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第2章~守るために強くなると誓いました~
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それからは異常なくらいにいつもと変わらない日々がと通り過ぎてて行った。
完全に肩透かしをくらったセイラはプクリと頬を膨らませてステラにブツブツと愚痴っている。
2つ年下であるはずのステラに宥められている妹の姿を見てリヒトはホッと息を吐いた。
こういうところはまだ普通の女の子だ。
あの夜のボスを前に一歩も怯むことなく凛と立ち真っ向から要求を述べた姿は今のセイラに重ならない。
リヒトの知らないセイラはもうココにいない。
まるであの夜が見せた夢幻のように。
「……兄さん、」
「アルバ?」
「………コレ」
「っアルバ、」
「わかってる。姉さんに関しては自信ないけどステラと母さんは任せて」
「ありがとう。アルバも十分に気を付けるんだよ」
王家の紋章が押された封筒を握りしめてリヒトは努めて普段通りを装ってノクトの執務室を目指した。
アルバ以外の誰にも気付かれないように細心の注意を払って。
「ボス、失礼します」
「どうした」
「これを」
差し出されたものを手に取り王家の紋章が押された封筒に顔色を変える。
素早くペーパーナイフで封を切るとすらすらと文字を追いかける。
全ての文を読み終えたノクトは乱暴に便せんを封筒に押し戻して小さな溜息を吐いた。
「めんどくせぇ事になったな」
「クソボスー、例の件分かったぜってリヒト??」
「遅ぇ。
それよりこれを見ろ。ご丁寧なことに招待状だ」
「マジかよ。王宮で事を起こそうなんて今度は本気で国盗りしようってか??」
「まだ決まった訳じゃねぇがおそらく間違いないだろうな」
「…ラヴァンシーは?ラヴァンシーの名前がなければそんなことできないんじゃ」
「ニンフィア・ノエル・ラヴァンシー。
現段階で一番ラヴァンシー一族の血が濃い令嬢の名前だ」
「ニンフィア…ってセンパイが?いや、でもセンパイの名前はニンフィア・ルミエールだよ」
「お前が報告したんだろ。その名を利用するためにラヴァンシー狩りがあったって」
「華を散らせる前に夜を終わらせるぞ。
あの一族はどうにも死にたがりが多いらしいからな」
「ボス!それってどういうこと!?
あのセンパイが……?
それにもうすぐ結婚するって!最後の自由時間だから暇つぶしに付き合えって……!!」
「リヒト」
「……ごめん。だけど、センパイが何も考えずにそんなことに巻き込まれるわけないし、する訳ないんだ。
確かにあの人サボリ魔で校則破りの常習犯だったけど先生に見つかったことないし、武術だってそこらの男よりよっぽどできて周りに女子を侍らせてたし!!」
「……俺たちはどこからつっこめばいいんだ?」
「……女が女侍らせてどうすんだよ」
「兎に角!!きっともっと何か、もっと大きくて重大な事があるはずなんだよ。
あの人は愚者じゃない」
「あぁ、そうだろうな」
「「ボス?」」
「彼女はとても誇り高く自分の為すべきことを心得ている。いっそ――――…」
そう呟いてノクトは憂いを帯びた瞳をそっと伏せた。
それは自分もまた同じなのだろうけれど、それでもやはり静寂を守る夜と明るくにぎわう黎明では担う役割が違うのだろう。
きっとはじめてこの国の黎明を告げ、夜の物語が始まった瞬間から。
完全に肩透かしをくらったセイラはプクリと頬を膨らませてステラにブツブツと愚痴っている。
2つ年下であるはずのステラに宥められている妹の姿を見てリヒトはホッと息を吐いた。
こういうところはまだ普通の女の子だ。
あの夜のボスを前に一歩も怯むことなく凛と立ち真っ向から要求を述べた姿は今のセイラに重ならない。
リヒトの知らないセイラはもうココにいない。
まるであの夜が見せた夢幻のように。
「……兄さん、」
「アルバ?」
「………コレ」
「っアルバ、」
「わかってる。姉さんに関しては自信ないけどステラと母さんは任せて」
「ありがとう。アルバも十分に気を付けるんだよ」
王家の紋章が押された封筒を握りしめてリヒトは努めて普段通りを装ってノクトの執務室を目指した。
アルバ以外の誰にも気付かれないように細心の注意を払って。
「ボス、失礼します」
「どうした」
「これを」
差し出されたものを手に取り王家の紋章が押された封筒に顔色を変える。
素早くペーパーナイフで封を切るとすらすらと文字を追いかける。
全ての文を読み終えたノクトは乱暴に便せんを封筒に押し戻して小さな溜息を吐いた。
「めんどくせぇ事になったな」
「クソボスー、例の件分かったぜってリヒト??」
「遅ぇ。
それよりこれを見ろ。ご丁寧なことに招待状だ」
「マジかよ。王宮で事を起こそうなんて今度は本気で国盗りしようってか??」
「まだ決まった訳じゃねぇがおそらく間違いないだろうな」
「…ラヴァンシーは?ラヴァンシーの名前がなければそんなことできないんじゃ」
「ニンフィア・ノエル・ラヴァンシー。
現段階で一番ラヴァンシー一族の血が濃い令嬢の名前だ」
「ニンフィア…ってセンパイが?いや、でもセンパイの名前はニンフィア・ルミエールだよ」
「お前が報告したんだろ。その名を利用するためにラヴァンシー狩りがあったって」
「華を散らせる前に夜を終わらせるぞ。
あの一族はどうにも死にたがりが多いらしいからな」
「ボス!それってどういうこと!?
あのセンパイが……?
それにもうすぐ結婚するって!最後の自由時間だから暇つぶしに付き合えって……!!」
「リヒト」
「……ごめん。だけど、センパイが何も考えずにそんなことに巻き込まれるわけないし、する訳ないんだ。
確かにあの人サボリ魔で校則破りの常習犯だったけど先生に見つかったことないし、武術だってそこらの男よりよっぽどできて周りに女子を侍らせてたし!!」
「……俺たちはどこからつっこめばいいんだ?」
「……女が女侍らせてどうすんだよ」
「兎に角!!きっともっと何か、もっと大きくて重大な事があるはずなんだよ。
あの人は愚者じゃない」
「あぁ、そうだろうな」
「「ボス?」」
「彼女はとても誇り高く自分の為すべきことを心得ている。いっそ――――…」
そう呟いてノクトは憂いを帯びた瞳をそっと伏せた。
それは自分もまた同じなのだろうけれど、それでもやはり静寂を守る夜と明るくにぎわう黎明では担う役割が違うのだろう。
きっとはじめてこの国の黎明を告げ、夜の物語が始まった瞬間から。
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