女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【43】神隠し 〜消える子ども達〜

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耳元で幼い自分の金切り声が蘇る。

ダニエルの顔から血の気が失せた。


「マッキニー准尉?」

「ディディ?、……ディディ!」


サニーに肩を揺すられ、ダニエルは我に帰った。

六つの目が一斉に此方を見ている。


「顔色が悪いよ、大丈夫?」

「だ、大丈夫。ちょっと考えごとしてた」


ダニエルは顔面蒼白で、気が動転しているのは明らか。

サニーは落ち着かせようと、固く握り締めるダニエルの拳を包んでやった。

指先は冷たく微かに震えている、…………一体どうしたんだ?



「何を考えてたんです?気づいたことがあれば、我々にも教えてください」

気遣わし気な二人と違い、ユージンは容赦なく切り込んでくる。


「いえ……たいしたことでは」

「それは此方で判断しますから、遠慮なく話してください」

ユージンの強い視線に負けて、ダニエルは打ち明ける。


「マッキニー領には雪に覆われる山が多く、毎年遭難者が出るんです。私が子どもの頃にも、少年少女が消えることがありました。村の人々はそれを”神隠し”と呼び、山には近づかないよう子ども達に注意を促していたんです。私もよく言われました。それでも度々、子どもが消えることがあって……」


ユージンとサニーは同時に顎に手をあて考えこむ。

「雪害事故は俺の領地ペティファーにもあるが……」

「報告書通り、遭難事故だと?」

「わかりません……ただ可能性はゼロではないかと」


「しかし大人達は山に入らないよう注意喚起していたんですよね。それなのに子どもが一人で山に入るでしょうか?」

「遊牧で生計を立てている家庭が多いんです。そういう家庭の子ども達は雪が積もっても村へ降りてくることがありました。帰る時、危険だからってダメだって先生から叱られてましたが……」

「なるほど。鉱物採掘が主で冬場は閉鎖される我が領ペティファーとは違うんですね」


「えぇ。それにマッキニー領の子ども達にとって山は身近な場所でした。冒険したり、秘密基地を作ったり。野鳥や鹿を見に行くこともよくありました」



「なるほど、貴女も山に入ることはあったんですか?」

ダニエルはキョトンとする。

なぜそんな質問をされるのだろうか。


「……はい」

「男爵家のご令嬢なのに?」

「幼い時、両親は忙しく私には寛容だったんです。だから使用人の子とよく山で遊んでました」

ラスティ・マイトナーのことを指してるのだと、サニーとユージンにはわかった。


「捜索してないのに、遭難事故として処理されてるのはなぜでしょう?」

「捜索が厳しい天候だったんだと思います。祖父の時から吹雪や嵐の日に山に消えた者は、遭難者として処理されてました」


ダニエルは砂を食わされたような、気持ちの悪さを感じた。

父を庇うわけではないが、実際、弁解しているみたいだ。


「捜索を行う条件や詳細は、領主ごとに違うもんネ」

サニーは解ってるとでも言うように微笑んでくれる。

その優しさにダニエルは救われた。
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