完全幸福論

のどか

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第2章~守るために強くなると誓いました~

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約束通り想像していたよりずっと早く帰ってきてくれたリヒトにセイラとアルバは大きく目を見開いて慌てて駆け寄った。

「兄さん!!」
「おかえりなさい!!」
「おかえりなさいです!」

ふたりに引きずられるようにしながらステラも嬉しそうに寄ってくる。
リヒトは主人の帰りを待ちかまえていた仔犬のような3人にパチリと目を瞬いて柔らかく微笑んだ。

「ただいま。ちゃんといい子にしてた?」

小さな頭を撫でながら紡いだ言葉にセイラとアルバはプクリと頬を膨らませる。
リヒトは子ども扱いに不満そうなふたりにクスリと笑うと呆れ顔で自分たちを見ているジオとニナに視線を移した。
いつの間にか自分を追い越して彼らのところまで行っていたノクトとルナには呆れを通り越して諦めの表情が浮かんでいる。

「セイラ、アルバ、ボスと姉ちゃんには言わなくてもいいの?」
「「………」」

黙りこんでしまった自分たちの心なんてお見通しだと言わんばかりにトンと背中を押されたセイラとアルバは顔を見合わせてきゅうと眉を寄せる。
そしておずおずとふたりに近づくとルナのドレスの端とノクトのスーツの端をちょこんと掴みプイっと顔をそむけたまま蚊の泣く様な小さな声でポツリと呟いた。

「「………おかえり、なさい」」

その素直じゃない行動にルナとノクトは吹きだすのを必死にこらえる。

「ただいま」
「置いていって悪かったな」

大きな手でくしゃりと頭を撫でられたセイラは驚いた顔を隠すように俯いて、白魚のような手にドレスを握っていた手を優しく包まれてふわりと抱きしめられたアルバはぐっと眉を寄せて黙りこんだ。
ふたりとも複雑そうな顔をしながら握りしめた手は離していないし髪の隙間から覗く耳がほんのりと色づいている。
その様子を微笑ましく見守りながらリヒトはステラと一緒にジオとニナの元へと足を進めた。

「ホントに可愛いよね」
「……ダメだ。幻覚がみえる。あとお願いします」
「……無理だ。俺も目が疲れを訴えてる」
「母様、父様……?」

え?え?と困り顔のステラは遠い目で親子を見守る両親の顔を見比べる。
リヒトはそれに呆れた顔を向けて小さく溜息を吐くとおろおろしているステラの頭を優しく撫でた。

「先に行ってようか?」
「……はい!」

少し迷うようにセイラとアルバを見たステラはしかめっ面のふたりがなんだか嬉しそうに見えてコクリと頷いた。
驚いた顔でその光景を凝視する両親はリヒトが帰って来てからたまにあることなのでそのままにしておくことにする。
差し出された大きな手に小さな指を絡めて歩きだす。
話したいことがたくさんある。
お留守番している間、セイラとアルバが珍しくおとなしかったことやボスの執務室を覗きに行っては肩を落としていたこと、何度も何度も窓の外を眺めてはリヒトの名前を呟いていたこと。
何から話そうか。
思いがけず手に入れたリヒトをひとり占めできる時間にステラは嬉しそうにはにかんだ。

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