Doragon Soul´s

竹内 晴

文字の大きさ
3 / 9
三ノ巻

勾玉と龍

しおりを挟む
 「俺たちの世界では、ある一つの文献ぶんけんがあるのです。その文献にはこう記されていました。」

 そう言うと、辰也たつやが物語について話し始めました。

 ドラゴン、それはいにしえ時代ときに生きた伝説の生き物・・・

 太古の時より、人間とドラゴンは共存し、その力もちいて災厄さいやくはらわんとし、その力認めし物にだけドラゴン能力ちからを与える。

 しかし、人のごうによりその力、悪しき者の手により私利私欲しりしよくの為に使わんとし、世界を滅亡の危機に追いやらん。

 ドラゴン等は自らを勾玉まがたまに封じ、この世界の各地に自らを封じた。

 それにより、力を無くした人間は人により討ち取られん。

 その姿見兼みかねて勾玉の力を封印する。自らを永遠とわに眠らせることによって・・・。

 ぜんの心持つ者現れるまで、ドラゴンらは永き眠りについたのだった・・・。

 「これが、俺たちの世界に伝わる伝承です。つまり、この勾玉が光ったのは恐らく、俺たちの住む世界で俺とこいつが出会ってしまったことが原因だと思います。こいつは、俺に何かを伝えたかったのかもしれない・・・。」

 その話をルーナは真剣な眼差しで聞いていた。

 「その伝承には少し誤りがあるわね・・・。自らを封じ込めたのではなく、その力を利用するために人間が封じたのよ。私たちは、その勾玉を護るために2人でここに住んでいるの。」

 明かされる真実に驚きを隠すことの出来ない辰也。

 「そんな・・・それじゃあ俺たちはずっと嘘の伝承を聞かされていたのか?」

 ルーナは何も言わず黙って頷いた。

 「そういう事になるわね。ドラゴン達は既に力を無くし、人間たちの兵器道具として利用されようとしているわ。」

 しかし、辰也はルーナに対して何か面影を感じていた。どこか懐かしい雰囲気に見とれて言葉を失ってしまっていた。

 「聞いてるの?フレイア?」

 ルーナの呼び掛けに我に返った辰也。その時、どこからか謎の声が聞こえてきた。

 「全くお前は、本当に人の話を聞かんやつだな・・・。」

 声の主はサラマンドラであった。

 「お前のその体のあるじはもう少し利口だったと思うがな?」

 辰也の中に眠っている何かが「ドクン」と鼓動し始めた。その瞬間、辰也の雰囲気が変わった。

 「やぁ、サラマンドラ。俺の身体からだに何したの?やめてくれないか?最近ねーさんの様子もおかしいし・・・。一体何を企んでいる?」

 突如辰也の主である身体の主に人格が変わり、サラマンドラと対話を始めた。フレイアがサラマンドラをギロリと睨んだ。

 「おー、こえーこえー。全くお前は荒々しく、熱い男だな!」

 サラマンドラが身体の周りに炎をまとい激しく威嚇いかくする。

 「だが、お前とこうして言い合いをするために声をかけた訳じゃねぇんだ。フレイア、お前は薄々わかってるとは思うが言っておかないといけねぇことがある。」

 先程とは変わり冷静な表情で話し始めた。

 「お前も知っての通り俺は今本来の力を出せずにいる。今までお前とは幾度となくこの空間で語り合ってきたが、お前の姉貴を変えたのは俺であって俺ではない。あいつが望んでこうなったんだ。」

 その言葉にピクリと反応するフレイア。

 「まさか、・・・。そうか、それなら俺も時期ときがくるまでは眠りにつくことにするよ。」

 何かを悟ったように静まり返る。その姿を見てサラマンドラが言った。

 「まだ寝るには早いがな。お前の身体ん中にいるもう1つの人格は想像以上にアホだ。お前がこうして目覚めたのもなにか理由があっての事かもしれねー。恐らく勾玉を持つ者の人格は完全には封じきれんらしい。」

 サラマンドラが真剣な眼差しでフレイアに言った。

 「頼む。こいつをサポートしてやってくれ。俺の力を引き出すことが出来る。この世界のになるかもしれねー。」

 サラマンドラの言葉に小さく頷くフレイア。サラマンドラが歯をむき出しにして笑った。

 「恐らく俺とお前が対話できるのはこの空間にいる時だけみたいだな。」

 フレイアがひとつ疑問に思っている事をサラマンドラに質問する。

 「この空間はなんなんだ?」

 サラマンドラが答える。

 「この空間は、俺とお前自身の精神の間の世界。言わば勾玉を通して創り出された世界と言っても過言じゃねぇ。この空間の中じゃお互いに暴力的行動は禁じられてるみてぇーだな。精神世界の狭間の世界だからこそどちらにも属さないお前ともこうして話ができるって訳だ。」

 サラマンドラの説明に「なるほど」と少しニヤけるフレイア。

 「そろそろ時間みてーだな。それじゃ、こいつのことは任せるぞ。」

 サラマンドラが話終えると、当たりが急に眩しい光に包まれる。

 「え?あれ?元の場所に戻ってる!?え?どういうことだ?」

 辰也が混乱していると、ルーナが不思議そうな顔で尋ねる。

 「どうしたの?そんなに慌てて。それに、元の場所って・・・数十秒しか経ってないのに別の場所になんて行けないでしょ?あんた寝ぼけてんじゃないの?」

 そう言うとルーナがため息をついた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

やがて最強に至る弾丸付与術士の成り上がり

彼方
ファンタジー
 2035年の日本では、多数出現したダンジョンを探索する探索者という職業が大きな注目を集めていた。ダンジョンを探索することは大きな危険も伴うが、地球では本来手に入らない希少な資源を入手することができるため、日本を含め世界各国はダンジョン資源の獲得に力を入れていた。  そうした世界の中で平均的な探索者として活動していた加賀優斗は、親友である木場洋輔から突然パーティを追放されてしまう。優斗は絶望し失意の底に沈むが、不治の病に侵された妹を助けるために行動を開始する。  これは、実力も才能もない一人の青年が努力と工夫によって世界最強へと上り詰めるまでの物語。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

処理中です...