女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

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【78】爵位返還② 〜マッキニー家の運命〜

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「それで……何か話しがあったんだろ?」

ボロンゴ領の郷土料理を満喫し食後の珈琲が運ばれてきたタイミングで、ラスティーがダニエルに尋ねた。


「ラス、実はね……これは秘密にして欲しいんだけど、近々マッキニー家は爵位返還して領地を返す事になりそうなの」

「…………!!」


あまり動じないラスティーでも、ダニエルの告白は驚きだったらしい。

「なんで急に爵位返還を?もしかして男爵様になにかあったのか?いや、そうだとしてもポーラ様が継ぐんじゃないのか?男爵夫人様は納得したのか?」


矢継ぎ早に尋ねられ、ダニエルもどこまで話して良いのか返答に困ってしまう。

父がロンド教に傾倒しているのは周知の事実だが、潜入捜査の事は例えラスティーにだって話せない。


「ラス、ごめん。詳しい事は話せないの。それにこの話は決定事項じゃなくて……父上と母上は知らないの」

ラスティーは更に信じられないと目を見開いた。


「ダニー、いったいどういう事だ?男爵様が知らないって……どうやって爵位を返還するつもりだ?勝手に返還なんてできないだろ」

「私じゃなくて、ポーラよ。ポーラが父上と母上を説得するって。爵位返還を望んだのもポーラなの。私は……家を出て勘当同然の身よ。意見を言う資格もないわ。だからポーラが爵位を継ぎたくないのなら、賛成するしかないでしょ」


「ポーラ様が言いそうな事だな。の方は田舎の領地運営に収まるような方じゃないもんな。首都セーラスへ行ったら戻って来ないだろうって、皆が言っていたよ」

情熱的で快楽に弱く、刹那的な生き方を好むのはマッキニー家の運命さだめだろうか。

こんなところで父、自分、ポーラの血の繋がりを感じるなんて皮肉なものだ。


「とはいえ男爵様と男爵夫人様は爵位返還に納得しないんじゃないか?いくらポーラ様が継ぐの嫌がっても、お二人が認めるとは思えない」

「そうね……難しい話になると思う。とにかくポーラが父上と母上に話すまで、この事は絶対に知られちゃダメなの。ラス、お願い。この事は誰にも言わないで」


ダニエルは身を乗り出しラスティーの手を握った。

「貴方だから打ち明けたのよ、ラス。お願い、秘密にして」


「あぁ、わかったよ」

ラスティーは深く頷いた。


彼は口が固く、約束も守る男だ。

きっと口外する事はないだろう。



「それでね、ラス。ここからが本題なんだけど……その爵位返還に合わせて、ドルパ山を購入しようと思っているの」

「ドルパ山を?」

「えぇ。私が買い取って、貴方の名義にする。どう?良い話でしょ?」
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