女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【38】寵愛を盾に 〜踏み台にしてやる!〜

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「ちょ、なんでカイルまでそんな顔!?」

「……すみません。殿下はどこかお体が悪いのかと心配になりまして」

「殿下は最近アタマが悪くなられたんだ。そこに居るマッキニー准尉の所為でな」


ユージンがダニエルの目の前に指をさす。

それを弾け飛ばす勢いでダニエルは立ち上がった。


「ちがいますー!あたしのでサニーは愛の力に目覚めたんですぅ!その証拠にあたしは護衛官として此処に立ってるし、中佐の報告も一緒にお伺いします」

「はぃ?なんでマッキニー准尉も同席するんです?……殿下?」

ユージンは凍てつく視線でサニーを睨んだが、サニーは「どうせ後で話すんだから手間が省けていいじゃない」どこ吹く風だ。


「そうそう!どうせ後からあたしが聞き出すんです。それに以前、マッキニー領のことは教えてくれるって、サニーと約束しましたから」

「……殿下?」

「約束したっけぇ?」

ユージンに再度睨まれ、サニーはやはりノラリクラリ答えた。


「約束したでしょっ!!」

「あっ、あぁ……そうだったね、ディディ」


口約束を忘れらたショックでダニエルはサニーに詰め寄る。

サニーはその勢いに押され気味になり、どことなくダニエルの尻に敷かれている。

その変化にカイル・ハルボーンは驚いた。



「マッキニー准尉、殿下のご寵愛を盾にやりたい放題だと嫌われますよ」

「安心してください、もう嫌われてるんで!」


サニーはダニエルとの関係を隠す気がなく、誰がいても御構い無しにペットを猫可愛がりするような調子でハグやキスをしてくる。

ダニエルが嫌がろうとも力技で膝に乗せられグリグリ頬ずりされるので、抵抗するのは早々に諦めた。

……内心、いやではないし。


それが親衛隊や近衛隊の、特に女性隊員達には面白くないのだろう。

訓練中にもハブられ、嫌がらせを受けていた。



「……貴女、変な薬でもキメてるんじゃないでしょうね。昨日とは別人ですよ。昨日は死にそうなほど落ち込んでたのに、なんでもう立ち直ってるんですか。もっと落ち込んでくれていたら、静かでよかったのに」

「サニーの献身的な看病で立ち直ったんですぅー」

「くっ……もう二度と看病なんてさせませんからね!!」


カイルはダニエルの変化にも驚かされた。

上官ユージンにビクビクしていたのに、今は慣れたのか開き直ったのか、口喧嘩できるほど強気だ。


その原動力は、やはり殿下の寵愛にあるのだろう。

名は親密度を現し、サニーはカイル、ユーリと親しげに呼ぶが、ダニエルのことも”ディディ”と愛称で呼ぶ。

ダニエルも殿下をサニーと呼び、以前は関係があるのを隠そうとしてたのに、今じゃそれを踏み台にしてやる!くらいのガッツまで感じる。


強く……なったんだな。

カイルはしみじみとそう感じた。
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