神なのか?

モモん

文字の大きさ
12 / 42
第一章

第12話 ローズマリーの妄想

しおりを挟む
 私、ローズマリーは少々怒りモードに入っています。

 帰りたければ帰っていい……何ですかあの言葉!
 イヌやネコだって、1年も飼っていたらもう家族の一員ですよ。
 それを……それなのに、あんな無慈悲な言葉をいえるなんて、鬼としか思えません!

 飼っていたイヌやネコを放りだしたらどうなりますか?
 野良ですよ。
 あの言葉を聞いた瞬間、私の頭に先日見てしまった光景が浮かびました。
 それは、店先から魚の干物を咥えて逃げていく黒ネコです。

 あの黒ネコがミケちゃんに見えてしまって、思わず泣きそうになってしまいました。
 
 私とお嬢様にも、帰る家などありません。
 ご主人様はお優しい方ですから、私たちはお給料を頂いています。
 ほとんど使わないので、皆金貨30枚くらい持っているハズです。
 ですから、もしリズ様と二人で追い出されたら、家でも借りて二人で生きていく事になるのでしょう。
 そうしたら、仕事もしなくてはいけませんから……そうですね、二人で食堂を開くのもいいかもしれませんね。

 私が厨房に入って、お嬢様にはウエイトレスをお願いしましょう。
 メイド服姿の食堂……、これは行けそうな気がします。
 マジックバッグがあれば作り置きもできますし、食材の買い物も楽で楽しそうです。
 食材が保存できますから、旬の季節に1年分買い込んで、いつでも同じ質のお料理を提供できるじゃありませんか。

 でも、もしマジックバッグをとりあげられてしまったら……どうしましょう。
 いえ、お優しいご主人様ですから、二人でお願いすればそれくらいの我が儘は聞いてくれると思います。
 できれば、ライトの魔道具と、水道の魔道具と、冷蔵庫も欲しいですわね。
 そうそう、コンロは絶対に欲しいです。3口あれば十分です。

 ああ、どうしましょう。
 何だか考えるとワクワクしてきますね。
 そうしたら、ミケちゃんとポチちゃんにも働いてもらいましょう。
 それなら、厨房は私とお嬢様で担当して、フロアは二人に任せられますわ。

 先日ご紹介いただいた商業ギルドの課長さんにお願いして、タマゴや果実もまわしていただきましょう。
 それならデザートも提供できるし、店の一部でクッキーやプリンも売り出しましょう。
 そうすると、パン焼き器と……石焼き芋器も欲しいですわね。

 ……そうですわ。
 こんな魔道具なしでは耐えられない体になってしまった私たち4人。
 その責任をとっていただかなければ……
 お待ちください。大変な事に気付いてしまいました。
 お風呂が無いではありませんか!
 お風呂付の家なんて、それこそ王族の住む城にあるかどうか……

 ダメですわ。
 やっぱり、この家を出るなんてできる訳がありません。
 ジューサーミキサーにドライヤー。掃除機、空調機、身体強化と結界の腕輪……、ああ、本当に魔道具に頼り切っておりますのね。
 ……まさか、これは麻薬に近いのではないでしょうか!
 一度知ってしまったら、引き返すことのできない悪魔の道……

 もしかして、ご主人様は神様ではなくアクマ……

 どうしたら良いのでしょうか。
 私は寿命が尽きるまでお仕えするとして、いずれ嫁に行くであろう子供たちは、他所で暮らしていけるのでしょうか……
 ポチとミケは、冒険者として屋外の活動が多いので大丈夫かもしれません。
 でも……お嬢様はどうなるのでしょうか……
 多分、私と同じくらい毒されてしまっています。

 魔道具だけじゃありません。
 アルミという金属を使った軽い鍋、セラミックという素材で作られた切れ味の良い包丁。
 シャンプーにリンス・ボディーソープ。
 肌触りの良い、シルクのパジャマに胸を盛り上げる下着。

 そういえば、このブラという下着も、サイズがピッタリでした。
 採寸もしていないのに、何故私の胸の大きさまでわかるのでしょうか……
 裸をご覧になったのは、最初の日一度だけのハズです。
 まさか、私の寝ている間に……

 ……それならば、言っていただければいくらでも……
 あっ、また胸がドキドキして……

 そういえば、以前メイド仲間から男性の性癖について聞かされたことがあります。
 ”むっつりスケベ”とか”熟女好き”……これは違いますわね……多分。
 そうそう”胸フェチ”、異様なほど胸に焦がれるとか。
 胸フェチとむっつりスケベの複合と考えれば、ご主人様の行動に説明がつく気がします。

 おっぱいが好きなのに、それを表面に出せなくて苦しんでおられるなら、私が何とかして差し上げなければいけませんわ。
 
 そうとなれば、メイド服の改造からですわ。
 エプロンは腰で結ぶハーフタイプにして、襟元をブラウスのようなボタン式にすればご主人様のおられる時だけ少し広めに開けられます。
 これで、意識的に前かがみになれば、胸元はバッチリですわね。

 あとは……、そう私からもっと積極的に……あっ、またドキドキが……

 そうそう、お嬢様の事でした。
 例えば、買い物に出て町の男性と恋に堕ちるとします。
 やがて彼の家に招かれて、こことの違いに驚いて……あらっ?そういえば、ご主人様を基準とした場合、魅力を感じられる男性など存在するのでしょうか?
 貴族ではないようですが、貴族に匹敵する財産と、おそらく世界最高の魔法師という名声。
 例えば、貴族の屋敷には数十人のメイドがいますが、ここでは私と子供たちでお世話できるだけの魔道具が揃っており、これ以上の人間が必要ないというだけの事。

 商業ギルドや都庁の方の態度を見ても、重要視されているのが分かります。
 帝都の公共罷業でも要職につかれたようですし、それはご主人様の社会的な地位の現れ。
 地位・財産・名声・容姿、そして比較するもののない先進的かつ圧倒的な魔道具の開発。
 これに加えて、完璧な庇護者でもあります。
 軍隊も退け、国家権力にも屈しない強靭な姿勢と実力……

 ご主人様に足りないものがあるとしたら、”野心”でしょうか。
 お金にもそれほど興味を示さないし、人の上に立つ事も望まない。
 名声も望んでない……というか、必要以上に目立つのはお嫌いなようです。

 世の中にはもっとギラギラした男性を好む女性もいるでしょうが、お嬢様は穏やかな暮らしを望まれると思います。
 そうすると……

 お待ちください!
 大変な事に気が付いてしまいました。
 お嬢様は12才でご主人様は16才。
 その差は4才です。
 今は、確かにご主人さまから見て、明らかに幼いお嬢様ですが、4年後には16才と20才ではありませんか!

 迂闊でした。
 パパとか言っている場合ではありません。
 町で恋に堕ちてとか、まったく必要ありません。
 それなら、お嬢様がこの家を出る必要もなく、私も正当な理由でここにいられるじゃありませんか。
 何でしたら、ポチとミケも娶ってしまえばいいのです。

 そうですわ。
 その日が来るまでは、私がこの身を捧げて、悪い虫がつかないようにすればいい。


【あとがき】
 このままだと、マリーさんが変態勘違いメイドに……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

処理中です...