完全幸福論

のどか

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第3章~あなたの愛に完全幸福します~

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裏があることはわかっていても、それが何をさすのかが分からないまま夜会が行われる日になった。
ようやく家に帰れると綺麗に整理された部屋を見渡す。
もともと荷物は少なかったおかげで片付けるのも楽だった。

「リーヒートー?」

ノックも無しにズカズカと入り込んできたジェロージアに溜息を吐く。

「ん」
「は?」

差し出された白薔薇にリヒトは怪訝そうにジェロージアを見た。

「お前は白薔薇だってさ」
「意味わからないんだけど」
「俺もわかんない。でも俺が赤でお前が白らしい」
「つけて出ろってこと?」
「だろうな。一体なにがしたいんだか」

そうぼやくジェロージアに礼を言って適当に胸ポケットに差す。
それを見たジェロージアも同じように胸のポケットに赤いバラを飾った。

「そろそろ行こうぜ」
「もう?」
「早く侯爵殿たちに会いたいだろ?それに情報収集には早めに行くもんだ」
「流石お貴族様」
「頼りになるだろ?」

ニッと笑うジェロージアに笑い返して会場へと足を進める。
まだ時間には余裕があるというのにそこは既に人であふれていた。

「俺は挨拶周りがあるからここで」

すっかり貴族の顔になったジェロージアに笑って頷いてリヒトはノクト達を探す。
思ったよりもすぐに見つかった。ノクトとルナは人に囲まれていてジオは少し離れたところでその様子を見ている。
相変わらずの光景に微苦笑を零しながらすっかり仕事モードの上司へと近づいた。

「ジオ」
「おう。来たか」
「姉ちゃんも来たんだね」
「ちい姫と坊も一緒だからな」
「お疲れ様です」
「全くだぜ」
「それでセイラたちは?」
「あっちだ」

ジオの視線を辿るとつまらなさそうな顔で壁の花を決め込むセイラと面倒くさそうにセイラを人目から守っているアルバの姿があった。
らしすぎる双子の姿に笑みを浮かべてすぐ、ふたりに注がれる数多の視線に気づく。
リヒトはぐるりと視線を巡らせた。 アルバを見るご令嬢たちよりもセイラを見る男たちが気になる。
別人のように綺麗になったセイラを見てしまう気持ちは分からなくはない。
けれど面白くない。
妙な苛立ちを感じながらもジオと話をすることでそれを誤魔化すことにした。が気になるものは気になるし、苛立ちは膨れ上がる一方だった。

「ねぇ、ジオ」

隣に立つリヒトに急に声をかけられてジオはパチリと目を瞬く。
その声は平淡なのにリヒトの瞳には確かな苛立ちが浮かんでいた。

「なんか俺いい加減限界そうなんだけど。
 これは認めるべき……なのかなぁ、やっぱり」

苛立つリヒトの視線の先にはセイラに熱い視線を送る男たち。
自分でも顔がよく引き攣るのがわかった。

「お、お前、まさか」
「そのまさかみたい」

心底困った顔をしながら流れるように視線を滑らせた先には自分に向けられている視線に気づいているのかいないのか、平然と無視しているセイラの姿。
ジオは頭を抱えたい衝動に駆られたがなんとか堪える。
ここは王家が主催の夜会の会場でまだ王族が顔を出していないとは言え客は相当集まっている。

「り、リヒト?」

恐々声をかけるジオにちょっと行ってくるね。と笑ったリヒトはスタスタとセイラの方に歩いて行く。
まったく予想だにしていなかった事態にジオはポカンとその後ろ姿を見送った。




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