完全幸福論

のどか

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第2章~守るために強くなると誓いました~

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血と硝煙の匂いを付けたままやってきた自分を見てもこの人は驚かない。
他の誰もが目を見開いて、痛々しいものを見るような顔をするのに、ノクトだけはセイラから目をそらさずにいつもと変わらないように言葉を紡ぐ。

「……帰ったか」
「無事完了しました。こちら側に死傷者はありません」
「そうか」
「……」
「どうした。辞めたくなったか?」

ニヤリと意地悪く笑う父親をセイラはぐっと睨みつけた。

「冗談でしょ。宣戦布告に来たの」
「ほぅ?」
「その椅子は私が貰うわ」
「……戻るなら、今しかねぇぞ」
「っ、」
「もう、分かってるだろう?
 手に入れられる物の方が少ない。特にお前が望むものはずっと遠くなる」
「、知ってるわ。パパの立っている場所はきっとすごく重たくて苦しいところだって。
 だけど、だから私が継ぐの」
「セイラ?」
「私はアルバほど純粋じゃないし、兄様みたいに優しくもないわ。
 だから、きっと私がいいのよ。
 ううん、私しかダメなの。だから、パパは1度も反対しなかったんでしょう?」
「……」
「ママもジオもニナも、みんなこっそり止めに来たわ。だけど、パパだけがこれをくれた」
「……」
「嬉しかったの。すごく。 
 可愛く守られてるだけのお姫様に憧れない訳じゃない。
 だけど、私がなりたいのは大事なものを自分で守れる私。
 パパみたいに大事なものをちゃんと守れる私でありたい」

周りから大批判を浴びながらも誕生日プレゼントとして贈った銃を撫でながら凛と顔をあげて意志の強い視線を向けるセイラに溜息を吐く。

「……女が俺みたいに強くなってどうする。本気で嫁の貰い手がなくなるぞ」
「ご心配なく。お嫁さんにしてほしい人は小さなころからずっとひとりだけだもの」
「セイラ」
「パパ、これだけは譲らない。
 忘れないで。ままごとでも何でもないわ。私は本気よ」
「意地っ張りめ。誰に似やがった」
「そんなの、パパに決まってるわ。」

精一杯の虚勢で無理やり口角を釣り上げるセイラをノクトは溜息混じりに抱き寄せた。
このくらいはまだ許されるだろう。許してもいいだろう。
セイラが自分の背負うモノの重さをはじめて知った日だから。
だからせめて今くらいただの父娘に戻って泣かせてやっても許されるだろう。
自分に似て素直じゃない娘が泣ける場所なんて限られているのだから。

「セイラ。今だけは許してやる」

「っふぇ、さいてい、よ!なんでこんな時だけパパの顔するの!!
 なんで、なんで、やさしくするのよ!パパの馬鹿!
 意地悪オヤジでいてくれなきゃ、わたし、わたし、」
「……たまにはいいだろ」
「よく、ないわ!たいみん、ぐが、おかし、の!!」
「お前の都合なんかしらねぇな」
「ヒック、」
「……よく、やった。流石俺の娘だ」 
「い、やよ!!ぐすっ、なか、ないもん!ぜったい、ぜったい、なかないもん!!」
「……」
「にさま、が、にいさまが、なけないのに、わたしが、ないたりなんかしない、」
「バカか。リヒトが泣けない分までお前が泣いてやれ」
「ヒック、うわぁあああああああんん!!!!」




守るために強くなることを誓いました
(強くならないと兄様に手が届かないから、)
(強くならないと弟妹たちを守れないから、)
((だから、どんなに苦しくても投げ出したりしない))

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