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罠
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声に出して泣きながらキョーコに打ち明けた。霊気と神気の他に『呪い』の力がある事を、どれだけ制御出来ると言っても感情に呑み込まれると発現させてしまう。
「だからね……アタシはお調子者でお気楽者でいる事にしたんだ……ごめんよ」
キョーコは黙って抱きしめてくれた痛いぐらいに……それが心地よかった。
オッサンが出て運ばれて来た、急所は外れており比較的傷は浅かったらしい。
ホッとして胸をなでおろし、後日改めてオッサンの様子を見に来る事にして。オッサンの車で警官にアパートの近くまで送って貰った。
「何故ここで降りたの?」
「念の為さ……行こう、アタシも混乱してるんだ。誰が敵でどうなっているのか……」
「それじゃ早く帰りましょう?」
「うん」
◇ ◇ ◇
アパートに帰ってもマキにいつもの覇気が戻らない、『呪い』の力……恐らくヒエ様がマキに取り憑いた時と、五年前自ら『呪い』に取り込まれた時に残った残滓だろうか?
マキに聞いてみた、やはりその時に得た力らしい。普段のあっけらかんとした性格は自分を抑える為だったらしい。
「それなら誰も怨むこともないって……だから師匠はアタシに、『憎むなら俺だけを憎め』って」
「そうだったの……でも力って使い方次第じゃないかしら?……今日はもう休みましょう?」
◆ ◆ ◆
使い方次第……か……キョーコがもう休もうと言っている。
「ごめん、ちょっと試したいことがある」
まだ夜の九時半時間はある、キョーコには先にお風呂に入ってもらう。アタシはトレーニング部屋へ白装束に着替えて入り、正座して意識を集中させる。自分の霊気と神気の他に紅い力が溢れて居る、霊気が五割……神気が三割……多分呪力が二割って所だろう。この三つを自分の身体で制御する、上手く配分できれば暴走もしないだろう。数十分間精神を統一する、神気と呪力が思ったほど簡単に同調出来た。だが霊気が反発する、霊気はアタシ自身の力だ呪力を拒んでいるのだろう。上手く歯車が噛み合わない。
「お風呂良いわよ?」
キョーコの声で意識を戻す
「あっありがとうすぐ入ってくる!」
疲れた身体を洗い流し湯船に浸かる……後少し何だけど……もどかしい気持ちのままだ。師匠どうしたら良いですか? 答えが出ないままお風呂から上がり、髪を乾かして寝室に向かう。キョーコが立ち上がり服を脱ぎ下着姿になる。煽情的な色気溢れる下着だった、誘われる様に近付くとそのまま布団へと押し倒される。
「どう? この下着姿、買ってはいたんだけどね……もうレスが五年も続いていて……今日初めて付けてみたのよ」
「良いと思うよ……っ」
キョーコから求める様にキスをしてくる
「ごめんなさい、今日色々あったのに……私って淫らな女ね」
「そんな事ない綺麗だよ、キョーコ。でも今日は」
「わかってるわ……もう一度キスしていい?」
こっちから押さえ付けるように激しいキスをした舌を混じらせお互いの涎を交換し合う。
「キョーコの胸で眠らせて今夜だけ」
キョーコは腕を広げて私を受け入れてくれた。
◇ ◇ ◇
マキが自分から甘えてくる、私の胸で眠らせて欲しいと。折角、恥ずかしい思いで買っていた下着姿を見せて。少しでも笑ってくれればと思っていた。結果としてマキが甘えてきてくれた事が素直に嬉しい。娘が産まれてからレスを解消する為に購入した下着だ。サイズがきつい、結局使う事は無かった下着だ……また今度ね。眠るマキのオデコにキスをした。
翌朝、起きて朝食を作る。少しでもマキには元気になって貰いたくて、張り切って作っていると私のスマホが鳴った。福祉課の後輩からだった今は朝の九時前、私が抜けて仕事が滞って居るらしい。
「塚田さんも大変だと思いますがお願いします!」
「わかった直ぐに市役所に向かうわ」
しまった車が無い
「ごめんなさい、ちょっと遅れるけどいいかしら?」
「俺迎えに行きましょうか?」
