神なのか?

モモん

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第一章

第3話 商業ギルドで1億円手に入れる方法

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「な、何でそんなモノが入るんですか!」

 そろそろ、他の職員もチラチラと様子を伺ってきている。

「魔法で、内側にあった空間を広げてあるんですよ。」

「ちょっと見せてもらっていいですか?」

「どうぞ、いくらでもご覧ください。」

 受付嬢は手提げを受け取って、ひっぱったり中をのぞき込んだりしながら、意を決したようにグリーンの手提げに手を入れた。

「ホントに底に手が届かない。」

 ついには肩まで手を突っ込んで、底の方から様子を伺ったり、手提げを折り曲げたりしながら確認をした。

「注意してください。底の部分を入れ口まで押し上げちゃうと、中身が全部出てしまいますから、乱暴にするとインクが零れちゃいますよ。」

「そ、そうです。インクツボはどこに行っちゃったんですか?袋を触っても、感触はないですよね。」

「じゃあ、手を入れてインクツボをイメージしてください。持ったらこぼさないように注意してくださいね。」

「インクツボをイメージ……あっ、手に触りました!」

「そうしたら、掴んで慎重に取り出してください。」

 受付嬢は、慎重に手を手提げから出した。
 その手にはインクツボが掴まれている。
 様子を伺っていた他の職員からも感嘆の声が漏れる。
 フロアにいた商人たちが何事かと注目してくる。

「ちょ、ちょっと会議室でお話を伺いましょう。ここだと、他の人の目もありますから。」
 
 声をかけてきたのは、茶色のベストとズボン姿の男性だった。
 ちょっと濃い色合いのネクタイに白のワイシャツで、髪は短めだが横分けしており30台とみえる清潔感のある感じだ。

 男性に案内されてロビンが会議室に入ると、先ほどの受付嬢が50代くらいの白髪混じりの男性を連れてきた。

「こちらは南都商業ギルドの責任者で、オスカーギルド長です。私は商業課長のアルバートと申します。」

「あっ、冒険者のロビンです。」

 そこで、彼は2枚の手提げ袋を使ってマジックバッグの説明を最初から始めた。
 3人は木箱を持ってきて出しいてしたり、竹竿を入れて大きさの確認をしたりして確かめていた。

「特徴としては、この中では時間経過がないので、食品でも何でも劣化する事がありません。温度も変化しませんし、内容物の重さは影響しません。」

「すると、例えば料理を入れたら、いつでも暖かい状態で取り出せるということですか。」

「はい、そういう事です。」

「中の空間は、具体的にどういう大きさなんですか?」

「10m四方の空間になります。」

「それって、入れておける期限とかあるんですか?」

「ありませんね。」

「量産はできるんですか?他の人は作れないんですかね?」

「そうですねぇ、空間制御魔法自体が多分みなさん認識されていないので、現状は他に作れる人間はいないハズです。作る時に結構集中力と魔力を使いますので、量産はしませんし、注文も受けません。」

「……他には卸さないと約束していただけますか?次に作ったら、またこちらにお持ちいただくという事です。」

「独占契約ですね。いいですよ。」

 商業ギルド長の申し出で、2日使い勝手をみた上で、金額を決定したいという事でロビンは手提げ袋2枚をギルドに預けて帰っていった。

 会議室に残った3人は、あらためて打ち合わせを始める。

「見たことのない品であるのは確かで、この手提げと彼のリュック。形状の違うもので実現出来ているという事は、彼の言う通り魔法と解釈していいんだろう。」

「問題は価格ですね。」

「その通りだ。こいつはギルドで確保するとして、君たちが大店の店主だとしたら、これにいくら出すかね?」

「10m四方だとすると、大型の荷馬車2台分ですか。馬2頭に御者二人、護衛を6人つけて、時速10kmで都市間を移動すると最低でも5日。冒険者は1日銀貨2枚で雇えますから、私たちは1日平均金貨2枚で考えますよね。」

