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第2章~守るために強くなると誓いました~
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しおりを挟む夜の帳が下りきった世界は太陽が輝いている間とはまったく違う表情を見せる。
冷たい風としんと静まり返った夜の世界をセイラはぼんやりと見つめていた。
「風邪ひいちゃうよ」
「ママ!」
驚きに目を見開くセイラににこりと微笑んでルナはその隣に並んでセイラと同じように夜に染まった景色を眺める。
ただ、隣にいるだけ。本当にただそれだけのことなのにセイラは目頭が熱くなって泣いてしまいそうだった。
「……こんなに、苦しいなんて思わなかったの」
「うん」
「ずっとずっと不安だったわ。だけど、こんなにモヤモヤしたのは初めてだったの」
「うん」
「お見合いのときだってこんなに怖くなかった。
たぶん、心のどこかで絶対に兄様は私たちを優先させてくれるって思ってたから」
ルナはセイラの声が震えていることに気付かないふりをしながらじっと吐き出される言葉を聞いていた。
「でもとどかないの。どんなに頑張っても、兄様に届かない。
どんどん遠くにいっちゃう。私の知らない兄様が増える度に怖くてたまらなくなる。
兄様の家族以外の特別が見えるたびに兄様をとられるんじゃないかって」
「じゃあ諦める?」
ゆっくりと振り返った顔にセイラはごくりと息をのんだ。
そこにいたのはいつもの可愛いだけのルナじゃなかった。
「怖いならやめればいい。
リヒトはとっても魅力的よ。だけど、貴女を妹としてしか見てない。
でも広い世界には貴女を女の子として愛して大切にしてくれる男性もいるわ」
「っ、」
「どんなに背伸びしても貴女はまだ子どもよ。
出会いなんてこれから幾らでもあるわ」
「、それでも!それでも、私は兄様がいい。
苦しくても哀しくても怖くても、兄様がいいの。兄様じゃないとダメなの」
「なら、頑張りなさいな」
いつものようにふんわりと笑ったルナにセイラは目を瞬く。
けれどルナはそれ以上なにも言わずにポカーンとした表情で自分を見つめるセイラのことなど気付いてないとでも言いたげにまた景色へと視線を戻した。
「ま、ママ…?」
「なぁに?」
「なにって……」
「あ、そうだ。ひとつだけセンパイからのアドバイス。
年の差って結構厄介よ?
妹から抜け出すよりも年の差を盾に逃げ回るのを観念させるほうがよっぽど大変」
何かを思い出すようにくすくす笑うルナにセイラは表情を引き攣らせる。
目の前にいるのってママよね?
なんだか私の知ってるママと随分違う気がするんだけど。
なにこれ。誰コレ。ママの格好をした……本当に誰!?
というかあのパパが年の差なんて気にしてたの!?
ママから逃げ回ってたって!しかも今観念させるって言った!?
え?えぇええ!?本当になにがどうなってるの!?
てっきりパパがママを溺愛しててそのまま結婚したんだと思ってたのに違うの?
というかいつもの天然ボケでお子様で可愛らしいママはどこに行ったの!?
アルバの腹黒さはまさかのママ譲り!?嘘でしょう!?
「セイラ??」
「え!?あ、な、なんでもないわ。」
今のは夢よ。夢。幻。
私はなにも聞いてないし見てないわ。
情緒不安定な上にパパに水増しされた仕事のせいで疲れてるのよ。
うん。だいじょーぶ!
セイラはうっかり見てしまった可愛い母のしたたかさから目を背けて、今夜の記憶に頑丈に鍵をかけることにした。
「そう?」
「うん。ありがとうママ」
不思議そうに可愛らしく小首をかしげてみせるルナにセイラはにっこりとほほ笑んだ。
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