女王陛下、誤解です〜ヤリチン王子が一穴主義になったのはアタシのせいじゃありません!!〜

アムロナオ

文字の大きさ
80 / 161

【80】激昂② 〜ダスティンの死〜

しおりを挟む
「今更兄貴ダスティンを探して何になるんだよ!」

「何になるって……ダスは……」


「まさかまだ兄貴が生きてると思ってるのか?」

「それは……」

ダニエルは口籠った。


「兄貴は死んだんだ!あの吹雪から生還できたはずがないし、仮に生き延びたとしたも、十年も帰ってこないわけがないだろ。死亡宣告時に何度も話あったじゃないか!ダニーだって兄貴の死亡確定に納得しただろ!?」

「そうだけど……」

「俺も親父もお袋も、兄貴の死を受け入れてる。それを今更蒸し返そうっていうのか!?」

「そういうわけじゃないわ……」



ダスティンの死亡確定に最後まで反対したのはダニエルだった。

ダスティンの生存を諦めきれず何度も父に捜索を願い出たし、雪が解けた後は頻繁にドルパ山に通いダスティンの痕跡を探した。


けれど神隠しにあったかのように、何も見つからなかった。

山を熟知していたダスティンが山道を外れるはずがない。

それなのに何処にも彼の遺体が見つからないのはあまりに不可解で、まだ彼は何処かで生きているのではないかと希望を抱いてしまう。


でもラスティーが言うように、もしダスティンが生きているとすれば、ダニエルの前に現れないはずがない。

ダスティンは家族想いで両親を心配させるような息子じゃないし、ダニエルの事だってすごく大切にしてくれた。

危険を顧みず、無くした指輪を探しに行ってくれるくらいには愛されていたはずだ。


つまり……彼はドルパ山から帰らなかった。

今も、昔も、それが全ての答えなのだ。

受け入れ難い事実に唇を噛み締めると、鉄の味がした。



ダスティンの死を認めたくないが、認めなければならないとダニエルだってわかってる。

だからこそダスティンの死亡確定にも死亡宣告にも、最終的には納得した。

けれどダスティンの亡骸なきがらがドルパ山に残される事を納得したわけじゃない。


ドルパ山は冬には厚い雪に覆われる。

肌や肺を刺すような寒さの中で死んで行ったダスティンの事を想うと、ダニエルの心臓も氷柱つららで貫かれたかのように痛む。

ダスティンをあの寒い場所に留めておくのはあまりにも忍びない。


「でもダスの遺体はまだあの山にあるのよ!取り戻したいって思うのは、そんなに悪い事?あんな寒い場所にダスを放置できないわ!!」

ダニエルの言葉に、ラスティーは眉間の皺をより濃くした。

困ったような、怒っているような、憐れんでいるような……そんな顔をしている。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...