完全幸福論

のどか

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第2章~守るために強くなると誓いました~

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ふくれっ面のセイラとアルバ、その側で困り顔をしながらもどことなく寂しそうなステラにじっと見つめられてリヒトは罪悪感で一杯になった。
その様子を無言で眺めていた保護者たちの表情が引き攣っていることに誰も気がつかない。
否、双子は気がついても気にしない。

「……ママたちだけずるいわ」
「俺たちだって兄さんと一緒にいたい」
「ずるいです」

ルナやノクトに向けられた視線はそれはもう恨みがましいものであったというのにリヒトのシャツをひしっと掴み訴える時は上目遣いで瞳を潤ませることを忘れない双子。
そして計算ではなく素でそれをやってのけるステラ。
可愛い弟妹にそんなことを言われてしまえばリヒトの心は大いに揺らぐ。

もういいかな。
メンドクサイし。
別にアイツの顔みなくても俺死なないし。
うん。可愛い妹と弟に寂しい思いをさせてまで参加しなきゃならない理由もない。

「リヒト様―――!?」
「しっかりしろリヒト!!
 惑わされるな!それは悪魔の罠だぞ!!」
「あー、」

セイラとアルバの涙目が嘘だってことはなんとなくわかってはいるけれど。
俺だけじゃなくてボスと姉ちゃんも参加して自分たちだけ仲間はずれみたいにお留守番させられてモヤモヤする気持ちと寂しい気持ちはきっと本物だと思うから。
置いて行かないでと訴える瞳に偽りなんて見えないから。
だから、少しだけ、本気で揺らぐ。

「……ごめんなさい。兄様、困らせたい訳じゃないの」
「父さんや母さんが一緒に行けるのが羨ましいのと寂しいのはホントだけど」
「……いい子でお留守番がんばります」

困り顔で言葉を濁してしまったリヒトにセイラは俯いてコテリとその体をリヒトに預けた。
それを受け止めながら小さく紡がれた言葉にリヒトは苦笑いを零す。
その後に続けられたアルバとステラの言葉にも。

もっと困らせてくれてもいいのに。
俺は、セイラたちのお兄ちゃんなんだから、もっと甘えて困らせてくれていい。
ステラのことだって可愛い妹だと思ってるんだから遠慮なんかしなくてもいい。
本当に困った時は、ダメだと思った時はちゃんと言うし、怒る。
だから俺がそうしない間は願いを呑みこまなくてもいい。

7つ以上も年の離れた可愛い妹たちはいつだって、最後の最後にリヒトのために自分の願いを呑みこむ。
リヒトが屋敷を離れていたときだって、何度も何度も「行かないで」「ずっとここにいて」という言葉をセイラたちが呑みこんできたことに本当は気がついていた。
それが健気でいじらしくて、リヒトのできる精一杯で甘やかしてやりたくなる大事な存在。
いつか、ノクトとルナからもらった言葉を思い出しながらリヒトはぼんやりと考えた。

あの時のボスと姉ちゃんもこんな気持ちだったのかな。
俺は精一杯ワガママ言ってるつもりだったけど、全然足りないや。

「……ありがとう。できるだけ早く帰ってくるからいい子で待っててね」

お腹に埋められた頭に感謝のキスを落としていつの間にかそれを見守るように1歩離れてこちらを見ていたアルバとステラの頭を優しく撫でた。

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