「そうだね。」

「金貨2枚で、年間210日稼働とすると金貨420枚。」

「ギルドで10%のマージンを考えると、買取が金貨400枚で、売値が金貨450枚といったところか。」

「荷崩れの心配がなく、肉や果実も都市間で運べるのですから、付加価値を加味すると金貨500枚でも売れるんじゃないですかね。」

「いや、重量を無視できるのならば、鉄鉱石の運び出しから運搬に使った方が効果的ではないかね。」

「でも、その使い方には、元々護衛なんかつけませんから、価値としては下がりますね。」

「では、軍が使うとしたらどうでしょう。大砲に砲弾、小銃に弾丸、剣と鎧に食料・救急の物資テントと毛布等を入れて、実際に動くのは騎馬兵だけにできます。」

「確かに素早い軍隊の移動と展開が期待できるな。それに調理済みのものを鍋に詰めて運べば、現地で料理する必要もない。」

「それって、もし前線で部隊を展開した場合なんかは、食料の補給も簡単で素早く行えますよね。」

「ちょっと待ってください。仮に、厚さ10cmの鉄板で長さ10m幅5mの箱を4つ作るでしょ。大砲や弾薬とかの機材は全部その中に入れて、運んだらどうでしょうか……」

「最前線にいきなり鋼鉄製の要塞出現ですか。想像したら笑っちゃいますね。」

「いや、相手にしたら笑い事ではすまないだろう。100人編成の部隊が要塞付きで、一晩のうちに出現するんだぞ……」

「まあ、軍部なら金貨500枚は用意しそうだな。」

 そして2日後、もう一枚の手提げを持ってギルドを訪れたロビンは、金貨900枚(日本円で9000万円相当)とAランクのギルド証を持って帰っていった。
 
 ロビンはその足で冒険者ギルドに向かった。

「すみません、またオーク3匹を討伐してきました。」

 大物の搬入は裏の倉庫で受付される。

「おっ、昨日に続いて2日連続だな。まった、お前さんのリュックはとんでもねえな。」

「あはは、こんなのダンジョンで拾えてラッキーでしたよ。」

 冒険者ギルドでは、ダンジョンで倒した魔物が持っていたアイテムだと説明している。

「しかも、肉が硬くなってねえから匂いもないし評判がいいんだ。」

 討伐した獲物を血抜きしないで置いておくと、血が固まって匂うらしい。
 そうでなくても、オーク肉は人気の食材なのだ。
 ちなみに、彼は自分で採掘してきたチタンでレイピアを作り、それで刺殺している。

 これも、10日続けて依頼を完了させ、冒険者ランクもCにあがった。
 そして彼は3つ目のマジックバッグを商業ギルドに売った。
 2つ目のマジックバッグは、帝都の軍が買い取ってくれたと聞いた。
 商業ギルド側も、彼との商談はカウンターでは行わずに、会議室で行っている。

「いやあ、助かりますよ。帝都のギルド本部が聞きつけて、何としても手に入れてほしいと頼まれましてね。それに、軍はいつでも2つ目を買い取ると言ってきているんですよ。」

「今回のはギルド本部ですか?」

「その予定です。いくらでも買い取りますから、また入手したらお持ちください。」

 この他にも、彼は金や宝石を商業ギルドで買い取ってもらい、それなりの金を手に入れていた。
 金貨は50枚単位にまとめ、紙で筒状にしてリュックに入れてある。
 現状で2000枚近くの金貨がリュックに入っている事だろう。

「それで、金も貯まってきたので、家を買おうと思うんですが、多少広めの敷地があって、5人くらいで住めそうな家ありませんか?」

「土地広めで5人くらいですか……、ああ、ちょっと不便な場所で古いのですが、こちらでしたらご案内できますよ。」

 彼はアルバート商業課長の持ってきた南都全体の地図で、その売りに出ているという場所を提示された。


【あとがき】
 貯蓄額、約2億円。
 現在は金が高騰しており、メープル金貨は直径約3cmで重さ約31g。買取価格が42,5万円程となっています。
 まあ、1gの金が1万円以上で取引されています。
 小説上は銀貨10枚が金貨1枚という設定ですので、約10万円と定義しており、換算というのは難しくなっています。
 なのでメイプルリーフ金貨 1/4oz(オンス)直径2cmくらいの感じでしょうか……
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