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第5章
第二次成長期
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「もう!何をやっているんですか!」
俺たちは、偶然ギルド長を訪ねてきたミャイさんに救出された。
教会の特殊任務のため詳細は明かせない。説明はそれだけだった。
何か聞きたいことは?との問いかけに、ギルド長はブンブンと首をふった。
それにしても、あのボクちゃんがギルド長とはね……このセリフで部屋を追い出されてしまった。
どうやら、昔のパーティー仲間だったようだが、ギルド長の焦燥ぶりにそれ以上の追及はやめておいた。
「ああ、武器屋の女将ですか。確か、保証金殺人じゃないかって噂されましたね。
そんなサンドワームは誰も聞いたことがなかったですから。
その疑いも晴れたことですし、コピーの件もうやむやにできましたから、まあ良しとしましょうか」
保証金とは、冒険者の互助会みたいなものだ。
それを受け取るために殺人を犯すなど割に合わない。
その日もモアは帰ってこなかった。
そして、唐突にあれが始まった。
骨がきしみ、急速に伸びようとする。付随する筋肉や神経系が引きちぎられるような痛み。
多分、成長だ。
……マリア……
『大丈夫、今テティスに言ってカーリーを呼んだわ。
成長に必要な養分を補充してもらうから』
……いた……い……いたい……
『痛覚を麻痺させることもできるけど、どうしようかしら』
「「「タケル!」」」
「どうしたの?」
「成長のようです」
サクラねえちゃんの問いかけに、テティスが応じる。
「第二次成長期ってやつか……」
「もしかして、毛が生えてきちゃったりするんですか?
私、胸とか足の毛って苦手なんですよね」
……シラン姉ちゃん……ヒメ……それ、ちょっと、違うと思うぞ……
「やっぱり、体が熱いわね。
エウロパ、浴槽に聖水を用意してちょうだい。
ぬるま湯くらいで。
カーリーは、ともかくペースト状の食事をお願い。
カルシウムが必要だから、骨も砕いて混ぜてくれる」
「「はい」」
風呂の中で、サクラ姉ちゃんの心音に包まれると多少痛みが和らいだ気がした。
「タケル、これから筋肉や筋を伸ばしていくから、痛いと思うけど我慢してね。
イシュタル、やってちょうだい」
……えっ、今でも十分痛いんだけど……えっ、あがっ……ぎえ……
イシュタルは、赤ん坊のように丸まっている俺の手足を伸ばし、ストレッチを行っていく。
もともと張りつめていた筋肉は、時にブチブチと音を立ててちぎれていくようだ。
損傷を負った個所は、治癒で回復させられる。
あまりの痛みに、意識を失い、更なる激痛で意識が戻る。
「多分、急速なステータスの伸びに、体がついていけなくなっていたみたいね。
大丈夫。これが終われば、あなたは立派な魔王よ」
いつの間にか帰ってきていたモアが、そんな事を言った。
魔王……確定なのかよ……勇者になるんじゃなかったのか?
俺たちは、偶然ギルド長を訪ねてきたミャイさんに救出された。
教会の特殊任務のため詳細は明かせない。説明はそれだけだった。
何か聞きたいことは?との問いかけに、ギルド長はブンブンと首をふった。
それにしても、あのボクちゃんがギルド長とはね……このセリフで部屋を追い出されてしまった。
どうやら、昔のパーティー仲間だったようだが、ギルド長の焦燥ぶりにそれ以上の追及はやめておいた。
「ああ、武器屋の女将ですか。確か、保証金殺人じゃないかって噂されましたね。
そんなサンドワームは誰も聞いたことがなかったですから。
その疑いも晴れたことですし、コピーの件もうやむやにできましたから、まあ良しとしましょうか」
保証金とは、冒険者の互助会みたいなものだ。
それを受け取るために殺人を犯すなど割に合わない。
その日もモアは帰ってこなかった。
そして、唐突にあれが始まった。
骨がきしみ、急速に伸びようとする。付随する筋肉や神経系が引きちぎられるような痛み。
多分、成長だ。
……マリア……
『大丈夫、今テティスに言ってカーリーを呼んだわ。
成長に必要な養分を補充してもらうから』
……いた……い……いたい……
『痛覚を麻痺させることもできるけど、どうしようかしら』
「「「タケル!」」」
「どうしたの?」
「成長のようです」
サクラねえちゃんの問いかけに、テティスが応じる。
「第二次成長期ってやつか……」
「もしかして、毛が生えてきちゃったりするんですか?
私、胸とか足の毛って苦手なんですよね」
……シラン姉ちゃん……ヒメ……それ、ちょっと、違うと思うぞ……
「やっぱり、体が熱いわね。
エウロパ、浴槽に聖水を用意してちょうだい。
ぬるま湯くらいで。
カーリーは、ともかくペースト状の食事をお願い。
カルシウムが必要だから、骨も砕いて混ぜてくれる」
「「はい」」
風呂の中で、サクラ姉ちゃんの心音に包まれると多少痛みが和らいだ気がした。
「タケル、これから筋肉や筋を伸ばしていくから、痛いと思うけど我慢してね。
イシュタル、やってちょうだい」
……えっ、今でも十分痛いんだけど……えっ、あがっ……ぎえ……
イシュタルは、赤ん坊のように丸まっている俺の手足を伸ばし、ストレッチを行っていく。
もともと張りつめていた筋肉は、時にブチブチと音を立ててちぎれていくようだ。
損傷を負った個所は、治癒で回復させられる。
あまりの痛みに、意識を失い、更なる激痛で意識が戻る。
「多分、急速なステータスの伸びに、体がついていけなくなっていたみたいね。
大丈夫。これが終われば、あなたは立派な魔王よ」
いつの間にか帰ってきていたモアが、そんな事を言った。
魔王……確定なのかよ……勇者になるんじゃなかったのか?
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