39 / 145
第2章~守るために強くなると誓いました~
36
しおりを挟む
ノクトの執務室へと呼び出しを受けたジオは告げられた言葉に目を見開いて驚いた。
「はぁ!?今何つった!?」
「この招待を受けると言ったんだ」
テメェの耳は飾りかと睥睨されてもジオはそれどころではない。
ぞんざいに寄こされた招待状を隅から隅まで何度も確認して大きく嘆息する。
「嗚呼、ついにこの国も滅ぶのか……」
「いい度胸だな。死ね」
ピクリと眉を動かしてごく自然に突きつけられた銃口を素手で抑えつけてジオは叫ぶ。
「ふざけんな!
俺に仕事を押し付ける前になにがどうしてそんな迷惑極まりないことを言いだしたのか説明しやがれ!!今まで夜会なんてメンドクサイつって全部俺に押し付けてたじゃねぇか!!」
「リヒトが招待を受けた。あとは気分だ」
「自重しろ親バカ――――!つか気分ってなんだ気分って!!」
「テメェにだけは言われたくねぇ。ステラにあっさり情報盗られやがったくせに」
「んだと!!」
「……センパイ、ボス。もう少し抑えられた方がよろしいかと。
その……全部筒抜けです。」
遠慮がちに声をかけたニナの視線の先には綺麗に並んだ4つの頭。
「パパ!兄様が招待を受けたってどういうこと!?
事の次第によっては私黙ってないわよ!!」
「まさか、自分だけそれに付いて行く気じゃないわよね?」
鬼の形相で問い詰めてくる娘と瞳を輝かせて私も行きたい!!とのたまう妻にノクトの表情は引き攣る。
ジオはジオで半分アルバに潰されるようにしながらも不思議そうにまたなにかあったんですか?という顔で自分を見つめてくる娘に妙な罪悪感を抱き、ふぅん?自分たちだけ抜け駆けする気なんだ?という冷ややかな視線を向けてくるアルバに心を抉られるような思いを味わっていた。
というか実際にキリリと胃が悲鳴を上げた気がした。
引き攣った上司と旦那の顔をニナは遠い目をして眺める。
嵐の予感、いやもう強風を感じるくらいすぐそこまで嵐が来ている。
もう笑うしかないなと渇いた笑いがその唇から零れそうになった時、廊下の向こうに救世主を見つけた。
「みんな揃ってどうしたの?何かあった?」
暴走する双子の唯一のストッパーであり、救世主であり、嵐の中心であるリヒトが不思議そうに目を瞬く。
パァと輝いたニナの瞳に疑問符を浮かべながらも、リヒトは扉の前を占領している彼らの後ろからそっと執務室の中を覗き込んだ。
「あ、やっぱりボスに呼ばれてたんだ」
「お、おぅ。どうした?なにかあったか?」
「いや、急ぎじゃないから後でいいよ。
取り込み中なら報告書も後にする方がいいよね?」
「「いや!今でいい。今にしろ」」
「へ?」
ピタっと声を揃えて引きとめようとするふたりにリヒトはまた不思議そうな顔をする。
そしてようやく自分を見つめるルナたちの視線が執務室にいる2人ではなくリヒトに向けられていて、その視線が物言いたげなものであることに気がついた。
「な、なに?また、変な話が持ち込まれたの?」
「ちがうよ。
兄さん、どこかに招待されてしばらく家空けたりする予定ある?」
「え?あ、うん。
一応、学生時代の腐れ縁に顔見せろって言われてるから、お受けするつもりだよ。
無視したら面倒なことになりそうだし」
リヒトは招待状の贈り主である男を思い出してぐっと眉を寄せる。
招待に応じなければここまで押しかけてきそうだから怖い。というかやつは絶対に来る。
どこをどう間違えたのかあの男に気にいられてしまった以上は正確に対処しないと酷い目にあうのはリヒトだ。
助けてもらう事がなかったとは言わないが、振りまわされるのは大抵リヒトだった。
「ねぇ、リヒト。それってオトモダチだけで集まるの?」
「いや、侯爵夫人が暇つぶしに開く夜会に便乗するらしいから関係ないと思うけ、ど……。
ね、姉ちゃん……??」
まさか、まさかね。
ガンガン主張する嫌な予感から目を背けるようにリヒトは助けを求めて執務室を振りかえった。
そこにはどこか開き直ったような顔のノクトともう好きにしてくれと言わんばかりに渇いた笑みを浮かべて諦めの境地にいるジオの姿がある。
リヒトは耳を塞ぎたい衝動を必死にこらえながらゆっくりと視線を戻す。
甘い笑顔を浮かべるルナと目があった。
瞬時に視線をそらそうとしたが、それよりもルナが口を開く方が早い。
「じゃあ、私も行ってもいい?最近閉じこもってばっかりだし」
年齢を感じさせない可愛らしいお願いにリヒトはヒクリと頬を引き攣らせて周りを見渡すが助けてくれる人はいない。
ニナはサッと目をそらし執務室のふたりは相変わらず、セイラとアルバは下手に刺激をすると自分たちも連れていけと言いだしそうな雰囲気だ。
リヒトは渇いた笑みを浮かべて全ての判断を開き直ったように悠然と椅子に腰かけているボスに任せることにした。
弾きだされる答えなんてわかっている。
それでも自分の口から最終決定を下したくなかった。
「はぁ!?今何つった!?」
「この招待を受けると言ったんだ」
テメェの耳は飾りかと睥睨されてもジオはそれどころではない。
ぞんざいに寄こされた招待状を隅から隅まで何度も確認して大きく嘆息する。
「嗚呼、ついにこの国も滅ぶのか……」
「いい度胸だな。死ね」
ピクリと眉を動かしてごく自然に突きつけられた銃口を素手で抑えつけてジオは叫ぶ。
「ふざけんな!
