思うよ。僕としては、コーディーが女性服を着用すればもっと気付いて貰えると思うんだけどなぁ」

「僕には絶対似合わないから、勘弁して下さい……」


 女服は着たくない……。僕にとって、あれは黒歴史でしかないよ。手違いで最初に男服着たから、女服があるって知って替えたけど、散々本部の人達に女装だ何だと笑われまくったんだから……。


「そうか?私は似合いそうだと思うぞ?」


 クリスは優しいなぁ。あれを知ってるルー兄の言葉だと、気休めの慰めだと思っちゃうけど、知らないクリスが言うと、本当にそう思ってくれてるのかと思えるから不思議だね。

 でも、どうしてもあの時のことが頭を過る。

「うっ……嬉しいけどけど、複雑なんです……」

「……何かあったのか?」


 僕がクリスから視線をずらすから、クリスはルー兄に聞いたようだ。


「あー……、ちょっとね?後で話すよ。ほら、そこが招待客の入り口。リック様、ローズリィー様、お待たせしました。後の事、お任せします。僕はコーディーと行かなければいけませんので」

「分かった、行ってこい。コーディー、今年も頑張るのだぞ?しっかり見ておるからな」


 ジジ様が僕の頭に手を置き、優しい笑みを見せる。


「うん。僕、今年も頑張るからね♪」
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