134 / 145
~番外編~
絶対に守ると決めた日
しおりを挟む「ママなんて私たちのことなんかキライなんだ!いらないんだ!!」
本心じゃないことなんか分かってた。
だけど、だけど、どうしても許せなかった。
カッと全身に怒りが昇り詰めて、気が付いたら小さな頬っぺたをぶってまだ小さな双子に怒鳴っていた。
「そんなこと言うな!」
「「ふぇっ、うわぁあああん」」
あ、と思った時には遅くって、俺はギュッと自分の手を握りしめてガックリと身体の力を抜いた。
そして火のついたみたいに泣き喚く双子をいつも姉ちゃんがしてくれてたみたいに抱きしめる。
さすがに俺にぶたれて怒鳴られた後だから双子はジタバタと抵抗したけれどそれを抑えつけて抱きしめた。
「ごめん。痛かったよな」
「「うぇっ、にーしゃまのばかーー!!きらいーーー!!」」
「うん、ごめん。
だけど俺も痛かったんだ。
セイラとアルバを産むとき姉ちゃんすっごく頑張ったんだ。
痛くて苦しくて死にそうな思いをして二人を産んだんだよ。
ふたりに会いたくてホントにすっごく頑張ったんだよ」
「「……!?」」
「姉ちゃんは勿論、ボスやジオたちだって、セイラとアルバが生まれた時すっごく嬉しかったんだ。
ふたりはみんなに望まれて、みんなが生まれて欲しくて生まれてきたんだよ」
「「……ほんと?」」
「うん。ふたりが生まれてくるのをずっとずっと楽しみにしてたんだ。
みんな、二人に会えるのをすっごく楽しみにしてたんだよ」
「「……」」
「だから、いらないなんて絶対に思わないで。
みんなセイラのこともアルバのことも大好きなんだよ。大事で可愛くて仕方ないんだよ」
「「……にーさまもおれ/わたしたちのことすき?」」
「もちろん。愛してるよ」
「パパとママより?」
「どっちも比べられないくらいに大好きで愛してる。
でもね、セイラとアルバは俺が絶対に守ろうと思った宝物なんだよ。
そのくらいに大事で可愛いと思ってる」
ボスと姉ちゃんの子どもになっていつも守られる側だった俺がはじめて守りたいと思った存在。
それがこの小さな二つの宝物だったんだ。
「「ヒック、うわぁああん。ごめんなさ~~い」」
「俺も叩いてごめんね。痛かったね」
俺はボスたちがこっそり覗いていることにも気付かずに小さな身体をぎゅうぎゅう抱きしめた。
「り、リヒトがチビちゃんたちに取られた……!!
私だって守ってあげるなんて、宝物なんて、言われたことないのに……!!!」
「姫、違うだろ」
「最近、俺たちにだって滅多に愛してるなんざ言いやがらねぇくせに」
「アンタも違ぇよ!!ココはリヒトの成長を喜ぶとこだろ!!
アイツが良い兄ちゃんやってることを褒めるとこだろ!?
なにガキにヤキモチ妬いてんだ!!」
「ジオ、煩い。氷持ってきて。腫れたら困る」
「んな!?」
「ボス、姉ちゃん、ごめん。俺こいつらのこと叩いちゃった」
「いや、お前が殴ってなきゃ俺が殴ってた」
「「……」」
シレっと真顔で言ったボスに双子はすぐさま俺の背中に隠れた。
俺はその様子に困ったように笑ってゆっくりと二人をボスと姉ちゃんの前に押し出す。
「ママ、」
「パパ、」
「「ごめんなさい」」
「ママも寂しい思いさせてごめんね」
「……」
ちゃんと言葉を紡いで抱きしめる姉ちゃんと無言で頭を撫でてやるボスの違いに俺は小さく笑った。
昔は俺もよくああして貰ってたっけ。
でも、ボスは俺にはちゃんと愛してるって言ってくれたかな?
いや、俺が大好きだとか愛してるだとか言い過ぎてて、俺もだ。って短く返って来ただけだっけ??
「リヒト?」
「なんでもないよ。ボス」
「……」
「そう言えば俺も留守番のあとよくボスと姉ちゃんにくっついてたなぁと思って」
くしゃりと大きな手が俺の頭をかき混ぜる。
「あんまり早くデカくなるなよ」
「……うん。俺もまだもうちょっとボスと姉ちゃんに甘えたいかな。」
俺は久しぶりに素直にボスと姉ちゃんに甘えた。
俺がボスと姉ちゃんにここぞとばかりに頭を撫でられたり抱き締められたりしている間、双子は何故か俺の両足にしがみつき恨めしげにボスと姉ちゃんを眺めていたらしい。
ジオはやっぱり微苦笑を浮かべてその様子を見ていた。
絶対に守ると決めた日
(ふたりはボスと姉ちゃんがくれた)
(はじめて俺が守らなきゃって思った宝物だから)
(だから、なにも心配しなくていいよ)
(兄様が守ってあげるから)
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる