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【23】耽溺 ② ーこれで最後ー

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 荒々しいのに、苦悶の表情を浮かべていて、垂れた目元が男の弱さを物語っているよう。

 縋りつく大きな肉体も救いを求めているみたいで、狂おしいほどに胸がしめつけられた。

 指の跡がつくほど強く手首を握られても、怖いとは思わない。
 それどころか愛しさが生まれてきて、涙が止まらなくなる。


 泣いていることに気づいても、サニーはたかぶりの挿入を止めはしなかった。

 それどころか残された時間の一分一秒をも惜しむように、ダニエルの女体を掻き抱く。

 ぐちゃぐちゃと水音が露骨に響き、サニーの精力みなぎる怒張を受け入れるダニエルの蜜壺もまた涙を溢すように潤んでいた。


 サニーの玉の汗が、重なった肌を伝い流れ落ちてくる。
 陽の中に降る優しい雨のようだ。

 ふと、自分が汗をかいてないことに気づいた。
 子宮が燃えるように熱いのに、身体は冷め始めている。
 限界が近いのだと、そしてこれが終わりなのだと唐突に気づく。


 だから彼は優しく抱くのね。
 だから彼は少し寂しそうなのね。

「はぁ、はぁ、あぁ、ディディ……俺のお姫様!」
 夢の時間も終わりーーー。


 いつの間にか解放された腕に最後の力を込め、ダニエルは両手いっぱいに男を抱き締めた。

 長くダニエルをとろかせていた肉棒も終わりが近いのか、根本から微量に震えはじめている。


 サニーはダニエルの耳に唇を寄せ、「射精していい?」と哀願した。
 まともな思考回路はなかったが、ダニエルは反射的に首を振る。

「はぁ、俺、孕ませても、いいって、思った女性。初めてだよ、ディディ。キミを、俺のものにしたい……」
 抽挿の合間に訴えられ、ダニエルは夢中で首を振った。


「……やっぱり、キミは悪魔だな」
 背筋を凍らせるほど低く艶やかな声で、サニーはそう言った。


 そして数度大きく膣奥を叩きつけ、胎内で大きく膨れた男根を抜き去る。

「っ、ぁ!、ぁ”……ぁ、っ、っぅ!」
 ダニエルは声にならない声をあげ、緑碧の瞳を宙へと向けた。

 奥を撫でられる悦びや隘路から抜け出る衝撃もさることながら、熱塊が肉体の奥でビクンビクンと蠕動する様が、ダニエルを昇天させた。

 肉棒の幹が地鳴りを起こし、熱い命の息吹を最奥の壁に叩きつけられる。
 蕩けて下りてきた子宮口が、その子種を吸う。
 一瞬、膣内で射精されたのではと錯覚をおこした。


「はぁ、はぁ、……っあ”ぁ!」
 だが低く甘い呻き声の後、女性器の割れ目に浴びせかけられる子種の熱を肌に感じて、ホッと安堵する。

 同時に胸にぽっかり穴が開いたような気がした。
 そんなはずはない……ぽっかり空いたのは、未だしまりなく開閉する乱れた蜜壺だけだ。

 ダニエルはそこで意識を手放したーー。
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