完全幸福論

のどか

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第2章~守るために強くなると誓いました~

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「久しぶりだな!親友!!元気だったか?」

ホストである侯爵夫人への挨拶が終わった途端元気よく駆け寄ってきた男をリヒトはじとりと睨みつけた。
しかしリヒトのそれよりも数倍鋭い視線が満面の笑みで近寄って来た彼をきつく窘める。

「ジェロージア。お客様の前ですよ」
「失礼いたしました。
 御無礼をお許しください」
「お気になさらず。
 息子が親しくしていただいているようで……お会いできて嬉しく思います」
「こちらこそ光栄です」

そう言いながらもリヒトを気にする青年にルナは微苦笑を零す。
本当にリヒトはどこに行っても人を引き寄せるらしい。
自覚がないのがちょっと不安になるくらいに。
そう思っているのはルナだけではないようでノクトがリヒトに向ける視線も若干の呆れを含んでいる。
当の本人はチラチラ見てくる青年にひどく冷めた目を向けていてノクトの視線にもホール中から向けられる視線にも全く気付いていないけれど。

「では婦人、私たちは失礼します」
「リヒト。貴方も今日は息抜きさせていただきなさいね」
「ありがとうございます。父上。母上」

その一言にココが何処かも忘れてぱぁああと顔を輝かせてリヒトに抱きつきそうなルナを一瞬だけ目を瞠ったノクトが慣れた手つきで窘めて引きずっていく。
その微笑ましい後ろ姿を小さく笑いながら見送っていると隣からぐいぐいと腕を引っ張られて今度は溜息が洩れた。

「連れねぇな。親友との久しぶりの再会だってのに」
「親友?腐れ縁の間違いだろ」
「侯爵殿と俺の差!?」
「ジェロ。よく考えて?
 ボスたちと腐れ縁のお前が同列な訳ないだろ?」

真剣な顔でそうのたまうリヒトに泣きマネなんて通用しない。
昔、本当に放置された記憶があるジェロージアはそんな馬鹿な真似はせずにさっさと話題を変えた。

「それにしたってこうもあっさりお前が来てくれるとは思わなかったよ」
「本当にね。今まさに後悔の真っ最中だ」
「ひどい!俺と会うのがそんなに嫌だったのか!?」
「別に。
 ただお前の顔を見るより可愛い妹と弟に寂しい思いをさせないことの方が重要なだけだよ」
「……相変わらずシスコン・ブラコンだな」

ヒクリと頬を引き攣らせたジェロージアにリヒトは少しだけスッキリした気分になってボーイからグラスを受け取って足を進める。

「じゃあね」
「え?ちょ、リヒト!?リヒト君!?まさかもう帰っちゃうとか言わないよね!?」
「問題でも?」
「嘘だろ!?お前俺がどんだけ楽しみにしてたと思ってんの!?」
「だったら俺に言うことがあるんじゃないの?」

にっこりと笑ったリヒトにジェロはさらに口元を引き攣らせる。

あ、やっぱりバレてる。
そうだよな。
俺が招待状を送ったって、家に押し掛けるぞと脅したってリヒトが簡単に招待を受ける訳ないよな。
ましてや罪悪感がどうとか言ってたところをみると溺愛している妹君と弟君からも止められたみたいだし。
作戦は成功したと言えるのに、想像したほどに嬉しくないのはにっこりと微笑んだ瞳が絶対零度の冷たさを宿しているからだからだろうか。
本気で侯爵たちと合流してさっさと帰ってしまいそうなリヒトにジェロージアは素直に投降するしかなかった。
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