完全幸福論

のどか

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~番外編~

雪の果てに消えるー1ー

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「寄宿舎とかに入った方がいいのかなぁ。」

キャッキャッと笑う双子のほっぺをつつきながらリヒトは最近の悩みの種をポツリと零す。
すると背後でガシャーーーンと何かが落ちて割れる音がした。

「りりりり、リヒト?いいいい今なんていった!?」
「姉ちゃん、何やってんの?大丈夫?」
「あ、ごめんなさい。じゃなくって!!」
「あーもう、落ち着いてよ。っていうか、危ないから下がってて。
 セイラとアルバもちょっとのあいだベッドの上でいい子にしててね」

あぶぅ~~!!と唸る双子をベッドの上に押し上げて何か言いたそうな顔をしながらも言葉にできずに固まったままのルナのもとにリヒトはしれっとした顔で近づいた。
何でもない風にさっきの破壊音のもとである粉々のティーカップの残骸を片付けるも、ルナからの視線はグサグサと刺さる。
……聞こえてたのか。誰もいないと思ったのになぁ。
失敗したと思いながらこのまま空耳だということで押し通そうとリヒトは黙って手を動かした。
あらかた片付け終わってあとは掃除機をかければ完璧というところに登場したノクトとジオにリヒトは頬を引き攣らせる。
どうしよう。
流石にボスとジオ相手に誤魔化せる気がしない。
姉ちゃんひとりなら誤魔化されてくれたかもしれないのに。
まさかあんなに小さな呟きでこんなに四面楚歌を味わう事をなるとは……。

「なんだ。またドジったのか?姫」
「ちがう!いや違うくないけど違うの!リヒトが、リヒトが変なこというから!!」
「えぇえ!!俺の所為!?」
「そうよ!リヒトが寄宿舎がどうとかっていうから!!」
「……そんなこと言ったっけ??」
「へ?聞き間違い?私の聞き間違い!?えぇええ!?」
「リヒト」

一応とぼけてはみたもののにジオの疑わしそうな視線と、ボスからの鋭い視線にこれ以上の抵抗は無駄だと悟った。
あぁ、本当にどうしてこんなにおおごとになっちゃったのかなぁ。
リヒトは渋々重たい口を開いた。

「考え事してたのはホント。
 だけど、もう少し自分で考えたいから考えに詰まったら相談してもいい?」
「……。煮詰まる前に来い」
「うん」

しばらく睨み合っていたが、これ以上リヒトが口を割る気はないと悟るとノクトは仕方なさそうにリヒトの欲しい言葉を紡いだ。
リヒトはそれに安心した様に笑う。
それに便乗したジオもくしゃりとリヒトの頭を掻きまでながらニヤリと笑った。

「ボスに言いにくかったら俺んとこでもいいぞ。
 話くらいいつでも聞いてやる」
「ジオもありがと。それで姉ちゃんはいつまで固まってるの?」
「えぇええ!?だって、え!?」

ひとり置いてきぼりで未だに混乱しているルナにノクトとジオが呆れたように息を吐く。
その様子を見つめながら思う。
もう少し、もう少しだけ、甘えていたい気もする。
この優しくて優しくて、泣きたくなるくらいに温かい場所に。
守られるままに、大好きな人たちの側に、ずっと居たいと思う。
だけど。

「「だぁ!!」」
「セイラ!?アルバ!?危ないからベッドにいてっていっただろ!」

ぐいぐいとズボンを引っ張られる感覚に下を向けばちょこんとズボンの裾を引っ張りながら抱っこを要求する妹と弟の姿。
リヒトの気持ちなんてお構いなしに精一杯伸ばされる小さな手をそっと握り返した。

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