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第1章~平和な日常が戻ってきました~
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ステラと双子を寝かしつけて戻ってきたリヒトは目にした光景をたっぷり3秒ほど眺めてパタンとドアを閉めた。
なにこの状況。
俺が子ども部屋に居る間になにがあったの?どうしてニナは泣きそうなの?
ジオはなんで慰めることもしないであんな怖い顔で考えこんでるの?
まさかこの短時間で夫婦の危機!?
俺がいない間に本当になにがあったの!?
ピタリとしめた扉に向かってリヒトがうんうん考えていると中から扉が開けられた。
急に開いた扉に支えを驚いて顔をあげると何とも言えない顔のジオと目が合う。
「さっさと入ってきやがれ。そんで説明しろ」
「むしろ俺が説明してほしいだけど。
なにがあったの?なんでニナ泣きそうなの?」
「……いろいろあったんだ。
それよりこの見合い話マジか?ボスさんは本気で、」
「“何事も経験”だってさ」
不貞腐れたように吐き捨てたリヒトにジオはすぅっと目を細める。
ステラを前にした時のデレデレの顔が嘘のように引きしまった仕事用の顔をするジオにリヒトは小さな溜息を吐いて今回の協力者に分かっている分の情報を提供する。
「ボスの本当の狙いは俺にお見合いさせることじゃないよ。
その裏側になにかを見てる、のは絶対なんだけど………それが何かわかんないんだよなぁ。
マルティーニ伯爵家になにか問題があるなんて話聞いたことないし、俺がお見合いしたからって特別なにかあるわけでもないし」
「あぁもういい。
分かりたくねェがなんか分かった気がする。
……あのクソボスめ。面倒な遊びをはじめやがって」
「ジオ?」
「なんでもねぇ。とにかくこの話は明日だ。
俺はそこでいじけてるやつを宥めなきゃならねぇ。」
「あー、うん。
それで、ニナはどうして泣きそうなの?」
「ぐす、リヒト様。
ニナは姫様よりお可愛らしくて、私より強くて、センパイより家事がこなせるお嬢さんじゃないと認めませんからね。
大人気なくても駄々こねますからねっ!邪魔しますからね!意地悪なお姉さんになりますからね!!」
「えぇっと、……どういうこと?」
イマイチ理解しきれていないリヒトは助けを求めるようにジオを見る。
ジオのはとても呆れた顔でリヒトとニナを見たがすぐにニヤリと意地悪く口の端を釣り上げた。
「女を連れて来る時は気を付けろってことだ。ここの女はみんな怖いからな」
「肝に銘じておくよ。
だけど当分その予定はないから安心して」
涙目でじぃいいっと見つめてくるニナに微苦笑を返してリヒトはそそくさと部屋を出た。
どうもこの屋敷に帰ってから自分の扱いが可笑しいような気がする。
過保護さが増した?
下手したら女の子のセイラよりも過保護な扱いを受けてるんじゃないだろうか。
他の同級生たちのように帰省のたびに興味深々の母親や姉から彼女はできたのかとからかわれたこともないし。
ボスだって俺が連れてきた子なら文句言わないとか言いながら俺にそういう相手が居るかどうかの確認なしにお見合いの話進めてるし。
確かにそういう相手はいないけど、なんだかなぁ。
「……彼女、つくろうかなぁ」
ガチャーーーン
いつかと同じように何かが盛大に割れる音を背中で聞いて、リヒトは大きな溜息を吐いた。
ゆっくりと振り返るとそこには想像した通り、割れたグラスと呆然と立ち尽くすルナの姿がある。
予想通り過ぎな光景になんだか泣けてくる。
こんな予想が当たってもちっとも嬉しくない。
「姉ちゃん、こんな時間になにしてるの」
「ノクトがお酒飲むって、だから、私も飲もうかなって、ってそうじゃないよ!!」
「あー、分かった分かった。もう遅いんだから大きな声ださないで。ほら、ボスが待ってるよ」
「リーヒートー!?」
「冗談だよ。冗談。第一、つくろうにも相手がいないし」
「……ほんとう?」
「こんな虚しくてカッコ悪い嘘なんで吐かなきゃなんないの」
「信じてもいい?」
「もちろん。息子を信用してください。
ほら、部屋まで送ってあげるから行こう?」
ぎゅうっと腕にしがみついてきたルナにリヒトは困ったように笑って行き先を自分の部屋からノクトの部屋へと変更した。
俺に恋人ができない理由は俺自身だけじゃなくて家族にもあるんじゃないだろうか。
リヒトはなんとなくそう思った。
なにこの状況。
俺が子ども部屋に居る間になにがあったの?どうしてニナは泣きそうなの?
