完全幸福論

のどか

文字の大きさ
71 / 145
第2章~守るために強くなると誓いました~

66

しおりを挟む
少女とはじめて言葉を交わしたあの夜、なによりもノクトを驚かせたのは強すぎるほどの決意を秘めた瞳とほんの少しの自嘲を浮かべた笑みだった。
ノクトを『夜の闇』を背負うものだと知りながら対等に言葉を紡ぐ少女。
けれどそれは彼女も同じだけの重荷を背負っているからこそできたことだとすぐに分かった。
そんな彼女が困ったように笑いながら紡ぐ音は、夜の闇に溶けていく音は何よりも綺麗で何よりも哀しいものだった。

『―――終わらせようと思うんです。
私たちが―――私が、役目を果たせなくなった以上この名はあっても意味はない』

まだ20といくつかの少女が何のためらいもなくそう言いきった。

『だけど私ひとりでは無理だから、少しだけお力添えをお願いします』

哀しく微笑んだ少女はそのまま喧騒の中に消えて行った。
少女の言葉を、秘められた強い意志を、哀しすぎる後ろ姿を思い出しながらノクトは重たい息を吐いた。





「ジオ、覚悟があるか?」

リヒトが言葉を失う中でジオはじっとノクトの瞳の奥を見据えてニヤリと笑った。

「誰の娘だと思ってやがる。
 それにどっかの双子の悪魔のおかげで大抵のことなら動じないはずだ」
「なら決まりだ。
 リヒト、ガキ共を呼んで来い。ついでにルナとニナもだ」

全く話についていけてないリヒトは混乱する頭の中をそのままに言われた通りセイラたちを呼びに行った。
珍しい収集に小首を傾げるのはルナとステラだけでニナとセイラ、アルバの瞳は呼び出しの理由を思い浮かべて鋭く尖らせている。

「面倒な話じゃなければいいんですけどね」
「そうもいかないわ。ママとステラも一緒ってところが気になるけどね」
「あのクソ親父今度は何をたくらんでやがるんだか」
「今日はまだ怒られることしてないんだけどなぁ」
「ボスのご用ってなんですかねぇ」

前を歩くふたりのマイペースさに溜息を吐かずにはいられない3人としかめっ面のままのリヒト。
リヒトは混乱の解けないままボスの指示通り大切な家族をボスの執務室(夜の闇)へと連れて行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

処理中です...