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【79】激昂① 〜ふざけるな〜
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ダニエルの提案にラスティーは再び目を丸くした。
心なしか、手の平から伝わる体温も上昇したような気がする。
ダニエルは自然と笑顔になった。
「あの山は元々貴方達一族が管理していたんだから、山の所有者にふさわしいわ」
「でも……お金は?ダニーそんなお金あるのか?」
ラスティーは興奮と心配が織り混ざった目でダニエルを見る。
「私もお金はあんまりないけど、裏技があるの」
「裏技?」
「爵位を返還する時、領主が望めば特定の領土は譲り受ける事ができるのよ。ポーラがドルパ山の件も交渉してくれるって言ってたから……勿論、無料ってわけにはいかないけど、かなり安く手に入ると思うの」
「俺達にとっては有難い話だけど……でも本当に大丈夫なのか?安いって言っても、やっぱりすごく高いんだろ?」
“結局は男爵家のお嬢様だよな”と言いたげな目で、ラスティーはダニエルを見る。
失礼しちゃうわ。
社会の荒波に揉まれ、すっかり庶民の生活に溶け込んでるこの私なのにさっ!
「銀行と商会からローンを受ければ、なんとかなると思う」
「ダニー、ローンって結局は借金じゃないか。そこまでしてもらうわけにはいかないよ。購入は止めておけ」
「ラス、止めても無駄よ。私、ドルパ山を絶対に買うって決めたの!!」
ダニエルの熱意にラスティーは難しい顔になった。
「ねぇ、ラス。貴方達は名義を貸してくれるだけでいいの。貴方に話したのは、その方がスムーズに事が運ぶと思ったからよ。ラスに断られたら、おじ様とおば様にお願いするだけだわ」
おじ様おば様とはラスティーの両親の事で、ダニエルは小さい頃から二人をそう呼んでいた。
領主のお嬢様に“おじ様”、“おば様”と呼んでもらえるなんて嬉しい、自分達も貴族になったみたいだと二人は喜んでいたっけ。
「それにドルパ山を買ったら、ダスを探せるでしょ?」
「……っ!!」
ダニエルの言葉にラスティーは眉間に皺を寄せ驚愕に固まった。
「探す?兄貴を捜索するつもりなのか?」
「え、えぇ」
みるみる怒りで表情が歪み、ダニエルを非難の眼差しで見る。
「ふざけんなよ!!!」
ラスティーは重ねた手を振り払い、珈琲カップが揺れるほど強く拳を机に叩きつけた。
その剣幕にレストランの周りの客が何事かとチラ見するほどだ。
「それが目的か?兄貴を探す事が!?」
予想外の激昂にダニエルは困惑し口をパクパクさせる。
てっきり喜んで賛成してくれると思っていたからだ。
心なしか、手の平から伝わる体温も上昇したような気がする。
ダニエルは自然と笑顔になった。
「あの山は元々貴方達一族が管理していたんだから、山の所有者にふさわしいわ」
「でも……お金は?ダニーそんなお金あるのか?」
ラスティーは興奮と心配が織り混ざった目でダニエルを見る。
「私もお金はあんまりないけど、裏技があるの」
「裏技?」
「爵位を返還する時、領主が望めば特定の領土は譲り受ける事ができるのよ。ポーラがドルパ山の件も交渉してくれるって言ってたから……勿論、無料ってわけにはいかないけど、かなり安く手に入ると思うの」
「俺達にとっては有難い話だけど……でも本当に大丈夫なのか?安いって言っても、やっぱりすごく高いんだろ?」
“結局は男爵家のお嬢様だよな”と言いたげな目で、ラスティーはダニエルを見る。
失礼しちゃうわ。
社会の荒波に揉まれ、すっかり庶民の生活に溶け込んでるこの私なのにさっ!
「銀行と商会からローンを受ければ、なんとかなると思う」
「ダニー、ローンって結局は借金じゃないか。そこまでしてもらうわけにはいかないよ。購入は止めておけ」
「ラス、止めても無駄よ。私、ドルパ山を絶対に買うって決めたの!!」
ダニエルの熱意にラスティーは難しい顔になった。
「ねぇ、ラス。貴方達は名義を貸してくれるだけでいいの。貴方に話したのは、その方がスムーズに事が運ぶと思ったからよ。ラスに断られたら、おじ様とおば様にお願いするだけだわ」
おじ様おば様とはラスティーの両親の事で、ダニエルは小さい頃から二人をそう呼んでいた。
領主のお嬢様に“おじ様”、“おば様”と呼んでもらえるなんて嬉しい、自分達も貴族になったみたいだと二人は喜んでいたっけ。
「それにドルパ山を買ったら、ダスを探せるでしょ?」
「……っ!!」
ダニエルの言葉にラスティーは眉間に皺を寄せ驚愕に固まった。
「探す?兄貴を捜索するつもりなのか?」
「え、えぇ」
みるみる怒りで表情が歪み、ダニエルを非難の眼差しで見る。
「ふざけんなよ!!!」
ラスティーは重ねた手を振り払い、珈琲カップが揺れるほど強く拳を机に叩きつけた。
その剣幕にレストランの周りの客が何事かとチラ見するほどだ。
「それが目的か?兄貴を探す事が!?」
予想外の激昂にダニエルは困惑し口をパクパクさせる。
てっきり喜んで賛成してくれると思っていたからだ。
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