ジオはなんで慰めることもしないであんな怖い顔で考えこんでるの?
まさかこの短時間で夫婦の危機!?
俺がいない間に本当になにがあったの!?
ピタリとしめた扉に向かってリヒトがうんうん考えていると中から扉が開けられた。
急に開いた扉に支えを驚いて顔をあげると何とも言えない顔のジオと目が合う。
「さっさと入ってきやがれ。そんで説明しろ」
「むしろ俺が説明してほしいだけど。
なにがあったの?なんでニナ泣きそうなの?」
「……いろいろあったんだ。
それよりこの見合い話マジか?ボスさんは本気で、」
「“何事も経験”だってさ」
不貞腐れたように吐き捨てたリヒトにジオはすぅっと目を細める。
ステラを前にした時のデレデレの顔が嘘のように引きしまった仕事用の顔をするジオにリヒトは小さな溜息を吐いて今回の協力者に分かっている分の情報を提供する。
「ボスの本当の狙いは俺にお見合いさせることじゃないよ。
その裏側になにかを見てる、のは絶対なんだけど………それが何かわかんないんだよなぁ。
マルティーニ伯爵家になにか問題があるなんて話聞いたことないし、俺がお見合いしたからって特別なにかあるわけでもないし」
「あぁもういい。
分かりたくねェがなんか分かった気がする。
……あのクソボスめ。面倒な遊びをはじめやがって」
「ジオ?」
「なんでもねぇ。とにかくこの話は明日だ。
俺はそこでいじけてるやつを宥めなきゃならねぇ。」
「あー、うん。
それで、ニナはどうして泣きそうなの?」
「ぐす、リヒト様。
ニナは姫様よりお可愛らしくて、私より強くて、センパイより家事がこなせるお嬢さんじゃないと認めませんからね。
大人気なくても駄々こねますからねっ!邪魔しますからね!意地悪なお姉さんになりますからね!!」
「えぇっと、……どういうこと?」
イマイチ理解しきれていないリヒトは助けを求めるようにジオを見る。
ジオのはとても呆れた顔でリヒトとニナを見たがすぐにニヤリと意地悪く口の端を釣り上げた。
「女を連れて来る時は気を付けろってことだ。ここの女はみんな怖いからな」
「肝に銘じておくよ。
だけど当分その予定はないから安心して」
涙目でじぃいいっと見つめてくるニナに微苦笑を返してリヒトはそそくさと部屋を出た。
どうもこの屋敷に帰ってから自分の扱いが可笑しいような気がする。
過保護さが増した?
下手したら女の子のセイラよりも過保護な扱いを受けてるんじゃないだろうか。
他の同級生たちのように帰省のたびに興味深々の母親や姉から彼女はできたのかとからかわれたこともないし。
ボスだって俺が連れてきた子なら文句言わないとか言いながら俺にそういう相手が居るかどうかの確認なしにお見合いの話進めてるし。
確かにそういう相手はいないけど、なんだかなぁ。
「……彼女、つくろうかなぁ」
ガチャーーーン
いつかと同じように何かが盛大に割れる音を背中で聞いて、リヒトは大きな溜息を吐いた。
ゆっくりと振り返るとそこには想像した通り、割れたグラスと呆然と立ち尽くすルナの姿がある。
予想通り過ぎな光景になんだか泣けてくる。
こんな予想が当たってもちっとも嬉しくない。
「姉ちゃん、こんな時間になにしてるの」
「ノクトがお酒飲むって、だから、私も飲もうかなって、ってそうじゃないよ!!」
「あー、分かった分かった。もう遅いんだから大きな声ださないで。ほら、ボスが待ってるよ」
「リーヒートー!?」
「冗談だよ。冗談。第一、つくろうにも相手がいないし」
「……ほんとう?」
「こんな虚しくてカッコ悪い嘘なんで吐かなきゃなんないの」
「信じてもいい?」
「もちろん。息子を信用してください。
ほら、部屋まで送ってあげるから行こう?」
ぎゅうっと腕にしがみついてきたルナにリヒトは困ったように笑って行き先を自分の部屋からノクトの部屋へと変更した。
俺に恋人ができない理由は俺自身だけじゃなくて家族にもあるんじゃないだろうか。
リヒトはなんとなくそう思った。
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