俺に仕事を押し付ける前になにがどうしてそんな迷惑極まりないことを言いだしたのか説明しやがれ!!今まで夜会なんてメンドクサイつって全部俺に押し付けてたじゃねぇか!!」
「リヒトが招待を受けた。あとは気分だ」
「自重しろ親バカ――――!つか気分ってなんだ気分って!!」
「テメェにだけは言われたくねぇ。ステラにあっさり情報盗られやがったくせに」
「んだと!!」
「……センパイ、ボス。もう少し抑えられた方がよろしいかと。
その……全部筒抜けです。」
遠慮がちに声をかけたニナの視線の先には綺麗に並んだ4つの頭。
「パパ!兄様が招待を受けたってどういうこと!?
事の次第によっては私黙ってないわよ!!」
「まさか、自分だけそれに付いて行く気じゃないわよね?」
鬼の形相で問い詰めてくる娘と瞳を輝かせて私も行きたい!!とのたまう妻にノクトの表情は引き攣る。
ジオはジオで半分アルバに潰されるようにしながらも不思議そうにまたなにかあったんですか?という顔で自分を見つめてくる娘に妙な罪悪感を抱き、ふぅん?自分たちだけ抜け駆けする気なんだ?という冷ややかな視線を向けてくるアルバに心を抉られるような思いを味わっていた。
というか実際にキリリと胃が悲鳴を上げた気がした。
引き攣った上司と旦那の顔をニナは遠い目をして眺める。
嵐の予感、いやもう強風を感じるくらいすぐそこまで嵐が来ている。
もう笑うしかないなと渇いた笑いがその唇から零れそうになった時、廊下の向こうに救世主を見つけた。
「みんな揃ってどうしたの?何かあった?」
暴走する双子の唯一のストッパーであり、救世主であり、嵐の中心であるリヒトが不思議そうに目を瞬く。
パァと輝いたニナの瞳に疑問符を浮かべながらも、リヒトは扉の前を占領している彼らの後ろからそっと執務室の中を覗き込んだ。
「あ、やっぱりボスに呼ばれてたんだ」
「お、おぅ。どうした?なにかあったか?」
「いや、急ぎじゃないから後でいいよ。
取り込み中なら報告書も後にする方がいいよね?」
「「いや!今でいい。今にしろ」」
「へ?」
ピタっと声を揃えて引きとめようとするふたりにリヒトはまた不思議そうな顔をする。
そしてようやく自分を見つめるルナたちの視線が執務室にいる2人ではなくリヒトに向けられていて、その視線が物言いたげなものであることに気がついた。
「な、なに?また、変な話が持ち込まれたの?」
「ちがうよ。
兄さん、どこかに招待されてしばらく家空けたりする予定ある?」
「え?あ、うん。
一応、学生時代の腐れ縁に顔見せろって言われてるから、お受けするつもりだよ。
無視したら面倒なことになりそうだし」
リヒトは招待状の贈り主である男を思い出してぐっと眉を寄せる。
招待に応じなければここまで押しかけてきそうだから怖い。というかやつは絶対に来る。
どこをどう間違えたのかあの男に気にいられてしまった以上は正確に対処しないと酷い目にあうのはリヒトだ。
助けてもらう事がなかったとは言わないが、振りまわされるのは大抵リヒトだった。
「ねぇ、リヒト。それってオトモダチだけで集まるの?」
「いや、侯爵夫人が暇つぶしに開く夜会に便乗するらしいから関係ないと思うけ、ど……。
ね、姉ちゃん……??」
まさか、まさかね。
ガンガン主張する嫌な予感から目を背けるようにリヒトは助けを求めて執務室を振りかえった。
そこにはどこか開き直ったような顔のノクトともう好きにしてくれと言わんばかりに渇いた笑みを浮かべて諦めの境地にいるジオの姿がある。
リヒトは耳を塞ぎたい衝動を必死にこらえながらゆっくりと視線を戻す。
甘い笑顔を浮かべるルナと目があった。
瞬時に視線をそらそうとしたが、それよりもルナが口を開く方が早い。
「じゃあ、私も行ってもいい?最近閉じこもってばっかりだし」
年齢を感じさせない可愛らしいお願いにリヒトはヒクリと頬を引き攣らせて周りを見渡すが助けてくれる人はいない。
ニナはサッと目をそらし執務室のふたりは相変わらず、セイラとアルバは下手に刺激をすると自分たちも連れていけと言いだしそうな雰囲気だ。
リヒトは渇いた笑みを浮かべて全ての判断を開き直ったように悠然と椅子に腰かけているボスに任せることにした。
弾きだされる答えなんてわかっている。
それでも自分の口から最終決定を下したくなかった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる