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第三章 冒険者

ハダカのおうさま

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さて、浴場をどのように作るか。
責任者は土木局長だが、名乗り出て相談役におさまった以上、妥協はしたくない。
特に女性用はこだわりたい。
それと、ミルクスタンドだ。

「萌、浴場の出口にミルクスタンドを作ろうと思うんだけど、いいアイデアないか」

「そうですね。イチゴ牛乳は作れそうですが、コーヒー牛乳は無理そうですね」

「私、フルーツ牛乳!」

「いいぞ、自分達でレシピを考えてくれよな」

「萌、任せたわよ!」

「あと、美白効果のある植物知ってるか?」


「美白で有名なのは、ローズヒップかアーモンドオイルですね」

「やっぱりバラを栽培するのか……」

「ちょっと待ってよ、ローズヒップオイルって、種を集めてもほんのちょっとしか採れないのよ。
だから高いんじゃない」

「まさか、お風呂に入れようとしてたんですか?」

「ああ、みんなが喜ぶかなって……」

「保湿剤とブレンドして、貴族に売りつけたほうが儲かると思うけど」

「風呂は保湿剤だけで十分か……」

「そんなことするくらいなら、有料でマッサージでもつけたら。
同時にムダ毛の処理とかもするの」

「ムダ毛?」

「足とか襟足の毛よ。
実はね、孤児の子供たちができる仕事を探してるのよ」

「浴場の周りをバラ園にしてみるか」

「そこの世話とマッサージに子供たちを使ってよ。
子供っていっても10才以上よ」

「風呂の掃除とかも任せていいのか?」

「もちろんよ」

「美白オイルと、それを使ったマッサージを高額にすれば、子供の人件費くらいは確保できそうだな」



こうして、バラの花に囲まれた公衆浴場がオープンした。
プレオープンは、貴族と平民を分けて行ない、無料のオイルマッサージも公開し、宰相の娘さん他数名に体験してもらった。
美白オイルはまだ少し先である。

マッサージの指導は智代梨である。
経験者が智代梨しかいないのだ……

脱衣場には、この企画に賛同して、恩給の一割を提供した貴族の名前が列挙してある。

「あれ?王様の名前がないじゃないか」

「わしは、出す側じゃからな。
それでも、支出を減らすために、酒もやめたし質素に暮らしておるぞ」

「王様だったら、こんなところに来ないで、専用の風呂をつくりゃあいいじゃねえか」

「最初は、わしもそう思っておったよ。
じゃがな、どうせ作るなら、国民が全員で使えるような風呂を作れと申した馬鹿がおってな……」

「そのバカのおかげで、こうして王様と裸で向き合えるんだ。
そいつに感謝だな、あはは」


男湯はにぎやかだった。
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