後輩の飯田君だ仕事熱心な所が伝わってくる。
「手伝って欲しい仕事って何?」
「来月からの保護費についての書類の確認と……」
その程度なら、市役所まで行かなくてもアパートから近い駅前の喫茶店。蜜柑で確認すると伝えて通話を終えた。
「どうしたの?」
「仕事よ本業を疎かにできないわ」
そう言いながら着替えて仕事モードに入る。
「朝食食べなさいよ!」
「大丈夫かよ! 昨日の今日だぞ」
「今は朝よ、駅前の喫茶店蜜柑で打ち合わせるだけだから! さっさと済ませてくるわよ」
「じゃあ念話だけは切らすなよ」
「わかってる、行ってくるわね」
◆ ◆ ◆
仕事かぁ……キョーコの作った朝食を食べながら自分の将来を考えて見た。この特技就活で使えないよなぁ……フリーターで良いかなぁ? 今の敵を全て倒して平和になったらちゃんと就活しよう。現状出来る事と言ったらバイトぐらいだ、スマホで通帳を見る。あぁ貯金が仕送りだけだ、食費とかキョーコが出してくれるけどさ……あっオッサンの様子も見に行かなきゃ! もう病院開いてるよな? 行ってみようキョーコに念話を送っておく。ササッと着替えて何時もの鞄と槍を背負ってバイクで向う。
受付でオッサンの部屋を聞き個室へと向かう、もう意識は戻っているらしい。
「オッサン元気!?」
勢い良く扉を開ける。
「声がでけぇよ、傷に響くだろうが!」
「どうよ傷の方は?」
「まぁ浅かったってのもあるが直ぐに退院出来るとよ」
勝手に椅子に座る
「オッサンさ、犯人共からは何も気配を感じ無かった?」
「そうだな普通の人間だった。化け物共の気配は感じなかったぞ、まさか人間も敵ってか!? いってて……」
「そうなるねアタシらが狙いだろうね」
「人間相手となるとこうしちゃ……グッ…くそ!!」
「無茶すんなよオッサン」
「おい京子ちゃんはどうした?」
「本業だってさ、もともと市の職員だろ? 今朝でかけて行ったよ」
「車ないから駅前の喫茶店蜜柑でやってるらしいよ」
「それ本当か? 信用できる相手なのか?」
「そこまでは分からないよ、キョーコの仕事内容なんて」
「マキいいかよく聞け、どんな仕事であれ個人情報を社外に持ち出す事は厳禁だ」
「京子ちゃんは、健康福祉課の生活保護者のケースワーカーだ。個人情報なんて簡単に持ち出せない、まして書類もな……」
「おいオッサンまさか……」
キョーコに念話を送るが返事がない
「敵が人間なら昼間だろうが夜だろうが関係ない」
不味い
「でもさ、職員だって……」
「既に何かしらの手段で取り入れられていたとしたら? 現に俺達をピンポイントで狙って来てるみたいじゃねぇか」
「早くいけ!!」
「わかった!!」
病院を飛び出し喫茶店まで向かう、店内にキョーコの姿がないクッソ!クソ!!
店員に聞くと男に支えられながら出て行った、男女が居たらしい。薬でも盛りやがったか? どっちに向かったか迄は分からないらしい。
とにかくキョーコに向けて念話を送るが反応がない、何か他に方法は無かったか……駄目だ人間を短時間で探せるわけがない。もう昼近いすでに……無力感に襲われる。待てよ? 首飾りを握り締める、首飾りと同じ反応を探って見るか! 気配が絞れないアタシには限界がある。でもオッサンなら? そうだオッサンの探知能力だ! 慌てて病院へと戻りオッサンの部屋に駆け込む。
「オッサン! 頼みがある! そのオッサンの首飾りと同じ反応を探してくれ」
「どっどうした! やれって言われてもよ? どうしたってんだ。まさか!」
「そのまさかだよ!」
「オッサンの力なら首飾りを握り締めて念じるだけでいい!」
「おっおうやってみる……これは……俺だな、もう一つでかいのがマキだな?」
「その調子で頼むよ」
スマホで地図アプリを出す
オッサンが真剣に念じている、黙って待っていると
「遠くに四つ気配がある、多すぎる。違うな……近くに一つ反応がある!」
地図アプリを見せると、オッサンがアプリを操作して行く。
「ここだここに感じる」
地図アプリに示された場所はキョーコの家だった。
「オッサンありがとう!」
「京子ちゃんを頼んだぞ!!」
ヘルメットをかぶらずにバイクで駆け出した!!
