黎明が紡ぐ夜の物語

のどか

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~後日談・番外編~

とある女の独白ー2ー

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愛しい人の忘れ形見が私を急かす。
風のうわさで聞いたあの人を拘束した男の元へ行けと。
私から、私たちの愛しい宝からあの人を奪った男に復讐しろと、私のお腹の中で私を急かす。
それなのにその男に任された領民たちはみんな幸せそうだった。
この場所に辿りつくまで見るも無残な革命の傷跡が誰が治める領地にも色濃く残っていたのに。
かたきとなる男の治める領地の民は今まで見てきたどの領地よりも酷い傷跡が残っていたはずなのに、唯でさえ内憂外患でピリピリした地域だとあの人は言っていたのに、それなのにそこには笑顔が溢れていた。
私は信じられないものを見る思いでそっとあの人の敵である男のことを聞いてみた。
返ってきた答えはどれも彼を尊敬し、讃える声ばかりだった。
膝から崩れ落ちそうな思いで、その場に座り込んで泣き喚きたい気持ちになりながら男の屋敷を訪れた。
そこにはいつか私とあの人が思い描いてた幸せの形があった。
小さな子どもたちが広い庭を走り回る。敵の妻であろう女と領民だと思われる女たちが優雅にお茶を楽しんでいる。
領民にも扉を開いた屋敷。
民と共に生きる領主。
それが目の前で現実に広がっている。
あの人が望んだ世界がそこにある。

あぁ、ジャン、助けて。もう分からないの。助けて、助けて。

私は、この子は貴方という大切な人を失って絶望の淵に立たされているのに、貴方を奪った者たちは私たちが夢見た生活をしている。

「ん?見ない顔だな。この屋敷に何か用かい?お嬢さん」

お茶を楽しむ女たちを呆れ顔で眺めていた男がひと好きのする笑みを浮かべて私に声をかける。
私はカラカラに乾いた喉で、今にも崩れてしまいそうな足を必死に踏ん張って短く用件を伝えた。

「領主に、あの人を殺した男に面会を」
「……ジャン・ノエル・ラヴァンシー殿の縁者か。
 悪いが通すわけにはい」
「構わない。彼女にはその権利がある」
「ボス」
「あいつに気付かれないように見てろ。
 話がややこしくなるからな」

あの人を殺した男は愛おしそうに細君らしい女を見て私を屋敷の中へと促した。
私は殺してやると決めた男を目の前で自分が何をすべきなのか分からなくなっていた。
こんなときジャンならどうするのかしら。
ねぇ、私はどうすればいい?

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