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~後日談・番外編~
右腕の心得書!
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拝啓、未来の後継者たちへ。
前途ある君たちにすこしだけアドバイス……いや、忠告させてほしい。
<中略>
1、 甘いもの(空気含む)に耐性があること。
1、突然の爆発に対応できること。
1、家事全般から戦闘におけるまでオールマイティーにこなす覚悟があること。
1、ただひたすら(色んな事に)耐えられる根性があること。
<中略>
君たちの勇気と覚悟に心からの敬意を……。
つい先日、自分が主と認めた男が侯爵家を正式に継いだことにより、先代の右腕からぞんざいに渡された覚書を開いて少年は思わずつっこんだ。
「な、なんだこれは!?
突然の爆発ってなんだよ!?
ただひたすら(色んな事に)耐えられる根性って……!?
どーなってやがんだここは!?」
笑い飛ばせないくらいに何かを感じさせる筆跡に誓ったはずの忠誠がガタガタと揺すぶられる。
ナルホド。
これがボスへの忠誠を試す試練ってやつか……。
少年は自分にこれを渡した男の目が随分遠くを見ていたことや、去り際にポンポンと優しく肩を叩かれた事を必死に思い出さないようにした。
そして項目をひとつひとつ丁寧に自分の認めた主と照らし合わせて確認していく。
大丈夫だ。
ノクトは甘さとは正反対のとこにいる。欠片でも甘さを持っていたら自分はもっと平穏に過ごせていたはず。
爆発もしない。
怒り的な意味じゃなく文字どおり爆発物の意味ならそんな危険なもの彼の身の周りにはないはずだからこれも大丈夫だ。
次……家事?家事ってあれか?掃除とか洗濯とか料理か?それも、まぁ、できないこともない。好きではないが。
となると、………ひたすら色んな事に耐えられる根性?これは危ないかもしれない。なんだか嫌な予感はヒシヒシとする。でも今のところ思い当たる節はない。
若干の不安は残るがひとまず主が覚書の内容と主が正反対の位置に居ることを確認して少年はほっと息を吐いた。
「だ、大丈夫だ。……たぶん。
うん、忘れろ俺。今すぐこの恐ろしい本の存在を抹消しろ。それがいい。幸先が悪すぎる。」
少年は知らなかった。数年後自分もこの覚書に新たな項目を付け足すことになることを。
「えぇっと
『1、常識のぶっ飛んだ主たちからガキどもの未来を守れる常識があること。
1、親バカすぎてキャラが崩壊してても温かい目で見守ってやれる度量があること。
1、親から受け継いだ容姿をフルに利用するクソガキたちの相手もめげずにすること。
1、可愛い俺の天使(娘)を双子の悪魔の毒牙から守りぬくこと。
1、ちい姫の暴走にもドン引かずに冷静に対処すること。』
……って何書いてるの?ジオ。」
「未来への警告書だ」
興味本位で尋ねた言葉にものすごく真剣な顔でトンデモナイ答えを返されてリヒトは反応に困った。
ストレスを解消のためだと言われた方が良かった。
未来への警告も何もこれに当てはまるのは今、手を動かしている本人だけだ。
「警告ってこれ、ジオにか当てはまらないじゃん」
「いいんだよ。
そんなこと言ったらうちの姫はキッチンに立っても爆発はさせねぇ。
摩訶不思議な物体を作るのと皿を割るだけだ」
ようやく作業を終えたジオに、それぞれの代の右腕だったであろう者たちが記した読む者の涙を誘うような文字の羅列を見せられてリヒトは言葉を失った。
こうしてどんな試練よりもボスへの忠誠を試す覚書は項目を増やしながら次世代へと受け継がれていく。
脈々と、侯爵家の血が途絶えるその時までずっと。
右腕の心得書
(時代を越えて受け継がれるのは)
(揺るがない忠誠とそれ故に付き纏う)
(苦労への覚悟)
前途ある君たちにすこしだけアドバイス……いや、忠告させてほしい。
<中略>
1、 甘いもの(空気含む)に耐性があること。
1、突然の爆発に対応できること。
1、家事全般から戦闘におけるまでオールマイティーにこなす覚悟があること。
1、ただひたすら(色んな事に)耐えられる根性があること。
<中略>
君たちの勇気と覚悟に心からの敬意を……。
つい先日、自分が主と認めた男が侯爵家を正式に継いだことにより、先代の右腕からぞんざいに渡された覚書を開いて少年は思わずつっこんだ。
「な、なんだこれは!?
突然の爆発ってなんだよ!?
ただひたすら(色んな事に)耐えられる根性って……!?
どーなってやがんだここは!?」
笑い飛ばせないくらいに何かを感じさせる筆跡に誓ったはずの忠誠がガタガタと揺すぶられる。
ナルホド。
これがボスへの忠誠を試す試練ってやつか……。
少年は自分にこれを渡した男の目が随分遠くを見ていたことや、去り際にポンポンと優しく肩を叩かれた事を必死に思い出さないようにした。
そして項目をひとつひとつ丁寧に自分の認めた主と照らし合わせて確認していく。
大丈夫だ。
ノクトは甘さとは正反対のとこにいる。欠片でも甘さを持っていたら自分はもっと平穏に過ごせていたはず。
爆発もしない。
怒り的な意味じゃなく文字どおり爆発物の意味ならそんな危険なもの彼の身の周りにはないはずだからこれも大丈夫だ。
次……家事?家事ってあれか?掃除とか洗濯とか料理か?それも、まぁ、できないこともない。好きではないが。
となると、………ひたすら色んな事に耐えられる根性?これは危ないかもしれない。なんだか嫌な予感はヒシヒシとする。でも今のところ思い当たる節はない。
若干の不安は残るがひとまず主が覚書の内容と主が正反対の位置に居ることを確認して少年はほっと息を吐いた。
「だ、大丈夫だ。……たぶん。
うん、忘れろ俺。今すぐこの恐ろしい本の存在を抹消しろ。それがいい。幸先が悪すぎる。」
少年は知らなかった。数年後自分もこの覚書に新たな項目を付け足すことになることを。
「えぇっと
『1、常識のぶっ飛んだ主たちからガキどもの未来を守れる常識があること。
1、親バカすぎてキャラが崩壊してても温かい目で見守ってやれる度量があること。
1、親から受け継いだ容姿をフルに利用するクソガキたちの相手もめげずにすること。
1、可愛い俺の天使(娘)を双子の悪魔の毒牙から守りぬくこと。
1、ちい姫の暴走にもドン引かずに冷静に対処すること。』
……って何書いてるの?ジオ。」
「未来への警告書だ」
興味本位で尋ねた言葉にものすごく真剣な顔でトンデモナイ答えを返されてリヒトは反応に困った。
ストレスを解消のためだと言われた方が良かった。
未来への警告も何もこれに当てはまるのは今、手を動かしている本人だけだ。
「警告ってこれ、ジオにか当てはまらないじゃん」
「いいんだよ。
そんなこと言ったらうちの姫はキッチンに立っても爆発はさせねぇ。
摩訶不思議な物体を作るのと皿を割るだけだ」
ようやく作業を終えたジオに、それぞれの代の右腕だったであろう者たちが記した読む者の涙を誘うような文字の羅列を見せられてリヒトは言葉を失った。
こうしてどんな試練よりもボスへの忠誠を試す覚書は項目を増やしながら次世代へと受け継がれていく。
脈々と、侯爵家の血が途絶えるその時までずっと。
右腕の心得書
(時代を越えて受け継がれるのは)
(揺るがない忠誠とそれ故に付き纏う)
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