「だからね……アタシはお調子者でお気楽者でいる事にしたんだ……ごめんよ」
キョーコは黙って抱きしめてくれた痛いぐらいに……それが心地よかった。
オッサンが出て運ばれて来た、急所は外れており比較的傷は浅かったらしい。
ホッとして胸をなでおろし、後日改めてオッサンの様子を見に来る事にして。オッサンの車で警官にアパートの近くまで送って貰った。
「何故ここで降りたの?」
「念の為さ……行こう、アタシも混乱してるんだ。誰が敵でどうなっているのか……」
「それじゃ早く帰りましょう?」
「うん」
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アパートに帰ってもマキにいつもの覇気が戻らない、『呪い』の力……恐らくヒエ様がマキに取り憑いた時と、五年前自ら『呪い』に取り込まれた時に残った残滓だろうか?
マキに聞いてみた、やはりその時に得た力らしい。普段のあっけらかんとした性格は自分を抑える為だったらしい。
「それなら誰も怨むこともないって……だから師匠はアタシに、『憎むなら俺だけを憎め』って」
「そうだったの……でも力って使い方次第じゃないかしら?……今日はもう休みましょう?」
◆ ◆ ◆
使い方次第……か……キョーコがもう休もうと言っている。
「ごめん、ちょっと試したいことがある」
まだ夜の九時半時間はある、キョーコには先にお風呂に入ってもらう。アタシはトレーニング部屋へ白装束に着替えて入り、正座して意識を集中させる。自分の霊気と神気の他に紅い力が溢れて居る、霊気が五割……神気が三割……多分呪力が二割って所だろう。この三つを自分の身体で制御する、上手く配分できれば暴走もしないだろう。数十分間精神を統一する、神気と呪力が思ったほど簡単に同調出来た。だが霊気が反発する、霊気はアタシ自身の力だ呪力を拒んでいるのだろう。上手く歯車が噛み合わない。
「お風呂良いわよ?」
キョーコの声で意識を戻す
「あっありがとうすぐ入ってくる!」
疲れた身体を洗い流し湯船に浸かる……後少し何だけど……もどかしい気持ちのままだ。師匠どうしたら良いですか? 答えが出ないままお風呂から上がり、髪を乾かして寝室に向かう。キョーコが立ち上がり服を脱ぎ下着姿になる。煽情的な色気溢れる下着だった、誘われる様に近付くとそのまま布団へと押し倒される。
「どう? この下着姿、買ってはいたんだけどね……もうレスが五年も続いていて……今日初めて付けてみたのよ」
「良いと思うよ……っ」
キョーコから求める様にキスをしてくる
「ごめんなさい、今日色々あったのに……私って淫らな女ね」
「そんな事ない綺麗だよ、キョーコ。でも今日は」
「わかってるわ……もう一度キスしていい?」
こっちから押さえ付けるように激しいキスをした舌を混じらせお互いの涎を交換し合う。
「キョーコの胸で眠らせて今夜だけ」
キョーコは腕を広げて私を受け入れてくれた。
◇ ◇ ◇
マキが自分から甘えてくる、私の胸で眠らせて欲しいと。折角、恥ずかしい思いで買っていた下着姿を見せて。少しでも笑ってくれればと思っていた。結果としてマキが甘えてきてくれた事が素直に嬉しい。娘が産まれてからレスを解消する為に購入した下着だ。サイズがきつい、結局使う事は無かった下着だ……また今度ね。眠るマキのオデコにキスをした。
翌朝、起きて朝食を作る。少しでもマキには元気になって貰いたくて、張り切って作っていると私のスマホが鳴った。福祉課の後輩からだった今は朝の九時前、私が抜けて仕事が滞って居るらしい。
「塚田さんも大変だと思いますがお願いします!」
「わかった直ぐに市役所に向かうわ」
しまった車が無い
「ごめんなさい、ちょっと遅れるけどいいかしら?」
「俺迎えに行きましょうか?」
後輩の飯田君だ仕事熱心な所が伝わってくる。
「手伝って欲しい仕事って何?」
「来月からの保護費についての書類の確認と……」
その程度なら、市役所まで行かなくてもアパートから近い駅前の喫茶店。蜜柑で確認すると伝えて通話を終えた。
「どうしたの?」
「仕事よ本業を疎かにできないわ」
そう言いながら着替えて仕事モードに入る。
「朝食食べなさいよ!」
「大丈夫かよ! 昨日の今日だぞ」
「今は朝よ、駅前の喫茶店蜜柑で打ち合わせるだけだから! さっさと済ませてくるわよ」
「じゃあ念話だけは切らすなよ」
「わかってる、行ってくるわね」
◆ ◆ ◆
仕事かぁ……キョーコの作った朝食を食べながら自分の将来を考えて見た。この特技就活で使えないよなぁ……フリーターで良いかなぁ? 今の敵を全て倒して平和になったらちゃんと就活しよう。現状出来る事と言ったらバイトぐらいだ、スマホで通帳を見る。あぁ貯金が仕送りだけだ、食費とかキョーコが出してくれるけどさ……あっオッサンの様子も見に行かなきゃ! もう病院開いてるよな? 行ってみようキョーコに念話を送っておく。ササッと着替えて何時もの鞄と槍を背負ってバイクで向う。
受付でオッサンの部屋を聞き個室へと向かう、もう意識は戻っているらしい。
「オッサン元気!?」
勢い良く扉を開ける。
「声がでけぇよ、傷に響くだろうが!」
「どうよ傷の方は?」
「まぁ浅かったってのもあるが直ぐに退院出来るとよ」
勝手に椅子に座る
「オッサンさ、犯人共からは何も気配を感じ無かった?」
「そうだな普通の人間だった。化け物共の気配は感じなかったぞ、まさか人間も敵ってか!? いってて……」
「そうなるねアタシらが狙いだろうね」
「人間相手となるとこうしちゃ……グッ…くそ!!」
「無茶すんなよオッサン」
「おい京子ちゃんはどうした?」
「本業だってさ、もともと市の職員だろ? 今朝でかけて行ったよ」
「車ないから駅前の喫茶店蜜柑でやってるらしいよ」
「それ本当か? 信用できる相手なのか?」
「そこまでは分からないよ、キョーコの仕事内容なんて」
「マキいいかよく聞け、どんな仕事であれ個人情報を社外に持ち出す事は厳禁だ」
「京子ちゃんは、健康福祉課の生活保護者のケースワーカーだ。個人情報なんて簡単に持ち出せない、まして書類もな……」
「おいオッサンまさか……」
キョーコに念話を送るが返事がない
「敵が人間なら昼間だろうが夜だろうが関係ない」
不味い
「でもさ、職員だって……」
「既に何かしらの手段で取り入れられていたとしたら? 現に俺達をピンポイントで狙って来てるみたいじゃねぇか」
「早くいけ!!」
「わかった!!」
病院を飛び出し喫茶店まで向かう、店内にキョーコの姿がないクッソ!クソ!!
店員に聞くと男に支えられながら出て行った、男女が居たらしい。薬でも盛りやがったか? どっちに向かったか迄は分からないらしい。
とにかくキョーコに向けて念話を送るが反応がない、何か他に方法は無かったか……駄目だ人間を短時間で探せるわけがない。もう昼近いすでに……無力感に襲われる。待てよ? 首飾りを握り締める、首飾りと同じ反応を探って見るか! 気配が絞れないアタシには限界がある。でもオッサンなら? そうだオッサンの探知能力だ! 慌てて病院へと戻りオッサンの部屋に駆け込む。
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「どっどうした! やれって言われてもよ? どうしたってんだ。まさか!」
「そのまさかだよ!」
「オッサンの力なら首飾りを握り締めて念じるだけでいい!」
「おっおうやってみる……これは……俺だな、もう一つでかいのがマキだな?」
「その調子で頼むよ」
スマホで地図アプリを出す
オッサンが真剣に念じている、黙って待っていると
「遠くに四つ気配がある、多すぎる。違うな……近くに一つ反応がある!」
地図アプリを見せると、オッサンがアプリを操作して行く。
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