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第2章~守るために強くなると誓いました~
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しおりを挟むジクジクと痛む胸に気付かないふりをしながらセイラは銃を構える。
流石はジオが厳選してくれた超精鋭部隊なだけあって想像よりもずっと楽にここまでこれたと思う。
それでも今日が実践初日のセイラには上手く彼らを使えずに宝の持ち腐れをしている自覚があった。
悔しげに唇を噛みながら必死に戦うセイラは苛立ちが募るのと比例するように自信をなくしていく。
そしてついに一瞬緊張が途切れた。
「セイラ!!」
聞こえるはずのない声に名前を呼ばれてセイラは慌てて振り向く。
セイラに向かって斬りつけようとした男とリヒトの剣がぶつかる。
ガキンという金属音と自分を庇う大きな背中に一瞬これが夢か現実か分からなくなった。
リヒトはまだあの女の側にいるはずだから。
きっとあの女が息絶えてもずっと彼女についていると思ったから。
「気を抜かないで!!」
その声にセイラはハッとして銃を構える。
そこからは何がどうなったのか分からないくらいに一方的にかたがついた。
「にぃさま……?どうして……?」
「どうしてって、俺も夜の闇だからだよ」
困ったように笑うリヒトにセイラはたまらなくなってリヒトを抱きしめた。
といっても身長差のせいで周りからはリヒトに抱きついているようにしか見えないのだけれど、それでもセイラは言葉では言いつくせない想いを伝えるようにぎゅうっとリヒトを抱きしめた。
「っ、だいすき。兄様。ずっとずっと大好きです。
大好きだから、だから、だから」
泣いてください。その一言が言えなくてセイラは唇を噛む。
こんな時、パパやママなら兄様を泣かせてあげられるのだろうか。
ジオやニナなら兄様に弱音を吐きださせてあげられるのだろうか。
「じゃあ、もう少しだけ。もう少しだけこうしてて」
体の力を抜いて膝を折るとリヒトはセイラの肩に頭を預けてを柔らかく抱きしめた。
小さな体で精一杯自分のためになにかしようとしてくれる優しさに縋った。
落ちてくる声が、抱きしめてくれる腕が小さく震えている事に気付きながらリヒトは何もかも考えることを放棄して自分より余程強い妹の優しさに縋った。
「兄様が、好きです」
「セイラ……?」
「返事はまだいりません。
あと1年とちょっと、それまでに絶対おとして見せます。
だから、覚悟しておいてください」
泣きそうな顔で笑うセイラにリヒトは困ったように微笑んだ。
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