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第一章 異国
聞いてないよ
しおりを挟む「そっか。
ギンコさんのとこに、そういうのが行くって想定しなかった俺のミスだ。
ギンコさん、こんな事があったけど、これからも協力してくれるかな?」
「それは、コジロとも約束しましたから……」
「ちょっと急ぎの用があるから、俺は失礼するけど、この二匹を連れて行って」
「これは?スライム……ですか?」
「うん。戦闘型スライムだよ。
体と一体化するタイプで、防御特化のマモルくんと、攻撃特化のセメルくん。
二匹がいれば、コジロと同じくらいの強さかな。
体の老廃物も吸収するから、お肌もツヤツヤ。
よろしくね」
どこをどう歩いたか記憶にないが、それでも自宅に帰ってきた。
何であんな奴らに抵抗もしないで捕まったのか……
分かっている…コジロに助けてほしかった……
私のために剣をふるうコジロを見たかった……
あの瞬間まで、コジロがその身に剣を受ける姿なんぞ想像もしなかった。
あの程度の悪党から逃れる術など、いくらでももっている。
ああしておけば、こうすればよかった……
無限にループする思考を抱えながら、お酒を飲み続けた。
コジロの刀を抱いたまま、三日目の夜を迎えた。
肌はボロボロ……ツヤツヤだった……髪もぼさぼさ……サラサラだ……スライム君、演出ってものを考えようよ。
これじゃあ、三日間飲み続けましたよって、微塵も感じないよ……
血中のアルコールを除去しないでくれるかな……
栄養補給も要らないからさ……
ほらっ!触手で料理なんてしなくていいから……ズタボロのハズが、元気ハツラツじゃないの。
愛する男を愚かにも失った感ゼロのまま、三日目の夜を迎えた。
カラン……
「お客さん?
悪いね、当分休業なんだ……
んっ、覆面なんかしてるけど、やめておいた方がいいよ。
こうみえても、おせっかいなボディーガードがいるんだ」
「ああ、今日は預けてたもんを返してもらいに来ただけっす。
この覆面なら、完璧に身元を隠せるっすよ」
「なっ! …… なんで ……」
「いやあ、元気すぎるのも…ちょっと寂しいっすね。
少しは落ち込んで…… ムグ!」
こんなに長い口づけは初めてかもしれない。
ボロボロとこぼれる涙が頬をつた……わらず、スライム君に吸収された。
おい、台無しだよ!
「なんで……生きてんのよ……」
「あれっ、言ってなかったっすか?」
「何を!」
「名前もちモンスターには、竜種の細胞が取り込まれていて、核さえ残っていれば復元されるっすよ。
少し曖昧な記憶はあるっすけど、丸二日あれば概ね元通りっす」
「き・い・て・ません。
それで、一日合わないんですけど……」
「ギンコさんに悪さした残党を狩ってきたっす。
殺してないっすよ…国の警備兵に引き渡したっす」
モンスターは、魔力拡散のため、死ぬことが前提となっているんだそうな。
名前もちも例外ではなく、今後も年に数回は死んでエリクサーを提供するんだって……
バッカじゃないの!
「確認のために、もう一度死んで!」
「止めるっすよ!
それよりも、考えたっすけど、孤児を引き取って二人の子供として育てませんか。
3才から5才くらいの男の子と女の子。
オヤジとリズ姉さんに相談したら、ギンコさんさえ良ければいいんじゃないって。
俺、あんまり家にいられないけど」
もう、嗚咽と涙と涎でグシャグシャ……スライム君、お願いだから演出に協力を……
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