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第2章~守るために強くなると誓いました~
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しおりを挟む宣言通り可愛い弟妹のためにさっさと帰った親友を見送りジェロージアは大きな溜息を吐きながら自室のソファーに沈みこんだ。
「どういうつもり?」
声の方にチラリと視線を向ければドアの前から一歩も動かずに警戒心丸出しで自分を睨みつける女の姿があった。
彼女の動揺を表わすように藍色の髪が揺れるのを見て嘲笑う。
「そんなに警戒しないでくださいよ。親友の大事なセンパイに悪さはしません。」
「何がしたいの?」
「レディーが人気のない庭園にひとりでいれば誰だって心配するでしょう。
あぁ、温かいお茶もお出ししましょうか?」
「ふざけないで」
「ふざけてなんていませんよ。
声をかけずにはいられなかったんです。
“芹摘む君は美しい”ってやつですかね」
馬鹿な女だと思う。
彼女も兄に嫁ぐダリア嬢も。
些細なことでたやすく自制心を失い叶わぬ恋に身を焦がし、破滅へと突き進む。
ダリア嬢は周りと運に恵まれて事なきを得たが彼女は―――――――。
「、失礼するわ」
「いいんですか?そんな顔で戻って。
今、女の顔してますよ。
“お父様”に見られるとヤバイと思いますけど」
「っ、」
青ざめた顔で息を呑んだ女にジェロージアは自分の予想があたっていたことを理解した。
珍しいことじゃない。腐敗した貴族にありがちな話だ。
善人面して孤児を拾い支援する。あるいは自分の子として育てる。
世間から慈善家だともてはやされるその裏で抵抗できない子どもたちを支配し蹂躙するなんて飽きるほどによく耳にする話だ。
一握りの例外を除いて慈善家だなんだともてはやされる貴族の本質は穢れ切った欲望で出来ている。
名門貴族レドモンド侯爵家に生まれ物心がつく前からそういう世界に触れてきたジェロージアはそう信じて疑わない。
「運命って残酷ですよねぇ。拾われた相手が違うだけでこんなにも差がでる」
「、知った口をきかないで」
「それは失礼。
でもセンパイ。忘れないでくださいね」
「……そんなこと、君に言われなくても私が一番わかっているさ」
ギリギリ奥歯を噛みしめながら眦を釣り上げて睨んでくる女にジェロージアは優しく微笑んだ。
「ならよかった。その理性と自制心を貴女が手放さないことを願ってますよ」
「本当に嫌な男。
君こそ何が目的かはしらないけど彼を甘く見ない方がいい。君が思ってるよりずっと怖いよ」
「……御忠告どうも。
でも俺よりあいつを知ってる風な口をきくのやめてください。不愉快だ」
「それはお互い様だよ」
嫌悪に顔を歪めながら吐き捨てた女が扉の向こうに消えてくのを眺めながらジェロージアは不機嫌そうに鼻を鳴らした。
ムカつく女だ。
あいつが俺をおいてあの女を追いかけただけでも腹が立つというのに泣きもせずにただ表情を歪めながら睨みつけていくなんて何様だ。
「余計なことしやがって。あのクソババア何を企んでいやがる」
暇つぶしで開く夜会に招待するほど親しくなどないあの女の“お父様”を招待した母の気まぐれにジェロージアは苦虫を噛み潰したような顔をしながら嘆息した。
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