完全幸福論

第２章～守るために強くなると誓いました～

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精一杯の虚勢で強気に笑ったセイラに強制的な眠りから覚めて不機嫌マックスのアルバがどす黒い笑みを浮かべて何かを手渡した。

「兄さんの場所は分からないけどステラを攫った女の場所はそれで分かる」
「流石アルバ。よくやったわ！！」
「「「「（発信機なんてどこで手に入れたんだ…？というかあの状況でいつの間にそんなものを……）」」」」

大人たちがそれぞれ表情を引き攣らせ恐怖を感じる中、双子だけがニヤリとあくどい笑みを浮かべなにやら真黒な会話をしていた。

「じゃあ行くわよ」

勇ましく自分よりも遥かに大きな男たちを引き連れて闇に紛れる姿が妙にしっくり来てしまって思わず本当にこれでいいのだろうかと保護者組みは眉を寄せた。
まだ13、もうすぐ14の少女がむさくるしい男共の先頭を切って闊歩する。
それがまた妙にしっくりくるというか、様になっているというか、似合いすぎていて怖い。

「ま、まぁ、貫禄があっていいじゃないですか」
「そうだな。女と侮られるよりは……」
「そ、そうよね。そっちのほうが危なくなくていいわよね」
「……いいのか？本気で嫁の貰い手がなくなるぞ？」
「「ボスーー！！」」
「ノクト！！」

それぞれが必死に納得させようと自己暗示を駆けていたというのにアンタがそれを言ったらダメだろう！というか、自分の娘に対してよくそんなこと言えるな！という非難の声と視線をノクトはやっぱり綺麗に聞き流す。
それに付け足すようにアルバが不貞腐れたようにここぞとばかりに毒を吐きだした。

「何言ってるの？姉さんは貰う側だろ。
　プロポーズだって“幸せにする”って言われる側じゃなくて言う側だよ」

その光景が簡単に想像できてしまい大人たちは再び黙りこんでしまった。